イメージとしての
都市

  • 時間

    108
  • 音質

    1985年に西武グループによって
    開発されたショッピングセンター
    「つかしん」のイベントの講演。
    イベントは2部構成となっており、
    第1部は吉本隆明の講演、
    第2部は笠原芳光氏との対談。
    客席録音だが比較的クリア

  • 講演日時:1989年11月12日
    主催:ことばをひらく会
    場所:尼崎市 つかしん
    収載書誌:産経新聞社「正論」90年4月号・5月号




イメージは、かつては力でなく
空想に過ぎませんでした。
「金もないのにそんなこと思ったってしかたないじゃないか」
ということでした。
政府がやれば、自治体がやれば、大資本がやれば、
それでペチャンコじゃないかと思われていました。
かつてはそうでしたが、われわれの段階では
そうではないのです。
「完結したイメージを持つことができる」
ということは、それだけで
実現可能性を持った力だという段階に
現在は達しているんです。
都市を構想することはできる、ということなんです。
逆に、都市をつくるものは、
万人が持っているイメージを無視することはできないと
思います。実際には、大資本でも、国家でも、
地方自治体でも、誰がやってもいいんです。ただし
「あんたたちのイデオロギーを、理想の人工都市のなかで
自己主張してもらっては困りますよ」
というチェックを、それぞれがやればいいと思うんです。
大事なことは、それぞれの人が、
理想の人工都市を自分のイメージで
ちゃんとこしらえることです。
自分なりに完成したイメージを
われわれが持っているならば、
誰もそれを無視することはできないと僕は思います。