『新選組!』
with
ほぼ日テレビガイド
第37回 「薩長同盟締結!」を観て。

糸井 いざ!
永田 い、いざ!
西本 いざ?
糸井 毎回「お疲れさまでした」で始めるのも
ちょっとどうかと思ってさ。
永田 ああ、なるほど。
それはぼくも気になっていたんです。
糸井 だから、今週は景気よく!
いざ!
ふたり いざ!
糸井 ‥‥‥‥。
永田 ‥‥‥‥。
西本 ‥‥‥‥。
永田 最初だけですか、勢いは!
糸井 うん、あとはまあ、
いつもどおり、だらだらと。
永田 せっかくですから
テンポよくいきましょうよ。
じゃあ、先にあれやっときましょう。
恒例の‥‥。
西本 誰にも会ってません!
永田 早っ!
糸井 もう、にしもっちゃんの
運もつきたんですかね。
西本 いえいえ、欽ちゃん風に言うと
「運を貯めている」状態です。
思わせぶりですが、
これからドーンと爆発しますよ。
永田 ともあれ、第37回を見終えたわけですが。
糸井 今回は濃かったですね。
西本 じつは、「駅の回」ですよね。
永田 時代の大きなうねりと、
新選組の抱える人間くさい事件の
2本軸がありましたね。
糸井 じゃあ、まあ、
小さいところからいきましょうか。
永田 はいはい、小さい話、大歓迎。
糸井 まず薩長同盟ですけどね‥‥。
ふたり デカっ!!!
糸井 ん? まあ、そうか、デカいか。
西本 歴史の教科書に太字で載ってますよ。
永田 ちょとしたアメリカンジョークですよ。
「じゃあ、小さい話からはじめるぜ。
 なんの話かって? 薩長同盟さ」
西本 ヤァーーーハッハッハッハッ!
糸井 どっかで使えるかな?
ふたり 使えるわけないでしょう。
糸井 まあ、ともかく、史実としては大きいけど、
これまで薩長同盟なんてのは、
ぼくらがメインで語るようなことでは
なかったということですよ。
永田 そりゃそうですね。
西本 というか、この3人で
薩長同盟を語るというのも
ものすごくおかしな話ですよ。
もともとは、
「カニとスノボがテレビをダメにする」
なんてことを言ってたわけですから。
永田 「引田天功の番組を観たけど
 意味がわからなかった。
 まだ意味がわからない」

なんてことも言ってましたよ。
糸井 そんな我々が薩長同盟について語ろうとはなあ。
まるで多摩の若者が幕末の動乱に
巻き込まれていくようじゃないか。
永田 感慨にひたっているところすいませんが、
ちっとも薩長同盟について語ってませんよ。
糸井 語りましょう
ぼくが思ったのは、西郷と桂が、
じつはものすごくまともなことを
言っているということです。
西本 木戸です!
糸井 ‥‥ああ、失礼しました。
西郷と、桂あらため木戸が、ですね、
ドラマのなかではひじょうに堅物というか、
子どもじみた、わがままを言っているように
描かれていましたけれど、
それこそが三谷さんのセンスなわけですよ。
というのは、あれはやはり謀反の話なんです。
彼らはリーダーとして、
たくさんの人の運命を背負ってるわけですよね。
永田 はあはあ、なるほど。
龍馬が「まったくあいつらガキじゃきに!」
みたいなことを言っているので
たしかにそういう感じに思えるけれども‥‥。
糸井 ぜんぜん、子どもっぽくないですよね。
ぼくらは薩長同盟が歴史を動かすと
知ってるからそう感じるだけなんです。
当時の状況を考えると、勝算はあるとはいえ、
大博打だし、非常識だし、
とんでもない話なんですよ。
西本 幕府にたてつくわけですからね。
永田 犬猿の仲だったわけだし。
糸井 いや、もっと深い話ですよ。
というのは、ここでぼくらは
思い出すべきなんです。
我々の歴史のバイブルはなんでしたか?
永田 『東方見聞録』
西本 『若草物語』
糸井 そういうボケはいいから。
ふたり 『風雲児たち』
糸井 そうです。
つまり、1600年の関ヶ原から、
薩摩と長州がどれだけ幕府に
ひどい目に遭わされてきたかということです。
永田 ああ、萩へ追いやられた長州の行軍‥‥。
西本 薩摩に命じられた木曽川の大治水工事‥‥。
糸井 そういうことがずーっと
くり返されてきたんです。
幕府にしっぽをつかまれないようにして
生き延びてきたふたつの藩が
とうとうはっきりと
謀反へ転じようというときに、
そういう重い事実が、
もわーーっと
まるで真冬に急にサウナに入ったかのように
湯気となって立ちこめるわけですよ。
永田 旅先の宿で夜明けにふと目が覚めて
表に出たときに視界を覆う霧のように。
西本 ディナーショーでもくもくとたかれる
ドライアイスの‥‥。
ふたり そりゃ違うよ。
西本 お、また違いましたか。
糸井 どうもにしもっちゃんの比喩は
微妙にハズしますね。
永田 いや、にしもっちゃんの比喩は、
「微妙に違う」ということを
聞いた人が感じることによって、
そこに共通認識がしっかり生まれるので
結果的にはうまく作用するんですよ。
これを、「反面比喩」と呼んでいます。
糸井 なるほど。見事な反面比喩でした。
西本 恐れ入ります。
糸井 まあ、そういう歴史を背負っている両者が
手を組んで幕府に反旗を翻すのは
たいへんなことなんですよ。
西本 松平容保公が夜空を見ながらつぶやいた
「300年の‥‥」というセリフにも
同様のものを感じました。
永田 あそこは『風雲児たち』に対する
はっきりとしたオマージュに思えました。
ふだんずっと座っている容保公が
わざわざ部屋を出て
「300年の時を超えて
 再び島津、毛利と相まみえるか‥‥」
で、見上げると、キラ星たち。
西本 『風雲児たち』ですよね。
ぼくらが教科書で学んだのとは違う
先祖から口伝えで教わった歴史の重さですよ。
「幕府に逆らったら何されるかわからんよ」
ということを血として
覚えているんだと思うんですよ。
いうならば、
「一子相伝の北斗神拳」みたいなことですよ。
糸井 そりゃまた微妙に違うんじゃないですか。
永田 一子相伝じゃダメじゃないですか。
西本 我ながら見事な反面比喩でした。
糸井 まあ、もちろん、みなもと太郎さんが
なにもかもつくったわけじゃないけれど
あのつながりでみていく歴史感というのは
あるんだと思うんです。
天皇につかえる立場だった毛利が
本州の端の萩に追いやられたり、
薩摩が木曽川改修工事を命じられたり、
それを辛抱しながら生きてきたふたつの藩が、
300年の歴史のなかで
曲がりなりにも外国にケンカを売れるくらいの
蓄えと力を持ったわけですよ。
あそこで西郷と桂が言ってるのは──。
ふたり 木戸です!
糸井 ああ、そうそう、西郷と木戸が言ってるのは
子どもっぽいメンツを言ってるわけでなくて
ふたりにどっしりとのしかかっている
「しかるべき重さ」なんですよ。
ということを考えていくと、
やっぱりね、龍馬なんですよ。
永田 あああ、なるほど。
西本 龍馬ですねえ。
糸井 歴史をつくる重さを両肩に感じてるふたりを、
平気で笑えちゃう龍馬がおもしろいんですよ。
根本的な教養と違うところに龍馬がいたから
ああいうことができたわけで
「薩摩と長州の気持ちはわかるぜよ!」
っていうふうに共感して
「安らぐのだ」なんてことを言ってたら
時代は動かなかったわけですよ。
永田 いま、関係ないセリフが入りませんでしたか?
西本 聞こえたような気がしますね。
安らぐ、とかなんとか。
糸井 ともかく龍馬なんですよ。
誤解を恐れず言えば、
龍馬の「バカ」が歴史を動かすわけです。
世にあれほど龍馬ファンが多いわけが
よくわかりますよね。
永田 当時の教養が染みついている人なら、
まあ、ふつうに考えて、
「じゃあまあ、後日あらためて話すぜよ」
となりますよね。そんで、半年くらい
平気で過ぎちゃったりして。
西本 あああ、そういうふうにして
消滅していくプロジェクトってありますわ。
糸井 ありますよ!
「よ〜く考えてやらんといかんぜよ」
なんてことを言ってしまったら
できなかったわけですよ。
それを「握手&ほおずり」まで
持っていく龍馬という男の軽さが
300年の歴史の重みを
ひょいと持ち上げてしまうところに
ぼくは三谷ドラマの
パワーを感じてしまうんですよ。
永田 日本を変えたという単純なヒーローではなく、
別の考えを持った「バカ」の軽さとして
描いていることに。
西本 龍馬は所属先がないということが
大きな要因かもしれませんね。
糸井 そういうことですね。
バカ出身ということでパラダイムが違う。
永田 パラダイス?
西本 ‥‥楽園のことですよ。
糸井 パラダイムっていうのは
考え方の組立、枠組みみたいなものです。
他の人は、これとこれは
最低限知っているということで
思想は形成されているんですよ。
龍馬っていう人は泣き虫のねしょんべんたれで、
しかも下級藩士の子どもで
どうしようもないところから育ったことで
ものの見かたがあの登場人物の中で
ひとりだけ違うと思うんですよ。
近藤や土方だって、
最初はそんなに教養はなかったと思うけど、
「あっちも知らなきゃな」って
強く思ってるじゃないですか。
ところが、龍馬が見つめているのは
海の向こうとかですからね。
わけわかんないですよね。
そりゃ、みんな
「わしゃ龍馬が好きじゃ!」
なんてことを言うはずですよ。
だって基礎のないやつが
世界を変えるわけだからね。
永田 知識や分析よりも瞬発力、みたいな。
糸井 そうそう。解釈によっては
「理想と決断さえあれば
 バカでも世界を動かせるぜ」
と見えるわけだからね。
ところが、それは運命をあとから
観ているから思うことであって、
「じゃあバカを磨けばいいか!」
って思ってしまう現代のオレらは、
すでに本を読んでしまってるわけだよね。
永田 うーーーん、なるほど!
こりゃ見事な脱線だ。
糸井 うん、脱線だけど(笑)。
西本 脱線ついでに言うと、
つねづね思っているのは
「龍馬は現場に居合わせているなあ」
ということですね。
できる電通の営業マンのように
とにかく、そこにいるという。
糸井 要するに、龍馬は、根本に
「こいつは何を欲しがっているんだろう」
というところをものすごい速度で
考えてますよね。
あれは子ども、というか、
「ガキ大将」の考えかたですよね。
土方が「誠」の旗を見つめるように、
ほかの人たちが、
義とか恩とか誠とか
昔の人が漢字一文字で表したことに
命をかけているような時代に、
「人が何を思っているか」
ということを考えているわけです。
永田 ぼくらはこれまで盛んに、
「あいつらは目的がわかっていない」とか
「誰ひとり正解をつかんでいない」とか
言ってきましたけど、
あの時代の人たちは「あの時代の知性」に
がんじがらめになっているわけですね。
糸井 そう。それが役に立たなくなったというのが
幕末という時代なわけです。
つまり、新しいパラダイムというのは
前の勉強をした人からは出てこない、
ということが表されていますよね。
だから、このドラマで時代を動かすのが、
パラダイムの違う、龍馬と捨助なわけです。
‥‥まあ、そういうわけで、
以上、「薩長同盟」という小ネタでした。
ふたり 小ネタかいっ!
糸井 話し出したら広がっちゃった(笑)。
永田 捨助といえば、今回の展開で
兼ねてよりウワサされていた、
「鞍馬天狗」以外の説が
現実味を帯びてきましたね。
糸井 それは、例の「実行犯説」ですね?
西本 ええ。今回の一件で
動機がそろいつつあります。
永田 そのあたり、想像しながら観るのも
たのしみのひとつですね。
西本 まあ、どうなるかわかりませんが。
糸井 そういう、ほんとの小ネタを
もうちょっと話したいですね。
永田 あ、じゃあ、
これぞ小ネタという小ネタを。
ふたり どうぞどうぞ。
永田 今回のタイトルは
「薩長同盟締結!」なんですけど、
タイトルがいつも直球ですよね。
なんかもう、仮タイトルみたい。
糸井 ああ、そういやずっと直球だよね。
永田 そうなんですよ。
そのまんま、っていうものばかり。
「新選組誕生」「直前、池田屋事件」
「永倉新八、反乱」「山南脱走」って。
いままで観たなかで「友の死」くらいでしょ。
象徴として名づけているようなものは。
これ、三谷さんの配慮なのかなあと思って。
つまり、1年間をかけてドラマをつくるなかで
しばらくのあいだ観てなくても、
タイトルを続けて眺めるだけで、
どういう筋で話が流れて、
どのへんまで進んできたかって
わかるじゃないですか。
糸井 つまり、「ファイル名」ですね。
あとから見ても内容がわかりやすいという。
永田 そうですそうです。
以上、小ネタでした。
西本 こりゃたしかに小ネタでした。
永田 恐れ入ります。
糸井 ちょっとオレも小ネタだけど‥‥。
永田 ほんとに小ネタですか?
糸井 や、これはほんとに小ネタ。
あのさ、ちょっとさ、新選組の一同さ、
みんな太ってきてないか?
西本 ああ、そうかも。
糸井 個人的な深読みだけど、
みんなが慣れてきたんじゃないかと思うんだ。
というのは、つまり、撮影のはじめのころって、
みんな緊張しているわけでしょ。
しかも、あんな豪華メンバーだから
スケジュールもタイトだし。
そうとう、日々の暮らしを
変えられてたと思うんだよ。
さらにいうと、撮影って、
寒い時期に始まるじゃないですか。
だから、これまでってほんとに
緊張してやせてたんじゃないかと。
永田 それが、ドラマが進むにしたがって慣れてきて、
元に戻ってきたんじゃないかと。
糸井 うん。
西本 異議アリ!
糸井 おお(笑)。
永田 いいねいいね(笑)。
西本 慣れてきたというのは同感ですが、
ぼくは「打ち上げ説」を理由に挙げます。
永田 「打ち上げ説」?
西本 ドラマの中身が濃くなるにつれて
演者やスタッフの結束も
深まっていってると思うんですよ。
だって、毎回誰かが死んだりしているわけです。
撮影の終わりというのも
たんなる「お疲れさま」じゃなくて
お別れ会のようなものだと思うんです。
『太陽にほえろ!』でいえば、2〜3回に一度、
松田優作が殉職をするようなものですよ。
‥‥この例え、大丈夫ですか?
ふたり 大丈夫です!
西本 ありがとうございます。
つまり、なにが言いたいかというと、
最近の回は、撮影の終わりに、
毎回「打ち上げ」が行われてるんじゃないかと。
まあ、手っ取り早く言ってしまうと、
太ってみえるのは「酒」なんじゃないかと。
糸井 おお!
永田 なるほど!
西本 たとえば土方演じる山本さん。
ぼくの個人的な読みから言えば、
山本さんは打ち上げの席でも途中で
「ちょっと抜けるわ」なんてことをせずに
最後まできっちり
飲みあげるタイプだと思いますよ。
一晩で喜怒哀楽、全部出しちゃう人かと。
糸井 まったく根拠はないけれど‥‥。
永田 説得力あります。
西本 ありがとうございます。
見てきたかのように言うのは得意です。
永田 じゃあ、そろそろ、今回のメインというか、
壬生心中の話に行きましょうか。
西本 「柔道の人」こと松原と、
「長州の後家さん」ことおはつの話ですね。
糸井 あの場面、ぼくはちょっと、
ふつうの人と解釈が違うかもしれません。
永田 どういうことですか?
糸井 日曜日に最初に観たときは、
ふつうに「哀しいなあ」と思って観たんだけど、
今日観たらちょっと感覚が変わったんだよね。
西本 具体的には?
糸井 ええとね、先週の女子部の情報で、
「土方がほんとうにイヤなやつに
 なっていくかもしれない」
という情報があったじゃないですか。
今週なんかはまさにそういう回だと思うんだよ。
でもね、じつはぼく、観おわって
土方にけっこう思い入れが強いんですよ。
永田 あ、ぼくもそうですよ。
西本 ああ、ぼくもそっちです。
糸井 あ、やっぱり?
西本 ああなってしまったことは
しかたないですけど、
あんなにぺらぺらしゃべっちゃダメです。
永田 同感です。
禁じられた恋は秘め事にしておきなさい
と言いたいです。
糸井 まあ、あそこに含まれる成分としては、
「おじさんもてちゃったんだよね」
ということだよね?
ふたり わははははははは。
糸井 「おじさんもてちゃったんだよね」
というのは、考えてみると、
男の人生の中でいちばんいけないよね?
西本 や、それはそうです(笑)。
永田 このニュアンス、伝わるかなあ(笑)。
哀しい話である、という
まっとうな解釈はさておいて、
という話ですよね。
糸井 そうそうそう。
西本 またイヤな解釈していいっスか?
ふたり どうぞどうぞ。
西本 松原は新選組に入ったから
ああいうことになったんですよ。
新選組に入る前や
新選組がもっと小さいときの松原だったら
あそこはのめり込んでないはずなんですよ。
永田 わーーー。
糸井 ほんとにイヤなこと言うなあ。
西本 すいません、性分なんです。
「イヤなもの分析」が得意なぼくからすると、
「調子にのっちゃったな」と。
永田 泣ける要素を取っ払って、
まあ、たとえば松原を
にしもっちゃんの昔の同僚だとして、
飲み会の席なんかで肴にしたとすると──。
西本 「まあ、人間、
 そういう時期ってあるんだよ」
っていう感じですね。
糸井 西本さんの分析でいうと
「一流企業の紙袋を抱えてる」
ようなことですね。
西本 そう、身の丈よりも
出世しちゃった人なんですね。
糸井 きっついなぁ!
西本 それを隠すために
「純情」という手を使ってますけど
出世もて系なんですよね。
キャバクラで名刺でもてるようになって
その勢いで調子こいちゃったみたいな。
同じように後家さんとくっついている
ぐっさんも出世もて系なんだけど
それは天然だからオッケーなんですよね。
永田 ぐっさんは、呼び寄せて夫婦になるまでは
ちゃんと黙ってましたからね。
糸井 そうだね。その意味では、ぐっさんは、
「おじさんもてちゃったんだよね」
とはちょっと違うわけだ。
けど、その分析は恐ろしいことを突いてるね。
となると、ますます
土方が言っていることは正しいですよね。
あれを許しちゃったら、
相手を殺して女房をとるなんてことが
当然、出てきますからね。
そういう松原の「無自覚な甘さ」っていうのは
土方にとがめられた直後の
「いま腹を切ります!」ってところで
バレちゃってますよね。
西本 周囲が止めるに決まってますからね。
場所的にいっても、あそこは
西本願寺というお寺の中ですから。
寺でいきなり切腹なんて、
「ちょっと待て」ってことになりますよ。
掛け軸破るよりそっちの方が
よっぽど坊さん怒りますよ。
糸井 あいたたたたた。
西本 もちろん、松原がそこまで
シナリオを書いているわけじゃないです。
けど、「純情なんだけど一流企業」
みたいな成分が勝手にひとり歩きしている。
糸井 それは新選組という
田舎から来た人の弱みだよね。
西本 ええ。主役になっちゃったオレというのを
もてあましながら、うれしがりながら。
糸井 そのせつなさは痛い!
西本 一時のビットバレーとかベンチャーとかと
似た匂いを感じますよね。
永田 いやいや、ちょっと待って、
そりゃちと言い過ぎじゃないか?
ていうか、含まれてる成分としては正しいけど、
的確すぎて、ちょっと引くわ。
糸井 めずらしく比喩が的確すぎるんだな(笑)。
西本 自分でもちょっとイヤなんですが、
こういう例えは得意分野なんですよね。
永田 バランスを取りたがる性分として言うと、
まあ、松原は甘かったんでしょう。
でも、その甘さは自分でも
わかってたんでしょうね。
「まちがったことはしてない」って
思いながらも、おはつに刺された直後の表情は、
自分の甘さを受け止めたというか、
土方の正しさにさえ気づいたように思えました。
西本 オダギリとの無言のやり取りは
そういう感じでしたね。
糸井 あそこに踏み込んだのが
永倉でも左之助でも、ああはならないよね。
また、松原と斎藤は以前に
やり合ってる背景もあるからね。
その意味での介錯役なんでしょう。
西本 せつないっす。
永田 せつないなあ。
糸井 一方、おはつのほうの動きはどうですかね。
ぼくは、最初に観たときは、
きちんと狙って殺した動きに見えたんですが、
もう一度冷静に観るとね、
途中のセリフとか、心の動きとかが、
なんかこう、複雑すぎて、
「殺しに行く」感じに見えなくて。
永田 ん? それは、
「殺す動機」の話ですか?
「殺す雰囲気」の話ですか?
糸井 「雰囲気」のほう。旦那の仇なのか、
好きになってしまう自分を許せないのか、
その両方なのかわかりませんけど、
動機はわかる。別れるとしたら殺すしかない。
西本 つきあっても未来がないし
つきあってもつらいし。
糸井 うん。だから「殺す動き」だよね。
まあ、油断してたとはいえ柔道の達人に対して
女の細腕で小刀を刺す、と。
そこはドラマのフィクションでオッケー。
永田 うんうん。
糸井 だけどそのまえの緊張感がないというかね。
色仕掛けでメロメロにしたわけでもないし。
ついに実行するにしても、
力を出す寸前の緊張というか筋肉の動きが、
こう、ハンパだったかなあ、と。
永田 ああ、それ、ある意味で
ぼくも同じことを感じてます。
なんだけども、結果的に、
まったく逆の感じで作用しました。
糸井 どういうことですか?
永田 あの前にまず、料理を出すところで
抜かれたあとの鞘(さや)が映りますよね。
つまり、明らかに
「殺しに行く」っていう伏線がはられた。
誰がどう観ても、女は殺すつもりだ、と。
しかも、糸井さんが言ったように、
ものすごい緊迫感があるわけじゃない。
というときに、観ていたぼくは、
「あ、こりゃ殺せないんだろうな」
って感じたんです。
糸井 あ、なるほどね。
永田 あそこまで殺しをにおわせておいて、
殺してびっくりというわけにはいかないから
こりゃ殺せないだろう、と。
殺しに行くにしても、松原に気づかれるとか、
気づいた松原が刀を止めて、
その刀で自分を刺しに行くとか、
とにかく失敗するだろうと。
そんなようなことを
ぼんやり予感していたときに
そのままブスリといったから
一周して「え!」って驚いたんです。
まあ、そんな複雑なことを
狙ったとは思わないけど、
もしもそこまで考えられていたとしたら
三谷さんに、もしくは演出家の人に、
まんまとハメられたということになります。
糸井 それはちょっとおもしろい考えかただね。
いろいろ感じかたがあるなあ。
西本 ところがぼくはまた、
ぜんぜん違うことを感じていました。
永田 おお!
糸井 いいね(笑)!
西本 女が懐に刃物を隠し、
障子をピシャリと締めた瞬間‥‥。
ふたり うんうん。
西本 こりゃ濡れ場だ! と。
『新選組!』初の濡れ場だ、と。
ふたり ‥‥‥‥。
西本 まずは松原を裸にしちゃって、
刺すならそれからだろう、と。
ってことは、濡れ場だ!
大河ドラマで濡れ場だ!
糸井 もうけっこうです。
永田 「土方支持!」のところでは
3人の意見が一致したのに、
女についてはバラッバラだなあ‥‥。
糸井 フォローするわけじゃないですけど、
最初にひとりで観たときは、
そうとう引き込まれましたよ。
ちょっと胸がキュンとするような
なんかを感じたのは確かなんですよ。
西本 や、ぼくもそれが前提です。
永田 斎藤の瞬時の苦悩とか、
近藤と土方と斎藤の結束とか、
そのあたりまで含めて、よかったです。
糸井 まあ、今回の感想はそのあたりで
まとめておいて、
いくつか報告がありますよね。
西本 そうですそうです。
まず、例のメッセージをお願いします。
永田 了解しました。ええ〜、コホン。
『新選組!』ファンのみなさん!
またしてもテレビガイド宛に、
三谷さんからメールが届きました!
そこにはこんなメッセージが!
糸井 なんというメッセージですか!
永田 「第13回『芹沢鴨、爆発』を
 いますぐにでも観ておきたまえ」と!
ふたり そして?
永田 「観たらすぐに忘れてくれたまえ」と!
西本 意味深です。
永田 ちょっとした愉快犯です。
糸井 たんなるイタズラだったらおかしいですね。
永田 ともあれ、我々はすぐ観るつもりです。
西本 そして報告がもうひとつ!
ふたり なんでしょう!
西本 以前、糸井局長が乱暴に宣言した
「京都へドライブ」企画ですが、
9月26日、日曜日に決行します!!
永田 ほんとに行くとは思わなかったなあ。
糸井 行くと言ったら行くんだ。
西本 名づけて、
「ほぼ日テレビガイド男子部修学旅行!
 〜京都に新選組を訪ねて〜」!
永田 日曜日の朝10時出発予定!
無理矢理、中継もします!
糸井 やると言ったらやるんだ。
西本 どうなることやらわかりませんが‥‥。
三人 おたのしみに!


ほぼ日テレビガイド
〜女子の部〜



モギコ
ねえねえ、ちょっと聞いて。

ゆーないと
なんですか??

モギコ
あたしの知り合いがね、
ダンナの実家で『新選組!』を
観ようとしてたんだって。

ゆーないと
ほーほー。

モギコ
そしたら、実家の方々に、
「そんな殺人集団の話を観てはいけません」
って言われたらしい。

ゆーないと
さ、殺人集団‥‥。

モギコ
すっごい偏った意見だよねー。
一周して、笑っちゃったよ。

ナカバヤシ
あーーーー、気になるっ!

ふたり
な、なにごと?

ナカバヤシ
あのコンペイトウは
なんなんだっ!
伏線なのか! 象徴なのか!
まえは西郷が食ってたけど、
あんなに何度も映すなんて!
あーーーー、気になるっ!

モギコ
ど、怒鳴りながら行ってしまった‥‥。

ゆーないと
バヤシさんも疲れてますね‥‥。

モギコ
ところでさ、今回気づいたんだけどさ、
会津藩公用方の広沢さんって
なかなかナイスなガイじゃない?

ゆーないと
ええ、ええ、注目すべきです。
もっくんに似てるという声もあります。
役柄としても、いい人です。

ナカバヤシ
あーーーー、気になるっ!

ふたり
ま、また来た。

ナカバヤシ
龍馬の前髪は
地毛なのか! ヅラなのか!
地毛だとしたら、
かなり長いんじゃないのか!
ぼちぼち切ったほうが
いいんじゃないのか!
あーーーー、気になるっ!

モギコ
またしても怒鳴りながら行ってしまった‥‥。

ゆーないと
テンパってる‥‥。

モギコ
ところでさ、おはつさんだけどさ。

ゆーないと
はいはい、よかったですね!

モギコ
そうなの、そうなの。
松原を刺したあとの、あの目!

ゆーないと
ちょっとうるんでて、
それでいて強くて‥‥。

ナカバヤシ
あーーーー、気になるっ!

ふたり
‥‥‥‥。

ナカバヤシ
50両ってのは
現代でいうといくらなのか!
あと、斎藤一は
どうしていつも
暗闇から現れるのか!
それから、それから、
来週、切腹するのは誰なのか!

ふたり
それは気になる!


さんにん
あーーーー、気になるっ!


ほぼ日テレビガイド
〜美術部〜

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2004-09-24-FRI

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