南島論

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    1969年に刊行された
    学問案内のシリーズ
    「筑摩総合大学」のPRで
    計画された講演。
    音源は主催者提供。

  • 講演日:1970年9月3日/10日
    主催:筑摩書房
    場所:新宿・紀伊國屋ホール
    収載書誌:春秋社『〈信〉の構造 PART3』(2004年)、中公文庫『語りの海1 幻想としての国家』(1995年)




〈南島〉は、日本の民俗学あるいは文化人類学にとって
宝庫だといわれているところで、
さまざまな古い遺習が残っていますが、
われわれは、それとはまったく違う理論的視点を
前提としています。
たとえば、ニューギニアの奥地にはまだ
石器時代の生活をしている種族がいるとか、
サハラ砂漠の近辺に行くと
太古の遊牧民さながらの生活をしている種族がいるという
いわれ方があります。
しかし、そういう未開の種族もまた
世界史的現在のなかに存在しています。
その意味をどうとらえたらいいのでしょうか。
そういう種族や日本の〈南島〉を扱うとして、
ただ古き良き時代の名残がなんらかのかたちで残っている、
という扱い方ではなく、
世界的同時代性、現代性というものの視点を包括しながら
それを扱うにはどうしたらいいか、ということは
依然として問うに値する問題であると思われます。