読みなおす2003。
「ほぼ日」1年の名言を3日で読む!




矢沢永吉の開けた新しいドア。

 
「何かが出しつくされたと思われた後で、何ができるか?
 ファッションなんか見てよ。裾が広がっているズボンは、
 昔は、ラッパやパンタロンって言ったもんよ。
 あれ、俺が中学校のころからすると、
 少なくとも、四回はその時代が来たと思う。
 でも、そのたびに名前がぜんぶ違うんだよ。
 デザインは一緒なの。
 だったら、おもしろさが出つくくした時に、
 古いとされている、その古さって何なんだ?
 古いか、新しいかの、問題じゃないんだよ。
 たまたま、時間は通り過ぎていくもので、
 既にあったものを後ろに行かせなきゃいけない。
 だから、便宜上、古いって言ってるだけで、
 どっちがいいとか、そんなはずはない。
 古い、新しい、は、誰が決めたんだという話だよね。
 古い? 新しい? 関係ない。
 彫刻とか民芸品とか、何でも、そうじゃないの?
 職人とか名人芸だとか、今、改めて言われているからね。
 古いとか新しいとかが関係ないなら、
 言いきるヤツ、やりきるヤツ、貫ききるこそヤツが、
 本当は、どれだけ豊かなことか。
 今の世の中の価値観でも、もう、そういう捉え方が、
 既に、はじまっているのかもしれないよ。
 古いとされているものには、捉え方一つで、
 感じ方一つで、カネが埋まってんのよ。
 これ、俺の分野の話をしてるようだけど、違う。
 すべてに言えると思う。
 どの世代でも、みんなが、
 自分で言いきっちゃうようなワガママさが出てきたら、
 本当の意味でのおもしろい時代が来るかもわかんないよ」
 

(※54歳を迎えて一皮も二皮もむけた矢沢永吉さんの、
  「古さ」「新しさ」についての発見には、大反響が!
  「矢沢永吉の開けた新しいドア」一気読みはこちら



『MOTHER』の気持ち。

 
「自分の子どもって、しばらくは幼児として扱いますよね。
 べったりかわいがる時期、小学校、中学校と進んで、
 大きくなっちゃったら、たまに会ううれしさがあります。
 ちっちゃいときはお人形さんみたいにかわいくて、
 さぞかし美人になるだろうと思ってた子も、
 そうじゃないとわかったりするわけですよね。
 でも、それはそれでおまえだよって思えるんです。
 欠点も含めて、こういうやつがいるんだ、と。
 そういう愛しかたができるようになるんです。
 もちろん、親って、大いにまちがうんですよ。
 親と同じまちがいを次の子どもにしちゃうかもしれない。
 でも、大いにまちがったことも含めて関係をつくって、
 なんだろう、暗くならずに解決したいじゃないですか。
 弱さをいっぺんひっくり返してポジティブに変える、
 そんな力がゲームにあったからこそ、
 『MOTHER』は生き残っているんじゃないかと思います。
 ものをつくるときは、いったん忘れるようにしてるけど、
 たとえばテキストを書くときに、自分ちの子どもが
 それをどういうふう読むかなっていうのが、入ってくる。
 そのくらいの動機があるときには、やっぱり、
 いいものをつくる気持ちが本気になるんですよ」
 

(※糸井重里がじっくり語る『MOTHER1+2』の制作秘話。
  『MOTHERの気持ち』の一気読みは、こちらでどうぞ



お父さんと、いっしょ。

 
「何が普通か、わかんなくなってきちゃうんですが、
 うちのお父さんは、ちょっと違うっていうか、
 恥ずかしいのは、映画とかですごく泣くんですね。
 『シンドラーのリスト』を一緒に見に行ったときに、
 映画館で、横ですごい震えてて。オエツとかして(笑)。
 私は横で『この人、すごい泣いてる!』って思って。
 中学2年とかだったと思うんですけど。
 どうしよ、どうしよ?とか思いながら。
 『ジュラシックパーク』を見に行ったときなんて、
 足下からバクッて恐竜が来るシーンがあったときに、
 自分のところに恐竜が来たみたいに、
 『ワァ〜ッ!』って叫んでよけたりとかしてて。
 さすがにちょっと恥ずかしくって。
 『ここ、家?』みたいに思ったりとかして。
 ただ、手紙では、すごい思い出深いことがあって。
 高校生のとき、学校の帰りにカラオケに行ったんですよ。
 それが先生にバレて、寄り道はいけないと言われてるのに
 カラオケなんて行って、先生にすっごい怒られたんです。
 部活のみんなで行ったんですけど、
 『部活、もう活動禁止!』みたいになって。
 『先生のバカヤロー!』みたいな感じになっちゃって。
 で、すっごい参ってたんです。
 『親も呼び出しね!』とか言われてて。
 もーやだー、とか思って辛くなってたときに、父が、
 『いや、俺も行くから。先生のとこ行くよ』って。
 それで、手紙をくれたんです。
 『辛いことがあるけど、それを乗り越えれば、
  少しずつ大人になって、いい人になれるよ。
  楽しいばっかりのドラマは観ててもつまらないでしょ』
 みたいな、そういうかんじでした。
 ほんと、でも、そうだなあって。
 サンタさんを現役で信じてたのに、
 『サンタさんって、いつから信じなくなった?』
 って言うような父なんですけど」
 

(※読者のみなさんからの、親子体験談も、どっさり到着!
  家族企画「お父さんと、いっしょ」一気読みはこちら



カンバセイション・ピース。
書きあぐねている人のための
小説入門。

 
「言えてしまったたら、言葉じゃないと思います。
 ほとんどの気持ちというのは、言葉で言える前の状態で。
 だけど、世の中で頭がいいと思われている人は、
 たいてい、物事を分析できる人のことなんです。
 でも『分析』って要素に分解することでしょう。
 まずそれがウソだと思う。
 人間は人間としてまるごといるわけで、
 世界は世界で、自然は自然で、まるごとそこにいるはず。
 だったら、その『まるごと』を『まるごと』のまま
 説明したり理解したりするための説明を考えたり、
 記述方法を生みだしたり、そういうことが大切だと思う。
 分析的なものって、もうぼくは、いいとは感じられない。
 たとえば、死んだら生きものはいなくなると言いますが、
 そう思うんだったらお墓なんか建てなきゃいい。
 徹底させるんだったら、思い出すことも無意味でしょう?
 でも、そんなことは、ぼくにとっては、ありえない。
 大切な存在が死んで、ほんとうに悲しい思いをして、
 死んだらおしまいという考えから離れることにしました。
 それはもう、頑として言い張りたいわけ。
 科学的妥当性なんか、どうでもよくなるような
 強さを持った個人的な思いが、ぼくには大切なものです。
 のろまよりも、速いことがいいだとか、
 機械は大きいよりも小さい方がいいとか、
 そういうことが、絶えず言われいるじゃない。
 でも、結局、役に立つものが大事というのは、
 理解できるものが大事という考えなんです。
 だけど、言えないものも含めて言おうとしない限り、
 言葉としての力をもたないように、
 わからないことも含めてわかろうとしないと、
 何も、わかることにはならないと思うんですよね」
 

(※今年、最高傑作を生んだ小説家・保坂和志さんの言葉。
  「カンバセイション・ピース」は今年の収穫と呼ばれ、
  「書きあぐねている人のための小説入門」も、大人気!
  こちらも、「ほぼ日」特集後に話題になった例でした。
  保坂さんのふたつのコーナーの一気読みはこちらです



ダーリンコラム

 
「「星に願いをかけると、きっと叶うんだよって、
 ウソなのかもしれません。
 ほんとは、そんなことをしても叶わないのかもしれない。
 でも、信じて生きられる人のほうが、信じてない人より、
 なんかちょっと、幸せにいられるような気がしませんか。
 つらくて泣きながらでも、鼻水をすすりながらでも、
 がまんして空を見て、星に願いをかける人間でいたい。
 エーちゃんの歌を聴いた後で、そう思いました」

「ゴルフに詳しいともだちから、
 ゴルフのおもしろさを話してもらっていて、
 なるほどなぁと思うところがたくさんあった。
 『なんやかんや言っても、10キロとか歩きますしね』
 という、その10キロという数字に驚いた。
 それだけ歩くだけで、初心者はくたくたになるという。
 そうかぁ、自分はどうなんだろうと思って、
 ちょっと長い距離を歩いてみようと、
 5〜6キロ先にある大きなスーパーまで買い物に行った。
 真夏のように汗をかくわけでもないし、寒くもないので、
 ほんとに快適に歩くことをたのしめた。
 よく言われることだけれど、
 歩いているとアタマが活性化するのが実感できる。
 目に入るモノゴトが刺激になって、
 いい考えが次々に浮かんでくるのは、愉快なほどだった。
 思いついたことのなかには、
 その場だけで忘れてしまうようなことも多いのだろうが、
 それはそれで、いつかひょっこりと浮かんでくるはずで、
 まったく無駄になるということではない。
 小さい声で歌なんか歌っているのも、たのしい。
 青山学院の横を通ったせいか、『学生時代』を歌っていた。
 休日というと、ついついカラダを
 休めるほうに使われてしまうんだけれど、
 実際に休めるべきはたぶんココロのほうなんだから、
 こうやって軽い運動をゆったりやるのが、
 いちばんいいんだと、あらためて知ったなぁ」
 

(※6月6日、矢沢永吉さんの歌声を聴いた後の声と、
  5月12日の「今日のダーリン」の散歩宣言です。
  このあと半年以上、まだ散歩ブームは続いていますし、
  星に願いをかけるような夢は、一つずつ増えています。
  秘かに禁煙をしはじめたのも、このあたりの時期です)



2003年夏までの、他の発言の一気読みをしたい人は、
「続・大村憲司を知ってるかい?」や、
「爆笑問題、太田光の家族をつくったゲーム」や、
「娯楽映画の運命」や、
「男女が同居するということ」などをどうぞ。
おだやかだけど、ストレートに響く言葉がありますので。

「ほぼ日」5周年にまつわる特集などについては、
「プロジェクトP」「ほぼ日年表」がオススメですよー!


(明日につづきます)

2003-12-30-TUE


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