〈アジア的〉
ということ

  • 時間

    133
  • 音質

    北九州小倉にある書店、金榮堂の
    創立65周年記念として行われた。
    暑いなか450名がかけつけた。
    音源は主催者提供。かなりクリア。

  • 講演日:1979年7月15日
    主催:北九州市小倉・金榮堂
    場所:北九州市小倉・毎日会館ホール
    収載書誌:弓立社『document 吉本隆明 1号』(2002年)




アジア的地域では、極端にいいますと、
村落共同体が世界の広さであり、
地球が世界の広さではないのです。
自分の利害の関係のないところで
どんなことが行われようと、
自分のところに響いてこなければ関係ないよという
考え方は、みなさんのなかにもあるでしょう。
アジア人はぜんぶ思い当たるはずです。
それは一見すると、超近代的なかたちで
若い人たちのあいだでも
出てくるかもしれませんけれども、
それには二重性がある、
それは〈アジア的〉心性かもしれないと
疑ったほうがいいと思います。
個々の人間の意識の働かせ方のなかに、
やはり〈アジア的〉な村落共同体的な要素は残っています。
それはどのようにしたらいいほうに働くのか、
どうしたらよくないように働くのか、
どうしたら自然に亡びてしまうものなのか。
それを考えることが僕らに課せられているのです。