吉本隆明さんから見た宗教、
とくにキリスト教について語った講演を
ピックアップしました。
吉本さんは、世界じゅうで読まれている聖書を
信仰書ではなく思想書として読むよう試み、
西欧の思想がたどってきた道のひとつを知る
鍵を開けてくれます。

キリスト教が世界宗教としての
性格を得ているゆえんは
人間に対して
無限に対決や脅迫を迫り、
思想を普遍化しているところにある、と言います。
しかし、そのギリギリの選択に
宗教というものは明確な答えを示さないのです。
それでは、宗教の立場から一歩離れ、
自分でどう考えるとよいのか、
というところに話は及びます。

A176の「苦難を超える─『ヨブ記』をめぐって」は、
震災を経験した神戸の地での講演です。
そこで吉本さんは、

人びとが「神」と呼んできたものは
気候や天変地異などの
「自然」のことではないか、
そう捉えるとすれば
聖書はいったい
何を描く書物になるのか、

という自問を打ち出します。

吉本さんを通じて知った、という方も多い
西欧の偉大な思想家シモーヌ・ヴェイユも
最終的に「神」に行きつく人物です。
どうぞあわせて、お聞きください。