井筒先生、はじめまして。

はじめまして、こんにちは。

井筒先生のおうちには
バードハウスがたくさんあるんですね。

▲井筒先生のおうちは、すてきなバードハウスでいっぱいです。

私たちは、野鳥たちのことを
「フェザード・フレンド（羽根を持つ友人）」と
呼んでいるんですよ。

フレンド‥‥友達なんだジュか‥‥。

▲シジュは、語尾が「ジュ」になることがあります。

鳥もぼくたちも、
同じ環境を生きぬく仲間ですからね。
シジュちゃんも、庭やベランダに
バードハウスを設置して
フェザード・フレンドを招いてみてはどうですか？

ハウスに鳥がやってくるの？
どんな鳥がバードハウスに住むんだろう‥‥。

バードハウスに巣をつくるのは、
原則的に、木の洞（ほら）などの「穴」に
巣づくりをする鳥です。
鳥の種類は、最もかんたんに言えば、
「玄関の穴」の大きさによって変わります。

へぇ、穴！

▲バードハウスには、親鳥が出入りしたり
　えさを雛に与えるための「玄関の穴」があります。

たとえば、玄関の穴の大きさが直径９cmだと
オシドリやアオバズクのバードハウス。
５cmにすると、アオゲラやヤマゲラ。
大きな鳥に住んでもらうためには、
バードハウス自体も、大きくする必要がありますよ。

オシドリやアオバズクって、
見たことがないだジュよ！

ははは、そうだね。
都会でバードハウスを利用するのは
スズメやシジュウカラだと思います。

なんで都会のスズメやシジュウカラは
バードハウスが好きなんだジュか。

じつは、日本じゅうの街で、
鳥が巣をつくることができるような、
洞のある木々がどんどん減っているんです。
スズメが巣をつくるような瓦屋根の家も、
現代では隙間を密閉してしまうことが多いんですよ。

いまはビルやマンションが多くなったし、
住宅難だジュ。

それから、鳥が水浴びできるような場所も、
都会ではほんとうに少ないのです。
舗装がきれいになって、
道路に水たまりもできないし、
小川は管になって道の下に埋めらました。

水遊び、砂遊びは、鳥に必須だジュね‥‥。

鳥の好きな、実のなる木も少なくなりました。
原っぱが消えて、雑草の実も減った。
ミミズも少なくなった。
それらすべて、
都会の野鳥たちにとっては深刻な問題です。

生ゴミなんかも街から消えつつあるだジュね。
人間が衛生を求めたり危険を避けるため
がんばって改善してきたということも、
もちろんよくわかるし‥‥。

ぼくらが暮らしを変えていくことによって、
都会の鳥が過酷な毎日を強いられている、という
一面があります。

でもそれは、ほんとうは、
鳥でなくとも、同じかもしれないんですよ。
私たちだって、自分たちの手で毎日を
過酷にしているかもしれないんですよ。

どういうことだジュか‥‥。

小川のせせらぎを耳にしたり、
鳥や虫たちの姿を目にしたり
できなくなっていって
さみしいと思うことはない？

いま「ほぼ日」で修行中だけど、
四角いビルにいて、インターネットして、
スマホが好きだからいつもいじってSNSしてる‥‥。

ネットの中の友達だけでなく、
羽根を持つ友達を、ほんとに
庭に呼んでみるといいよ。

ぼくは、ちょっとだけ、
自分の世界が変わると思うんです。

目の前を鳥がいきかい、さえずる声を聞き、
食べものをついばむ姿を
窓から眺める毎日をすごすと、
ぼくたちとは違う次元で生活している
友人たちの毎日に
思いを馳せるようになります。

▲小さなお庭であっても、羽根を持つ友達が来てくれたら。

小鳥の住んでいる世界にふれれば、
自分がこつこつ仕事をしたり
家事をしたりしていても、
「この世界は、あの鳥たちも
　いっしょに生きているんだ」
と思うだけで、うれしくなる。
姿を見て、声を聞くだけで、
うきうきするようになるんだよ。
それに、鳥たちにとって住みやすい街は、
つまり、きれいな空気と水を保持する、
人間にとっても住みやすい世界である
ということなんだ。

へぇぇぇ！
ところで、バードハウスって
巣箱とはちがうのかな。

外見は、まぁ、同じです。
でも、鳥は人間が用意した家を
「巣」にするだけではないのです。
寒さや風雨をしのいだりして
年中利用するから、
「ハウス」と呼ぶのにぴったりなんですよ。
ですからぼくは、
害虫駆除用や観察するための「巣箱」じゃなくて
「隣人の家をつくる」という気持ちで
バードハウスをかけています。