まるで、NASAのようなメディアになりたい?







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(終了)
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 販促会議の様子。




※ほぼ日+朝日出版社の販促会議が、
 こないだの9月28日に開かれました。
 「そんなのまで見せてどうするの!」
 という声も聞こえそうですが、会議の様子をお届けです。

 はじめての試みをいくつもしているので、
 それがどういうプロセスでどんな結果を生むかを
 リアルタイムでガラス張りみたいにお見せすると、
 緊迫感があって、おもしろいと思ったんです。

 ・・・なので、このような会議まで、
 掲載しようと、ぼくは考えました。

 「失敗しそうかもなぁ」とドキドキしている人も、
 「成功するといいな!」と思ってくれてるかたも、
 どうか、このプロジェクトの進行具合を、
 一緒に見守ってくださるとさいわいです。

 では、さっそく話しあいを対談形式でお届けです。
 発売まで1か月の時期での話しあいでした。
 そろそろ、話しあいにも気合いと緊張が入りだします。



営業 イトイさんこんにちは。
今日は営業方針やイベントなどの相談にきました。
刊行後のイベントでの景品とか、
細かい内容も含めて、
お話できるといいと思っています。
糸井 よろしくお願いします。
・・・あ、いま思ったんですけど、
景品をあげるなら、
『このブックスがつぶれるまで、
 発刊される全部の
 「ほぼ日ブックス」をさしあげます』
っていう当たりくじは、どうでしょうか?
営業 ・・・ぜんぶっすか!(笑)
糸井 ええ、もう、もれなく。
何冊も何冊も送りつける(笑)。
イヤっつっても。
営業 送りつけちゃう?
糸井 もう販促物から何からすべて(笑)。
もう、関係者でも持ってないようなものまで。
みたいにしたら、おもしろいと思うんですよ。
営業 わはは。イイですねぇ!
糸井 たぶん今日、営業のかたと一緒に
お話をするというのは、そういう
ちょっとバカなムードを共有しましょう、
ということなんだと思うんです。

いくら書き手とかデザインに凝っても、
営業のかたに伝わらなかったら
熱心に売りこんでくれないし、
このブックスの熱意が本屋さんに伝わらなければ、
目立たない位置に、本が
置かれてしまうかもしれない・・・。


(『個人的なユニクロ主義』表紙。
 タナカノリユキさんのアートがクールです)


   「この本に関わっていきたい」
という、動機づけがいちばん重要ですから、
マゾヒスティックな仕事へのお誘いをしたいわけで。
いままでにあったことを順に片づけていくような
いわゆる販促とか、いわゆる営業とかの
自然なローテーションをこねくり回してみたいんです。
営業 なるほど。
糸井 本の広告って、書評をお願いすることから
何から、すべてトータルに考えると、
基本的には、本屋さんに
「この本はいいな」と思ってもらえる
動機づけであったり、お客さんどうしの
うわさを作っていくという部分での
側面広告にしかすぎないと思うんです。

そこで今回のほぼ日ブックスで、
この側面広告のやりかたのひとつとして、
「お金をかけないけど、手間をかける」
っていう方法を徹底したら、どうだろうか?
と、ぼくは考えているんですよ。
営業 手間ですかぁ・・・。
それがいちばん大変で、効果がありそう。
糸井 そうなんですよ。
タダより高いものはなくて、
みんなこの労力を怠ったりするんです。
お金でやれる新聞広告とかを、まるで
「いちお、広告やっといたかんね」
ってアリバイ工作のようにやって、おしまい。
でも、それじゃ、いままでどおり、
本は届かないメディアなんだなぁということを
しみじみ実感するだけで終わっちゃうと思うんです。

わけのわからないニュースが、
ほぼ日ブックスにはいろいろあるじゃないですか。
「なんで10冊もいっぺんに出すの?」
「要するに、採算は度外視?」
「そんなに朝日出版はこのシリーズに賭けてるの?」
・・・そんな姿勢が、本屋さんに伝われば、
きっと、ぼくたちのやろうとしてくれることを
サポートしたり理解してくれるんじゃないかなぁ。


(『カナ式ラテン生活』表紙)

   「こいつら、こんなに本気になっちゃって、
 失敗したらどうするんだろう?」
みたいな、まるで、
楽屋裏に来て「心配なんだよね」って
言ってもらえるような・・・。
そんな風に、ぼくらのわけのわからない本気を
見てもらえる方向に話が進むと、
いいんじゃないかなぁと思っています。
営業 はい。そのために
「ほぼ日ブックスのご案内」も
力を入れて、作ったんですもんね。
糸井 そうなんです。
なんで100ページのものを
無料で配りまくってんのよ?って、
思うじゃないですか。
それに、今回、過剰に労力をかけていくのが
ひとつひとつのイベントを生む方法ですから、
細かい戦略とかに関しては失敗も出るだろうし
無反応だったなぁっていうイベントも
あるかもしれないでしょうけれども、
お金がかかりすぎてクビがまわらない、
っていうことにはならないですよね。
労力がムダになる「ムダ撃ち」なら、
たくさんしていきたいじゃないですか。
・・・まぁ、関わっているひとりひとりの
デートやら子どもの運動会やらが、
つぶれていくっていう犠牲は払うんですけど(笑)。
編集 すでに、デートに関しては、
こりゃもう・・・そうとうつぶれてます(笑)。
でも、いまはこっちの仕事をやりたいですよね。
糸井 嬉しいこと言うねぇ、あんた。
・・・でも、無理すんなよ(笑)。
まあ、そういう犠牲も、
動機さえおもしろければ払えるわけで、
このほぼ日ブックスがつまんなかったら、
ムダな徒労に終わるってことじゃないですか。

ほぼ日ブックスに関わっている時間が
実験的でおもしろい、っていうような、
そんな祭りのような感じに、この創刊に対して
みんなが思ってくれるんなら、きっと
ひとりひとりの力はどんどん発揮されるだろうし、
それが集まったら、とんでもない動きに
なっていくんじゃないかなぁと思いました。
営業 その感じは、とてもよくわかるなぁ。


(『石川くん』表紙。
 朝倉世界一さんによるらくがきだよ)


糸井 ひとりひとりの過剰な動きが
玉つき的なコミュニケーションを生んで、
「こんなやつらがこんなことをやっているんだ。
 なんか手伝ってあげたい」
みたいに、みんなに思ってもらえたら、
こんなありがたいこたぁ、ないです。
編集 そういう「闇雲なムード」って、
楽しそうですよねー。
糸井 よく、小さい書店なのに
必死にやっているところって、
大書店と拮抗しているかのように
見える時があるじゃないですか。
あれはもう単純に、店長の
闇雲に働いている量がすごいんですよね。
そのムードや世界をぼくらは応援するわけで、
それに近いことが、この
「ほぼ日ブックス」という場で
おこなわれるんじゃないかなぁと考えています。

「出版の常識」とか
いままでの枠の中で限界を決めないうちには、
ちょっとマゾヒスティックなぐらいに
やれることをぜんぶやってみれば、
泣き言を言わないままで、
やれることが増えるじゃない?

そうすれば、取材も増えるでしょうし。
取材が販促になるかならないかは別ですけど、
少なくとも、ソフトの供給源である作者や
ソフトを手渡す場所の本屋さんの
情熱だとかをかきたてる起点にはなるでしょう。

だから、今後も、編集が、バカなぐらいに
商品力を増した本を作っていくことと同時に、
営業のほうでも、このバカな雰囲気に乗って、
売れないかもしれないけれども
一生懸命やっているというバカさを実践して、
本屋に見せてあげてください(笑)。
営業 (笑)バカさが大事ですね。


(『あはれといふこと』表紙)


糸井 正直言って、
このラインナップでこのシリーズ、
とふつうに考えていったら、
総売り上げの予想とかも、
ほんとはできちゃうと思うんですよ。

だけど、そうやって
クロウトが計算できちゃう部数を
ふつうに事業計画として考えても、
いま新しくやる意味がないじゃないですか。
これから何かが化けるかもしれないという可能性を
「あるんだ!」と思いながらやっていったら、
たとえば一年やっていくうちには、
何かが変わるんじゃないかなぁと考えてるんです。

ほかの商品のコストにくらべると
本っていうのは
「金型(かながた)」みたいなものも
要らないわけだし、
その意味では大きなリスクの少ない商売ですよね。
そのくせ、平均にコストがかかっていて、
儲からないけど。
そういう業界だから、もうしわけないけど
「労力のコスト」だけでも過剰にかけていって、
おおげさに言えば、
ここから知の再編成みたいなことが
できるといいなぁと思います。
営業 はい。そのへんは
「ほぼ日ブックスの創刊にあたって」
を読む中で、すでにとても共感しているんです。
糸井 立派な内容を、通用しない言葉でつづって
本にしていくという時代から、
誰もが理解できる言葉で
書かれる本になる時代のさきがけ、というか。

自分のあしもとをきちんと見ている人が、
確実に自分の行き先を考えていくような時代の
リーダーシップを取れるブックスができたら、
ぼくたちとしては、社会的な使命も果たせますし、
やっぱりいちばん
やりがいのあることだと思いますから。

まぁ、メディアの何がどうつながるかは、
見当のつかないところがありますけどねぇ。
「11月のはじめに、
 ほぼ日ブックスのペイントした
 広告バスが渋谷を走る」
って決まりつつあるんですけど、それも
既に、わけのわからない展開ですよねぇ(笑)。

ま、いちばん大事な話を、いま
こうやってはじめにしておきましたので、
それじゃ、具体的な話をしましょっか。
営業 ええ。では、イベントの件ですが・・・。



※このようにして、話しあいはつづいていきました。
 著者と編集だけでイイ本を作れば終わり、
 というんじゃなくて、営業の人や
 書店さんとのジョイントがあって
 はじめて本を手渡したことになると思うので、
 このへんのやりとりは、
 今後も丁寧につづけたいと考えています。

※なお、メディア関係者のかたで、
 「取材を何かをしたいんです」
 と思ってくださるかたは、お気軽に
postman@1101.com
 こちらの木村まで、メールをどうぞ。
 もちろんふつうのおたより(感想)もうれしいです。








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2001-10-04  ほぼ日ブックスに、問われることは。