脳を鍛える大人たち in 明るいビル

 

糸井重里という、非常に多忙な男が
1ヵ月以上も毎日続けているという
ニンテンドーDSのソフト
「東北大学未来科学技術
 共同研究センター
 川島隆太教授監修
 脳を鍛える大人の
 DSトレーニング」(‥‥長い!)。
なぜ、彼はそこまでこのソフトに
ハマったのか?!
今回から3回にわけて、
その真相をおとどけします。
聞き手は、「ほぼ日」の永田です。




── もう、1ヵ月以上、
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』を
プライベートで続けてるそうですが。
糸井 やってますよ。なぜか。毎日。
── 1ヵ月もこつこつ同じゲームを
続けているというのは、
めずらしいんじゃないですか?
糸井 そうですねえ。
『ニンテンドッグス』もやりましたけど、
あれは、まあ、犬つながりですよね。
けど、この
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』は、
ほんとうに、個人として、ただただやってる。
── ひとつのソフトを、
こつこつ毎日やってるのっていつ以来ですか?
糸井 う〜ん‥‥『ピクミン』?
── それは2001年のソフトですよ(笑)。
糸井 いや、もちろん、「どれどれ?」っていう
おためしで遊んだソフトは
たくさんあるんですけどね。
毎日、真剣に、
マジメに取り組んでるっていう意味では
『ピクミン』以来だね。
── 『ピクミン』のつぎにハマったゲームが、
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』
っていうのは、意外な展開ですね。
糸井 なんていうんだろう、
『ピクミン』やっていたときもそうなんだけど、
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』って、
ゲームっていうことばが
もう、当てはまらないんですよ。
ある時間を使ってインタラクティブに遊ぶ
ソフトに「参加」しているんですよ。
── ゲームをやってるという感覚がない?
糸井 ゲームをやっている感じもないし、
ゲームをやっていない感じもない。
── 「ゲームをやっている感じもないし、
 ゲームをやっていない感じもない」。
糸井 たとえば、本読むときにさ、
「文字を使って情報を取り入れている
 感じはありますか?」って聞かれたら、
そんな感じするわけないじゃない?
── はい(笑)。
糸井 で、「文庫本になっていかがですか?」
って言われても、やっぱり
「えっ? なに?」ってなっちゃうでしょ。
ゲームっていうものが、
そういうレベルに、ぼくの頭のなかでは
とっくになってたんでしょうね。
あえて自分を中心に言いますけど、
そこにソフトとハードが
追いついたと言いたいですね。
── (笑)
糸井 いや、本当にそうだと思いますよ(笑)。
── 『脳を鍛える大人のDSトレーニング』、
まず、「こういうものが出るらしい」って
話を聞いたときはどうでしたか?
糸井 じつは、このソフトのもとになっている
『脳を鍛える大人のドリル』っていう
本の存在は知ってたんですよ。
まわりで読んでる人もいましたしね。
ベストセラーになってましたから、
一回は目を通しておかなくちゃなあ、
とは思ってました。
ただ、その本を使って、
自分で本気になって脳のトレーニングを
するつもりはなかったですね。
そういうことを、苦にせずにやる人がいて、
それはとてもいいことだと思うんです。
現実の生活の役に立とうが立つまいが、
そういうことをやっているほうが、
やっていないよりもずっといいだろうと。
── 肯定はするけれども、
自分でそれをやってみるという気は‥‥。
糸井 なかったですね。
たぶん、めんどうに思えたんでしょう。
本だと採点とかも
自分でやらなくちゃならないし。
だから、『ピクロス』のときと同じですよね。
仕組みはわかって、なるほどとは思うけど、
実際に紙の上でやるとなると、
消しゴムとか用意するのめんどうだし。
── なるほど。
糸井 で、あるとき、京都に行って、
任天堂の岩田(聡)さんに
「ちょっとこれ、やってみてください」って
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』の
サンプル版を手渡されたんですけど。
そのときも、「オレは苦手だなあ」
って思ったんですよ。
こういうものを「苦手だ」って
ぼくは言い続けてきたわけなんです。
単純な計算だとか、ちょっとした記憶とか、
速読とか、そういうことって、
「どうでもいいことじゃないか!」って
言ってきた代表選手なんですよ、ぼくは。
── はい、たしかにそうだと思います(笑)。
糸井 だからね、逆にいうと、
これはいい機会かなと思ったんですよ。
やっぱり、頭を十分に働かせることって、
考えかたを飛躍させるのに便利なんです。
筋肉だってそうですよね。
いくら俊敏な神経を持っていても、
それについていける筋力を持っていないと、
とっさの動きができないわけです。
となると、トレーニングしたほうがいいんです。
ぼくはいまトータルワークアウトで
トレーニングしてるから知ってるんですけど、
重いものを持ち上げるっていう、
「つまらないトレーニング」が
どれだけ自分の動きを助けていることか。
その、筋力のことを知っていたおかげで、
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』を
自然に受け入れることができた
っていうのはありますね。
── ああ、なるほど。たしかに、
筋力トレーニングと意味合いは近いですね。
糸井 そうなんです。
ベンチプレスとか、腹筋とか、
おもしろいかっていうとそうじゃないでしょう?
いってしまえば、あんなのつまんないんだよ。
もちろん、あれを楽しいっていう人も
なかにはいるだろうけど。
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』も
同じだと思うんですよ。
計算とか暗記とか、日々のトレーニング自体を
おもしろがる人もいると思うけど、
それ自体がおもしろいっていうよりも、
その先にある自分の成長とかが
おもしろいんだよね。
だから、ぼくはいまでも
「このソフト、おもしろいですか?」
って訊かれたら、
「おもしろくない」って答えるかもしれない。
でも、毎日やってる。
ぼくにとってはこのソフトは、
ゲームっていうよりも、
「禁煙」とか「健康診断」とか
「トータルワークアウトでのトレーニング」
とかに近いものなんですよ。

(続きます!)



おたより、いただいております!
1通、ご紹介しますね。

=
脳を鍛えるトレーニング、
毎日(あ、買ってから一日
できなかった日があります)やってます。
もう、習慣になってます。

朝起き抜けはやはり脳年齢が高くなります。
夕方、疲れたときもです。

それと、どうも、相性が悪いコトがあるみたいです。
私の声では「ご」という数字。
書く字では「3」。
これはちゃんと理解してくれなくて、
およよよとしている間に時間が経ち、
「また明日がんばりましょう」
なんて言われてしまいます。
ちゃんとやってるのに!
ああ、若い頃、先生にもこんな
誤解をされたことあったなぁ、
って思い出したりします。
気分は学生です。

勉強って、楽しいことなんじゃないでしょうか?
忍者が毎日伸びていく葉っぱを飛び越えて
ジャンプ力をつけるように、
すこしずつ自分が前に
進んでいくことは楽しいですね。
一番若いと言われた年齢は20歳!
ちょっと疲れたら32歳とか言われます。
どんなに頑張っても、
苦手なトレーニングもあります。
瞬間記憶、数字を若い順から
チェックするというのが苦手です。
それと時計を見るのも苦手です。

55歳のおばちゃんのおもちゃとしては、
これはなかなかです。
(えりこ)


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2005-05-13-FRI