YOKOO LIFE ヨコオライフ

横尾忠則さんは過去の糸井重里との対談で、
「生活と芸術は切り離して考える」と
発言なさっていました。

芸術の達成を、人格や人生の達成とするのは、
勘違いである、と。

では「美術家・横尾忠則」の生活とはなんなのか?
糸井重里とのおしゃべりのなかに、
そのヒントが見えるかもしれません。

過去のふたりの打ち合わせと対話の音声を
いま掘り起こし、探っていきたいと思います。

▶︎横尾忠則さんプロフィール

第20回 週刊誌、仏教書。
横尾
話がぜんぜん変わるけれどもね、
キムジョンウンのお兄さんが
マレーシアで殺されたでしょ。
トランプがあのお兄さんの息子を
アメリカに亡命させようとしていたらしいね。
糸井
その話はどこから
横尾さんのところに来るんですか?
横尾
週刊現代。
糸井
週刊誌。
横尾
週刊現代を読んだだけです。
もうちょっとくわしいことが知りたければ、
みなさんも読んでください。
糸井
(笑)
横尾
アメリカにもどの国にも、
ぼくらが知らない裏の政府があるみたいだね。
国同士が裏で取引きをしてるんですよ、
それは我々にはわからないもんね。
糸井
でも横尾さんは知っている、
なぜなら「現代」を読んでるから。
成城でネコの絵を描きながら。
横尾
週刊誌は、
女性誌も含めてほとんど読んでるよ。
糸井
自分で買いに行くんですか?
横尾
自分で買うという肉体行為がないと
身につかないんですよ。
一昨年だっけ、骨折して入院したでしょ。
そのとき、テレビ観ようにも
耳が聞こえないんだよ。
だから、字幕の入る番組以外は観られない。
しかたなしに病院のコンビニで週刊誌を買ってきた。
そのころはスキャンダルばっかりでしたよ、
スマップのスキャンダルとか、清原の問題とか、
毎週のようにスキャンダルが集中したわけ。
それがおもしろくなって、週刊誌を買い続けて。
糸井
それまでは読んでなかったんですか?
横尾
あんまり読まなかった。
「週刊新潮」だけは家に送ってくるから、
パラパラと見ていたんだけれども。
病院にいるとさ、もう退屈でしょうがないわけよ、
週刊誌しかないわけ。
あれがいちばんいい治療になる。
あそこには、仏教の世界がある。
糸井
仏教? 
因果応報ですか? 
横尾
すなわち自業自得。
こんな簡単な法則がどうしてわからないのか。
この法則さえわかっていたら、
あんなスキャンダルは起こさないですよ。
スキャンダルを起こす人は、
「因果応報自業自得」に関心がまったくない。
そんなものはないと思ってるんじゃないですか。
糸井
きっと「俺だけは大丈夫」と思ってるんでしょうね。
横尾
そうでしょう。神はお見通しなんですよ。
我々はなんとなく体の中に
「因果応報自業自得」の感覚を
持っているものでしょう? 
だからこそ、できることとできないことを
自分で区別できるんです。
けれども、週刊誌に載る人たちはできてないわけ。
週刊誌は仏教書ですよ。
糸井
いま、だいぶ説得されました。
横尾
週刊誌を読んでみたくなったでしょう。
糸井
「食べれば太るよ」
「だませばつかまるよ」
なるほどなぁ。
横尾
カルマですよ、カルマ。
糸井
因果応報の法則があるにもかかわらず
「自分だけは逃げられる」と思うのはなぜだろう。
宝くじを買うときに、
「当たるような気がする」というのと同じですね。
横尾
要するに、もうひとつ、
上から見る視点がないのよね。
糸井
横尾さんはそういう視点を
いつから意識しはじめたんですか? 
横尾
どうかねぇ。
うちの両親は、
すごく熱心な神道の信者だったわけよ。
糸井
神道だったんですか。
横尾
黒住教です。
朝起きて、太陽があがるでしょ。
パンパンと手を叩く、日拝する。
それだけしかないんだよ。
そして、「清潔にすることが心を浄化する」といって、
朝から晩まで家の掃除ばっかりしてるわけ。
畳に何かこまかいものが落っこってると
拾って捨てるし、
新聞紙も足で踏んだりしない。
つまりアニミズムなんです。
ものに精霊が宿ってるという考え方が
生活の中に溶け込んでるわけ。
糸井
うん、うん。
横尾
子どものころ、外で立ち小便したときなんかはさ、
おしっこがいろんな虫や草にかかったりするから、
「何もかもごめんやす」と言ってしなさいと
両親は言ってたね。
そういう影響を多少は受けてるかもわかんない。
因果応報は仏教だから、
そういう思想はなくても、
なんとなく「ごめんやす」はあったかなぁ。
糸井
そうなんですねぇ。
それと髪が黒いこととは関係ないんでしょうけど。
横尾
うん。
髪が黒いのは、これ黒住教だから。
一同
(笑)
(月曜日につづきます)
2018-02-23-FRI
第1回 見てわかる味。

2017-09-04-MON
第2回 太陽光線。

2017-09-07-THU
第3回 あとのことを考える。

2017-09-10-SUN
第4回 カレー。

2017-09-11-MON
第5回 秘密は話さない。

2017-09-14-THU
第6回 30万円。

2017-09-17-SUN
第7回 断ろうと思って。

2017-09-18-MON
第8回 絵は、本業ではない。

2017-09-21-THU
第9回 絵画との関わり。

2017-09-24-SUN
第10回 生活必需品。

2017-09-25-MON
第11回 絵の価値。

2017-09-28-THU
第12回 知識がある人。

2017-10-01-SUN
第13回 大生活。

2017-10-02-MON
第14回 2度読む。

2017-10-05-THU
第15回 何を言いだすかわからない。

2017-10-08-SUN
第16回 筆を追う。

2017-10-09-MON
第17回 見る。

2017-10-12-THU
第18回 生活感。

2018-02-19-MON
第19回 熱中症。

2018-02-21-WED
新刊が出ています。
『創造&老年
横尾忠則と9人の生涯現役クリエーター
による対談集』

(SBクリエイティブ 発行 2,160円)
創造は80歳からが俄然おもしろい!
横尾忠則が9人のオーバー80’sに聞いた、
生きること・創ること・年を重ねること。



瀬戸内寂聴 遊んじゃうこと。面白がること。

磯崎新   老人意識なんて考えつきもしない。

野見山暁治 いつでも「今」だけ。

細江英公  くよくよしない。自然に構える。

金子兜太  創造の根幹は見えないものを感じること。

李禹煥   世間の声は知れている。大事なのは自分。

佐藤愛子  年を取るってことは、やっぱり必要。

山田洋次  老いは作品に必ず良い影響を与える。

一柳慧   これから80代の本当の挑戦が始まる。

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神戸の展覧会を見に行こう。
兵庫県政150周年記念事業
開館5周年記念展
横尾忠則の冥土旅行
人は死んだらどこにいくのか?
永久の命題「死」をテーマにした、
死後の世界の冒険旅行。
2018年2月24日(土)~5月6日(日)

くわしくは横尾忠則現代美術館のサイト
ごらんください。