| 糸井 |
これがねえ、生番組なんだけど、
とにかく謎の番組でさ。
わからなくてついついずっと見ちゃったんだよ。 |
| 永田 |
どんな番組なんですか？ |
| 糸井 |
とにかく、ずっと、
「天功さんはこちらに向かってます！」
って言ってる番組なんだよ。
つまり、天功さんの身に
何が起こったかってことを延々追いかけてるの。
録画と生放送が入り交じってて、
「追いかけたんだけど
天功さんに成田でまかれた」とか、
「リムジンでこっちに向かってる」とか、
「飛行機の予約がいくつも入ってるから
どれに乗るかわからない」とか、
そういうことをずっとやってるんだよ。 |
| 西＆永 |
？？？？ |
| 糸井 |
第一空港にも第二空港にも
天功さんは現れなかった。
しかし、韓国には現れた形跡がある、みたいな。 |
| 西＆永 |
？？？？？ |
| 糸井 |
っていう報告をやりつつ、
「天功さんはいま、スタジオに向かってます！」
っていうことを言ってるんだよ。 |
| 西＆永 |
？？？？？？？ |
| 糸井 |
つまり、早い話が、
生放送にずっと引きずられながら、
「オレは何を見ればいいんだっ！」
っていう状態なのよ。 |
| 西本 |
なんですかそれ(笑)。 |
| 永田 |
メインは天功さんのマジック？ |
| 糸井 |
いや、天功さんは
イリュージョンをやるわけでもなんでもないの。
とにかく我々は天功さんにまかれたと、
そいう話をやってる。
飛行機は飛んじゃったから、
あれには乗ってないみたいな話をやってる。
でも、リムジンはスタジオに向かってて、
みのもんたが「天功さんはもうすぐ来ます！」
って言ってるわけ。 |
| 永田 |
なんなんですかそれは。 |
| 西本 |
なんなんですかそれは。 |
| 糸井 |
よくわかんないんだよ！
でも、生放送なんだよ。
で、まあ、天功さんがとうとう着きましたと。
みのもんたが訊くわけだ。
「天功さん、あなたは韓国で
どうしてたんですか？」と。
ところが天功さんはなんにも答えない。
わざわざリムジンでかけつけたのに、
質問をするとマスカラをばさばささせて
下を向いちゃう。
「いまは言えないことですか？」って訊くと、
こっくりうなずく。 |
| 西＆永 |
なんなんですかそれは。 |
| 糸井 |
早い話がなんの番組か
とうとうわかんないんですよ！ |
| 永田 |
わかんないって前提で話を聞いても
なんだかわかんないですよ！ |
| 糸井 |
だって、そういう番組なんだよ！ |
| 西＆永 |
チャンネル変えればいいじゃないですか！ |
| 糸井 |
変えられないんだよ。
だって、何がなんだかわからないから！ |
| 永田 |
ええと、テレビ欄にはこう書いてあります。
「北朝鮮に何度も招かれた引田天功が
南北の架け橋になりたいと念願の韓国公演！
新たに起きたミステリーとは!?」 |
| 糸井 |
‥‥そのとおりです。 |
| 西＆永 |
（爆笑） |
| 西本 |
ずっと見てたんですか？ |
| 糸井 |
そう。２時間くらい。 |
| 永田 |
28日の７時から９時まで！
けっこうおもしろそうな番組あるのに！
『からくり』も『Ｍ−１』もありますよ？ |
| 西本 |
オレ迷わず『Ｍー１』観てましたよ。 |
| 永田 |
オレも『Ｍ−１』。 |
| 糸井 |
‥‥ぼくは天功さんを２時間。 |
| 永田 |
『Ｍ−１』よかったですよ。 |
| 西本 |
よかったですね！
笑い飯、よかったですよね。 |
| 永田 |
笑い飯、よかった！
グランプリ獲った
フットボールアワーもよかった。
個人的には笑い飯のほうが好きだったなあ。 |
| 西本 |
ぼくも笑い飯ですねえ。 |
| 糸井 |
‥‥笑い飯については、
ぼくもつねづね見たいなあと。 |
| 永田 |
アンタッチャブルもよかったなあ。
なんか、いっつもあの人たち、
準優勝みたいなところにいるね。 |
| 西本 |
アンタッチャブルは、
とくにツッコミがよかったですね。 |
| 永田 |
そうそう。あの人うまくなってるよね。
それがわかるのは
ＮＨＫで『爆笑オンエアバトル』の
再放送をやってて、それ見たからなんだけど。
４年前くらいのやつとかやってたから、
いま旬な人たちの成長が見えて
おもしろかったなあ。
あの、ボケの人って当時から
わりとおもしろかったりするんだけど、
ツッコミの人って、
どんどんうまくなるんだね。 |
| 西本 |
ああ、ツッコミは進化しますね。
演技がうまくなったりしますから。
ボケは最初からおもしろいというか、
そもそもボケがよくないと
テレビに出るレベルまでこれないので。
そもそも、目の利くツッコミが
自分よりおもしろいボケを誘って
コンビを組むパターンが多いですからね。 |
| 永田 |
なるほどなるほど。 |
| 糸井 |
オレもそういう会話がしたかった‥‥。 |
 |
| 西＆永 |
（爆笑） |
| 糸井 |
なんであれ見ちゃったかなあ。
ちょうどチャンネル変えてたら、
「いま向かってます！」ってところで
そこから引きずられちゃったんだよ。 |
| 永田 |
でもそれ、わかりますよ。
ダメだと知りつつ見ちゃうことあるもの。
あれですよね、ダメだとわかってるけど、
いままでそれを30分見ていて、
そのうえ結末まで見ないとなると、
「何もかもがムダじゃないか！」
みたいな気分になるんですよね。 |
| 糸井 |
そうそうそう！
ばくちで負け続けるって感じなんだよ。
負け続けてるからこそ、
おりるわけにはいかないんだよ。 |
| 西本 |
あ、それ、わかるわあ。 |
| 永田 |
方向音痴の人が
道を引き返せないのといっしょですね。
間違いなんだけど、いま引き返すと、
いままで来た道のりがムダじゃん、っていう。 |
| 糸井 |
いや、ほっんとにその通り！
ちなみにカミサンはね、台所にいたんですけど、
「まだ観てるの？」って
ときどきぼくに言ってました。 |
| 西本 |
あはははははは。
「それ負けばくちなんだからやめれば？」
っていうことですね。 |
| 永田 |
傍観してる人にもわかってるんだ。 |
| 糸井 |
この思いを誰かと分かち合いたいなあ。 |
| 西本 |
メールで募集したらどうですか？ |
| 永田 |
「私もあれを見てしまいました！」みたいな？ |
| 糸井 |
そうしよう！
あの番組はなんだったんだろ､っていうのを
誰かと共有したい。
メールの件名に「テンコーさん」と書いて
メールしてください！
（宛先は、postman@1101.com） |
| 西＆永 |
（失笑） |
| 永田 |
あ、そうそう。そういうのがあるからこそ、
「ふつうの忠臣蔵っておもしろいなあ」
って思ったんですよ。
ちゃんとした時代劇っていいなと。
最近、時代劇って若手の抜てきがあったりとか
現代風の要素が売りになってるじゃないですか。
でも、テレビ東京のやつは
「おのおのがたぁ〜」みたいな
わりと、コテコテのやつだったので。 |
| 糸井 |
ああ、なるほどね。それはわかる。
でもね、それはつまり‥‥あ、
これからオレが言うのは名言よ？ |
 |
| 西本 |
はい、お願いします！ |
| 糸井 |
‥‥いま。日本のあらゆる時代劇は
ロジャーラビット化してるんだよ。 |
| 西＆永 |
ほほーー。 |
| 糸井 |
日本のあらゆる時代劇は、いま、
ロジャーラビット化してるんだよ。 |
| 永田 |
なんで２回言うんですか。 |
| 糸井 |
つまり、リアルとアニメのカトゥーンランド
みたいになってるんだよ。
大河ドラマにしても、やっぱり、
『新選組！』香取慎吾が近藤勇っていうのは
ロジャーラビット的なんだよ。 |
| 永田 |
うんうん。だからこそ、
ふつうの『忠臣蔵』が
新鮮だったように思うんですが。 |
| 糸井 |
でもね、年長者として言わせてもらうとね、
時代劇って昔からそうなんです。
いまに始まったことじゃないんです。
ずっと、ロジャーラビットやっているんですよ。 |
| 永田 |
あああ、そうかそうか。 |
| 糸井 |
つまり、昔、石坂浩二が
ＮＨＫの連続ドラマに出るときだって
「あの石坂浩二が？」って言われたんですよ。
あの人は昔、おさまりのいい人じゃ
なかったからね。 |
| 西本 |
そういえば、去年ＮＨＫの楽屋で
石坂浩二さんが話していたのを思い出した。
「ぼくは学生演劇でしたから」ってことを
さかんにおっしゃってましたよね。 |
| 糸井 |
そうそう、そういうこと。
つまりね、時代劇というのは昔から、
古い革袋に新しい酒を注ぎ続けてきたんですよ。 |
| 西＆永 |
なるほど。 |
| 糸井 |
時代劇というのは昔から、
古い革袋に新しい酒を注ぎ続けてきたんですよ。 |
| 永田 |
‥‥なんで２回言うんですか。 |
| 糸井 |
これ、ちょっと残念でしたねえ。 |
| 西＆永 |
残念でしたねえ。 |
| 糸井 |
けっきょく、いままで見てない人向けの
ニューカマー紹介番組になってましたね。 |
| 永田 |
そうそう。
新作コントがたっぷり見られるかと思ったら、
ダイジェスト風のつくりになってて、
しかも完全に「傑作選！」という感じでもなく。 |
| 西本 |
なってなかったですね。
タレントさんとのやり取りよりも
コントが見たかったですねー。 |
| 永田 |
まあ、でも、ゲラゲラ笑いましたけどね。
何回見てもおもしろいのあるし。 |
| 糸井 |
ぼくはとくに「バカボンド」のコントを
連続で見られたのがうれしかったですね。
ぼくのまわりにあれをほめる人が
あんまりいなかったんで、
誰かに伝えたくてたまらなかったから、
よかったです。 |
| 西＆永 |
あれはおかしい(笑)。 |
| 糸井 |
「これな、これをな、こうやってな」
（しばし武蔵のマネをしたのち、我に返る）
‥‥まあ、これ以上はやりませんが。 |
| 西本 |
そのくらいにしておいてください。 |
| 永田 |
ぼくは、ビジュアル系バンドのやつを
まとめて見て、歌の最後のとこの
殴られっぷりのよさと、
殴りっぷりのよさを再確認しました。 |
| 西本 |
あれはすごいっスよね。
とくに殴るほうがすごいと思う。 |
| 永田 |
そういやこの日は、
そのあともお笑い番組が続いてましたね。 |
| 西本 |
ウッチャンナンチャンのと、
くりぃむしちゅーのと、
ココリコのが重なってた。 |
| 永田 |
ぼくはくりぃむしちゅーを
ビデオに録りました。
そのあとの『生つるべ』も録ったけど
まだ見てないや。 |
を振り返る。
