シンポジウム・
太宰治論

  • 時間

    383
  • 音質

    第1部は吉本隆明の講演、
    第2部は聴講者との討議。
    音源は主催者提供で、
    VHSテープから音声データを
    抜き出したもの。たいへんクリア。

  • 講演日時:1988年5月14日
    主催:弘前大学教育学部 近代文学研究会
    後援:弘前大学生協/東奥日報社/RAB青森放送/大和書房
    場所:第1部・弘前大学教養部17番教室/第2部・スペース・デネガ
    収載書誌:大和書房『吉本隆明「太宰治」を語る──シンポジウム津軽・弘前'88の記録』(1988年)




太宰治の作品は、物語の流れだけ読めば、
たいへん明瞭な物語を持っている完成された作品です。
ところが実験的な作品となっていきますと、
物語性としてのドラマとは別な、
人称のドラマ──目に見えない、
筋の起こらないドラマというのもたくさんあって、
太宰治の作品はこのふたつのドラマから
成り立っているように思います。
そこのところがつかまえどころじゃないかと思われます。
このことはどこで資質として形成されたのかを考えますと、
太宰治の乳幼児から青春の入り口のところまでにある体験が
大きな役割を演じているだろうと僕は推察します。