〈戦後〉経済の
思想的批判

  • 時間

    76
  • 音質

    客席から録音されたもので
    会場内の騒音などが入っており、
    音質はよくない。

  • 講演日時:1974年6月18日
    主催:共産主義者同盟
    場所:日比谷公会堂ホール
    収載書誌:蒼氓社「自立と日常」(1974年)




戦後の日本の政治支配者は、
近代化して落ちこぼれてきた農業を、
高度成長政策による重工業の方に転化していくことで
問題が解決されるかのごとく
経済問題を考えてきたと思います。
しかし、農業が全面的に依存している土地というものの
〈自然性〉と〈人為性〉の矛盾という問題が
よく解かれない限りは、農業問題は決して
解決されないということが本当はいえるのです。
そして、第一次高度成長を経た60年安保闘争後、
政治国家は変わっても
〈経済共同体としての国家〉は
資本主義であろうと社会主義であろうと不変である
という〈経済共同体〉的な考え方が出てきました。
この両極端──さまよえる農業問題と
経済共同体的な経済現象──に、
現在の経済思想的問題は集約されると
考えることができます。