しりあがり寿さん、祖父江慎さん、糸井重里に加え、
田中宏和さん(某大手広告代理店勤務)や
柳瀬博一さん(某経済新聞社系出版社勤務)という
男子的な企業ではたらいているゲストをお招きしました。
三国志、宮本武蔵、梶原一騎から島耕作に至るまで、
「男らしさ」の今昔物語は、みんな、止まらないのよ!

第13回
理想の男のゆくえ。
糸井 ぼくは、理想の男をひとり挙げるとすると、
小野田寛郎さんですね。
柳瀬 ああ。
糸井 クールさと冷静沈着さ、責任感。
演技でもあるかもしれないけど、
優しくないと部下はついて来ないしという。
ガマンの限りを尽くして生き抜いた。
あれはすごい。あれは入れたいですねえ。
柳瀬 なるほど。
糸井 ただ、あの人も女子社員の怒りかたが
わからないだろうなって気は、ちょっとします。
田中 (笑)
糸井 そうすると、藤田元巨人軍監督とかね。
女子社員の怒りかたも知ってそうで、
「マッチョを抜けた姿」がありますから・・・。
あとは、サッカーのゴン(中山選手)かなぁ。
柳瀬 わかります。
軟弱ぶってるけど実は男という・・・
ルパン三世系、というか。
しり ああ。
糸井 男の票は、入るよねえ。
柳瀬 ヘナヘナしてるけど、ナヨッとしてないから。
でも、基本的には、日本人で理想の男って、
あんまり思いつかないですね。
糸井 そうか。日本どうしよう?
・・・森喜朗とか、ダメですよね。
しり (笑)
糸井 ラグビーボール抱えて、
文武両道のシンボルみたいに、
一応なっていたはずだけど。
柳瀬 (笑)うーん。
糸井 つまり、
失敗しちゃってるってわけですよねえ。
勝新は、今の時代には票が入らないし・・・。

祖父江さん、なんか・・・
好きな男はいないですか?
「これはいいなぁ」っていうか。
祖父江 うーん。
男らしい見た目のっていうのが、
どうもよくわかんないですけど。
糸井 じゃあ、見た目は男らしくなくていいけど、
「これは何かいいな」っていうのは?
祖父江 ぼくが好きな男の人はねえ、けっこう・・・
えーと、あれなんですよ・・・
せんだみつお、とか。
田中 (笑)
祖父江 みのもんたとか。
糸井 (笑)はぁー、スゴイ。
祖父江 なんというか、
がんばりがいきすぎてる感じと
ほどよいかなしみとが同居してる感じ?
かなぁ・・・。
糸井 ほー!
祖父江 そんな人を見てると、
「いいなあ」と思うんですよ。
ただ、そんな男になりたいっていうこととは、
ちょっと違うんですけど・・・。
柳瀬 (笑)
糸井 (笑)「なりたい」は、こっち置いとくんだ?
祖父江 「なりたい」
というのは、よくわからないんですよ。
柳瀬 すごい。
祖父江 でも、その2人は、
やっぱりいいなあと思いますよ。
田中 (笑)すごい組みあわせですね、でも!

柳瀬 普通の雑誌のランキングで言うと、
ここで松田優作が出てきたり、
ブルース・リーが出てきたりするもんだけど・・・。
糸井 (笑)出て来ないですよねえ・・・。
柳瀬 ここのテーブルで、まったく出てこない!
さっきから、リチャード・ギアの負け感とか、
せんだみつおだとか・・・。
糸井 (笑)しょうがない話してるな。
柳瀬 何か、デブ専の人たちで話してるみたいな。
祖父江 (笑)対談の人選を
誤ったんじゃないかっていう気が・・・。
糸井 (笑)いいです、これはもう、
ある意味、かえって貴重な座談会で・・・。

あのう、ひきつづき、
理想の男像を出していきますけど、
まさか、もう今さら、桜の木を切った
ジョージ・ワシントンとか・・・出ないよね?
柳瀬 (笑)正直者神話。
田中 出ない!
祖父江 日本のお父さんって感じを
よしとするんだったら、
ジャイアント馬場とかも。
糸井 (笑)・・・それは!
祖父江さん、さっきからイロものを。
祖父江 イロものしか、知らないんですよ。
糸井 イロもの好きではあるんですね。
祖父江 そうかもしれないけど、
人が出てこないのがネックだなぁ・・・。

わかった!
ぼく、あんまり人のこと、知らないんだ。
糸井 知らないと同時に、たぶん考えてない(笑)。
祖父江 いやあ・・・
今までみんなから挙がった名前の人たち、
実は知らない人ばっかりで・・・困ったなあ。
しり 祖父江、昔のことを言っていい?
祖父江 うん。
しり 学生の時に、祖父江、
日本の総理大臣を知らなくて、
「じゃ、日本人の偉い人で
 誰か知ってる人いるか、知ってるか?」
って言ったら、「王さん」って・・・。
糸井 (笑)一貫性があるねえ。
柳瀬 ブレがない!
糸井 多摩美では、どっちが先輩なんですか?
祖父江 (しりあがりさんを指して)先輩。
しり いちおう、ぼくが先輩。
糸井 そうなんだ。
わかんないね。
・・・傍目では何もわかんないね(笑)
田中 (笑)
糸井 でも、なんか、
ほんと、理想の男っていないですねぇ。
世間的にいいなぁと言われてる人も、
せせこましそうとか、弱そうとか、あるし。
祖父江 尊敬できる男の人がいないのは寂しいですよね。
糸井 欲しいですよね。
でも、せんだみつおがいる(笑)
祖父江 あ、そうですね!!
・・・でも、目標ではないから・・・。
糸井 ・・・いまのところ、理想の男として
合格してたのは、誰でしたっけ?
田中 ゴンと、イーストウッド。
糸井 それで、小野田さん、せんだみつお。
柳瀬 (笑)この座談会のタイトルを抜くと、
どういう共通項で集まった名前なのか、
さっぱりわからない感じが・・・イイですね。
糸井 (笑)うん・・・。

いままで、さんざん話したことって、
「ほぼ日」にぜんぶ載るとは限らないですけど、
なんか、このメンバーじゃなければ
できない座談会っていう実感でいっぱいです。
柳瀬 雑誌だったらボツになりますね、まず。
田中 (笑)
柳瀬 編集長にテープ起こしを持って行くと、
ぜったい怒られそうな話題ばかりで・・・。
糸井 「柳瀬、お前が行って、
 どうしてそうなったんだ?」
って。
柳瀬 (笑)
糸井 今日は、みなさん、ありがとうございました。
  (おわり) 

ご愛読、ありがとうございました。
あなたの「男論」も、お待ちしています!

今回の座談会の感想や、
「あなたの出会ったイイ男」「男の特色」などなど、
日ごろから思っているさまざまな角度からの「男論」を、
postman@1101.com
こちらまで、件名を「男!」として、お送りください。

第1回 あ、男がいた!

第2回 男は、つまんない?

第3回 男の通過儀礼。

第4回 男らしさの境界線。

第5回 男の博打性。

第6回 男の神。

第7回 男の受注。

第8回 男に好かれる男、女に好かれる男。

第9回 男の欠点はコレだ!

第10回 アコムレディの幻想。

第11回 男の修羅場。

第12回 ハリソン・フォード問題。

2003-03-13-THU

HOME
ホーム