「だれでもつくれる永田野菜」通信。

はじめてのプランター栽培は  何を買えばいいの?〜『土・液肥』編。

永田農法創始者・永田照喜治さんに
「永田農法において
 土はどういう役割を
 果たしているんですか?」
と質問したことがあります。
その時、先生はこう答えました。
「土は、苗や根を固定するために必要なのであって、
 土が無くても野菜は育つんです。
 私は岩の上に芝生を栽培したこともあります」と。
 
ならば、このページは読まなくていいのか?
と、このページを閉じようとした方、
ちょっと待ってください。
この土にたいする考え方こそが
永田農法を理解する
重要なポイントかもしれません。

『種』『苗』『プランター』と続いてきた
「はじめてのプランター栽培」お買い物シリーズの、
最終回は『土・液肥』編をお届けします。
引き続き買い物をするのは
「ほぼ日」ストアDVD販売窓口担当の西田くんと
(一人暮らし、これがはじめての野菜づくり)
お子さんに自分のつくった野菜を
食べさせたいと思っているマコトさんの2人。
(3人家族 同じく、はじめての野菜づくり)
アドバイザーは「しつもんチケット」
回答者としても大活躍中の、
永田先生の愛弟子、諏訪雄一さんです。

プランター栽培こそ、
永田農法向きなんですよ。

たくさんの種類の土が売っていますが
今日の買い物で一番大事なのは
この「土」なのかもしれません。
堆肥を土に入れて育てる有機栽培では
土自体に養分が入っていますが、
永田農法では、薄めた液体肥料を
水やりの時に与えます。
肥えた土でプランター栽培をすると
土と液肥のダブルで
栄養を与えることになります。

肥料を多く与えれば与えるほど
良い野菜ができるようなイメージがありますが、
野菜が消費できる栄養量をこえると
逆にダメージを受けて、
「まずい野菜」ができてきます。
例えば、まずいホウレンソウは
独特のエグ味がありますが、
それらもこの栄養過多からきています。



ですから、永田農法で育てるときには、
有機栽培で使われる
栄養が入った土は必要ありません。
永田農法で育てる場合には、
「全く栄養分の入ってない土」を
選んでください。
ここでは「赤玉土」が売っているので
これをつかいましょう。


永田先生も私もプランター栽培では
「日向土」というものを使っています。
小粒な園芸用の軽石なのですが
インターネットの通販などで
手に入れることができると思います。
私は全く同じ条件で
「赤玉土」と「日向土」の生育を
比べてみたのですが
「日向土」のほうに軍配があがりました。

どうやら「日向土」は軽石なので
水はけが良すぎて
水も液肥もすぐに流れて土が乾いてしまう。
そのせいで野菜が水分を強くほしがり、
液肥を効率よく吸収するんじゃないか?
と思っています。

畑での栽培の水やりは
どうしても天候に左右されますが
プランター栽培だと天候に関係なく、
野菜が水に飢えた環境を
つくり出すことができます。
だからこそ、プランター栽培は
永田農法に向いているんです。
プランターでの土選びは
「日向土」がベストですけど
この「赤玉土」でも、
おいしい永田野菜がつくれますよ。
安いですしね。

 


次に、永田農法で大事なのが
薄めた液肥を与える水やりです。
「水を極力やらずに」といわれる
永田農法ですが
雨水にも頼る普通の栽培とは違い、
プランター栽培では、
雨水をカットすることで
野菜が水に飢えた環境をつくり出します。
雨が降らない環境をつくるかわりに
こちらが水を与える必要があります。
ですので、意外かもしれませんが
「けっこう、水をあげるんです」

家庭菜園の畑の近くに
水道がきていればいいんですが
自宅から離れた畑で、かつ
水道もきてなかったりすると、
ポリタンクに大量の水を入れて
運ぶ必要があります。
これが重労働なんです。
プランター栽培だと
ジョウロでまけば十分ですから、
楽ですよね。
発芽前はジョウロで水をまくと
種が流れてしまうこともあるので
霧吹きを使うのもおすすめです。

 


お2人はコンプリートセットを購入されたので
「葉もの」「実もの」の液肥は
お持ちなのですが、
一応、液肥について説明しておきましょう。
液体肥料はどこでも売っていますが
野菜が吸収する栄養は
「窒素・リン酸・カリウム」の三要素です。
それだけ入っていれば大丈夫です。

この「花工場」という液肥は
どこでも売っているものですが
これは「実もの」に向いています。
「窒素5、リン酸10、カリウム5」
と三要素のバランスが書いていますが
リン酸が多いものが「実もの」向けです。

「ハイポネックス」も
どこでも手に入る液肥ですが
「窒素7、リン酸4、カリウム4」
と、先ほどとバランスが違いますね。
窒素が多いものは「葉もの」向けです。

液肥は、どれを使っても
おいしい野菜ができるのですが、
「葉もの」「実もの」の違いは
「窒素・リン酸・カリウム」の
バランスなのです。

ただ、ほとんどの液肥は、
この三要素の他にビタミンなどの
微量要素も入っています。
厳密には、
永田先生は、三要素だけで良い、
と言ってますので、 理想的には
DVDのコンプリートセットに
ついている住友液肥1号、2号が
お勧めです。


ここまで詳しい説明をうけて
すっかり自信をつけた2人は
さらにスコップも購入。
カートに道具を満載してレジに向かいます。


果たしてその合計金額は?

今日のお買い物
マコトさん
ジョウロ
819円
スコップ
148円
赤玉土×4
992円
杉焼プランター浅丸型×2
1196円
今日の合計金額
1959円
これまでの合計金額
8195円

西田くん
ジョウロ
819円
スコップ 148円
霧吹き 207円
赤玉土×3 744円
今日の合計金額
1918円
これまでの合計金額
5245円

2006-04-23-SUN

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