HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN × ORIX Buffaloes
		野球の人・田口壮の新章 はじめての二軍監督 2017・はじめての2年目編
21 「おもてなし」の日

2017年の幕開け。
皆様お元気にお過ごしでしょうか。
僕は慌ただしかった年末年始の
活動状況がようやく沈静化して、
やっとオフらしいオフを迎えています。

最近のブームは自転車。
我が家はとにかく急で長い坂のある町の
上のほうに位置していて、
駅も店もすべてが遠いため、
どこにいくにも車が必需品です。
それをあえて自転車でいく。
アシスト付きの自転車とはいえ、
30分近く急坂を登りっぱなしというのは
結構な運動なのです。
けれど、何もしなければ身体が怠け、
鈍って緩んでしまいます。
行きはよいよい、帰りはハードトレーニングとなり、
かなりのエネルギーを燃焼するのですが、
毎日のようにこれを続けていたら、
思わぬ弊害が生まれてしまいました。

長い坂を下った町にはパン屋さんがやけに多くて、
パン大好きの僕は、寄り道せずにいられません。
あっちにふらふら、こっちにふらふら、
それらを大量にゲットして帰宅すれば、
消費エネルギーは当然チャラ。
運動せずただ食べていたヨメはチャラどころか、
彼女自身が発酵しているかのように膨らんでしまいました。
悲しい近況報告、以上です。

ところで、去年の暮れに行われた、
新入団選手会見の様子をお伝えするのを忘れていました。
華やかなスポットライトの中で
頬を紅潮させた若い14人の選手たちと、
その後の会食で会った感想は、シンプルに
「でかっ。」
イマドキの選手は身体が大きいのです。
そういえば新しい球場の視察に行った時、
寮の洗面台の位置が高くなっていたことを思い出しました。

しかし、どれだけ見た目が大きい身体でも、
プロとはレベルが違います。
これから一人一人がその違いに愕然として、
すべてにおいて化け物級の先輩たちの姿をならい、
プロ仕様へとアップグレードしていかなければなりません。
なんていうことはおくびにも出さず、
ニコニコ見守る僕たち。

何しろ「入団発表」その日は、
「おもてなし」の日なのです。
人生最高潮の舞台として、
誰もが横一線のスタートラインに立って、
気分よく嬉しくお帰りいただくためのイベントなのです。
だから、毎年のように球団関係者がさりげなく
「今日までやで、今日まで」と口々に言っているのは、
決して意地悪ではなく、
現実の始まりをしっかり認識させようという親心なのです。

「今年もよろしくお願いいたします」
と多くの年賀状に書かれてある中で、
「今年はお世話になりません!」
と記していた選手の文字が嬉しかった。
入団発表の席で会った選手たちもぜひ、
二軍監督の僕には二度と会わない、
田口の顔なんか絶対に見たくない、くらいの気概を持って
初のキャンプに臨んでほしいものです。




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