HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
台湾のまど 青木由香の台湾一人観光局 ほぼ日支所
00
北投温泉と
ともだちの小馬のこと(2)

前回の続き、
「solo singer inn」という宿を始めた小馬の話。
小馬が、拾い集めている北投の昔話が
すごくおもしろいんで、そのあたりを行きます。

北投温泉は、昔、日本統治時代に日本人が喜んで
「風呂だ風呂だ」と入り始めて発展した街。
それまでの街の中心は小馬のホテルのある方でした。
今もある古い大きな市場が昔から賑わっていて
山の上の温泉の湯気をこちらから見ては、
地元っ子たちは「魔女がいる」と言って
ビビっていたんだそう。
日本人が温泉文化を持ち込んで、
北投にはたくさんの高級料亭や旅館ができたんです。

小馬のネタ集めは、私のやり方と似ています。
“文献あさり”じゃなく、突撃→質問。
この方法で、彼女は「吟松閣温泉」という
日本家屋の旅館を突然訪ねました。
成功率は低めですが、
話を聴けたときは確実に収穫がデカイやり方です。

「吟松閣温泉旅館」は、もと超高級料亭で、
当時苦労して台湾の植物で真似て作り出した
日本の庭があり、
主に、日本の政治家や商談に使われていてたところ。
みんなこっそりおしのびでやってきた場所です。
女将は、一本しかない廊下で、
他の部屋のお客さん同士が
絶対に顔をあわせることがないようにさばいたそう。
悪巧みする商人も悪徳政治家もいたんでしょう。
芸者遊びもあって、その料亭に来る芸者は、
政治家や経営者と対等に話せる才女で、
見た目も女将の
“すっぴんチェック”をくぐり抜けた美女でないと
お座敷に上がれなかったとか。

ここは、今も泊まれます。
予約で宴会もアレンジできるので、
食事は頼めば、仕出し料理が食べれます。
いい湯だとの噂ですが、日帰り湯が不可。
でも、宴会をすれば温泉にも入れます。
台湾版ナガシも呼べる
(ギターじゃなくキーボード。
 ナガシが歌うんじゃなくて、カラオケ伴奏、
 歌うのは客。これ台湾式)。
一度小馬と貸切しようと盛り上がったんですが
予算が合わず、諦めました(意外と高いんです)。

代わりと言ってはなんですが、
小馬、今度は北投の酒家菜を作るじいさんを
見つけてきました。
酒家菜(上ジャーツァイ)は、
台湾料理の祖先みたいな料理で、
本格的なのは稀有。
近所から漏れた香りを訪ねて
「何作ってんの?」と、またやった模様。
話を聞いたら、元「北投華南飯店」のシェフだったので、
自分のところの「solo singer inn」のお客さんにも
食べさせてもらえるようにしました。
予約は8人からで一人1600元のディナーコース。
興味のある方はお早めに。


ここら辺で、美味しい匂いがして
酒家菜のおじいさんをスカウトしてきた。

ここまで小馬小馬と書きましたが、
小馬は、いつも宿にいるわけではありません。
「なんだよ」
と思わないでください。
バイタリティーが溢れてて、じっとしていません。
この辺もうちの店と一緒です。
私もお店にうっすらしかいません。ごめんなさい。
だって、お店も小馬のホテルも
ぶっちゃけ儲かっていないのですよ。
こうゆう趣味のようなことは、
他で稼いできたものを注がなければならないんです。


前回ご紹介したお部屋とは違うタイプです。

本人には「私のことあまり書かないでよ〜。」
と言われました。
そうなんです、たまにしかいないから
皆さんをカッガリさせかねない。
でも、「solo singer inn」には
素敵なチームがいます。
日本語も英語もバッチリな人たちが
小馬と同じ気持ちで、同じネタを携えて待っています。
二度目以降の台湾は、
「市内」でなく「外れ」が沁みますよ。


ぼやけてるけど、ソロシンガーの素敵なスタッフたち。

「solo singer inn」 、いかがでしょうか?

台北市北投區溫泉路21巷7號
(温泉路7番に着いて
すぐとなりの左の小路に曲がります)
吟松閣温泉旅館
台北市北投區幽雅路21號
02-28951531-5
2016-03-17-WED