『源氏物語』と現代
──作者の無意識

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    123
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    「源氏物語を読むなら
    どの現代語訳がいいか?」
    というテーマからはじまる。
    ステージから離れた客席から録音。
    本講演から半年ほどさかのぼる
    1982年10月には
    吉本隆明著『源氏物語論』が刊行。

  • 講演日:1983年3月5日
    主催:山梨県石和町教育委員会
    場所:石和町中央公民館
    収載書:思潮社『白熱化した言葉』(1986年)




『源氏物語』の作者の無意識までも
こちらに移ってくるように、微細な部分まで
作品を読むことができるようになったときにはじめて
『源氏物語』を現代風に読むことができた
ということになります。
本来的には原文を抜きにして
そういう微妙さが伝わる読み方が
できるわけはないといういい方もできそうですけれども、
僕の考え方では、現代語訳でも十分です。
作者と語り手と、登場人物の言動とは
みなそれぞれ違うものなんですよという区別をしたうえで
作品を読まれることによって、
『源氏物語』の現代的な読み方の基本点を
つかまえることができると思います。