ほぼ日ニュース

「矢野顕子の音楽、それはあえて言えば、
人間とはそういうものです、という感じ。」
(前編)

▲写真提供:NHK     

こんにちは、ほぼ日のスガノです。

11月24日、NHK BSプレミアムの音楽番組「The Covers」
矢野顕子さんが出演され、
そこに糸井重里もスペシャルゲストとして出演しました。
司会はリリー・フランキーさんと仲里依紗さんです。
矢野さんが糸井の詞を歌にしてきた歩みを話しながら、
矢野さんがニューアルバム「Soft Landing」からも
曲を演奏するという、たいへん豪華な番組でした。
ごらんになった方もたくさんいらっしゃると思いますが、
収録中やオフテイクのおしゃべりがおもしろかったので、
「ほぼ日」にもすこしだけ掲載します。

矢野さんと糸井の
「ずっと元気でずっと現役でいること」のすごさ、
改めて思いました。

リリー・フランキーさん(以下 リリー):
糸井さんがCMソングの歌詞を
矢野さんに書いたのは「春咲小紅」が最初ですか?

糸井:
たぶんそうだと思います。化粧品のCMで。

リリー:
「春咲小紅」の詞があがってきたとき、
矢野さんはどう思われましたか。

矢野顕子さん(以下 矢野): 
すごくいいなと思ったし、
自分で「よし、これを歌うんだ!」と思いました。

糸井:
(笑)

リリー:
「春咲小紅」からはじまって、おふたりは
1980年代にすごい密度で
CMのセッションをしていましたよね。
 
矢野:
広告に関してはあの頃、独特の時代でしたからね。
いろんなものを作るきっかけを、
たくさんもらったと思います。

糸井:
「ヒットチャートと関係ないところに仕事があるんだ」
といううれしさが、当時はあったと思う。

矢野:
「春咲小紅」はCM音楽だったけど、
それが具体的にどんな商品のCMだったのかは、
ほとんどの人が憶えてないかもしれませんね。
だから、
「春になると、なんだかウキウキするね」というように
いまは聴いてもらえるんじゃないかな。

糸井:
当時、化粧品の春のキャンペーンは、
ほぼ口紅だったんです。
冬から春になるときに桜が咲くように、
口紅のキャンペーンから春の広告がはじまった。
ぼくらは、広告の仕事であっても、
春になる歌を書けるのって、うれしいんですよ。

矢野:
歌ってても、なんだかふわんとしてくるんです。

リリー:
今日は、矢野さんに目の前で
その「春咲小紅」を弾いていただけるんです。

仲里依紗さん(以下 仲): 
この距離で聴けるのは、すごい贅沢ですね。

糸井:
アッコちゃんは練習が行き届いてるからなぁ。
俺、それはミュージシャンの中でも、特別すごいと思うよ。

矢野:
そうかなぁ。

(「春咲小紅」がピアノの弾き語りで演奏される)

リリー:
矢野さんが弾きだした瞬間に、
ピアノが喜んでるのがわかりました。

糸井:
植物を育てる力のある人を
「グリーンサム」っていうでしょ? 
同じように、アッコちゃんは、
楽器を育てちゃうんだろうね。
きっとアッコちゃんのほうから、
楽器側にかなり働きかけて、つくしてるんじゃないかなぁ。

矢野:
そうですね‥‥でもやっぱり、
ピアノが好きだからかな。
「趣味は何ですか」と問われると、
「えーと、趣味はピアノかな?」と答える。
仕事もピアノ。
「リラックスするときは何をしてますか?」
「あ、ピアノですね」
みたいな感じ。

リリー:
矢野さんはピアノと相思相愛なんですね。
糸井さんにとって、
矢野さんの音楽の魅力はなんでしょう?

糸井:
必ず、落ち着かないんですよ。

一同:
(笑)

糸井:
「これで安定した」というものを、
矢野顕子について見たことがないんです。
いつも形がつかめないっていうのが特徴‥‥。

矢野:
ないんだよね、形が。

糸井:
うん。それは、大魅力でしょうね。

リリー:
じつは家で聴いてても、
100パーセントの安らぎじゃないんですよ。
どこかが欠け落ちていくような、
ソワソワ感があるというか。

矢野:
「運転のBGMにならない」って、よく言われます。

糸井:
音楽には小節の区切りというものが必ずあるから、
成り立つんだけど、アッコちゃんの場合は
「そこも私が決めますから」
みたいなことになってる(笑)。

矢野:
ちゃんとしたテンポで弾くってのも、
けっこうできるんですよ。

一同:
(笑)

矢野:
できるんだけども、茶々入れたくなる。

糸井:
ああ‥‥それは、
あえていえば「人間」ですね。
「人間はそういうものです」
ということでしょう。

矢野:
そうでしょうね。
だから、歌の1番と2番は違ってきます。
「いまのよかったんで、じゃ、
もう1回お願いします」
なんて言われても、
「いま私、何やりました?」
という感じで、ぜんぜん憶えてないです。
そういう人生ですね。

仲:
すごくカッコいい。

糸井:
女神さまじゃなくて、それはゆがみ様ですよ。

矢野:
ゆがみ様(笑)。

リリー:
ゆがんだ方向に、またまっすぐですもんね。

糸井:
そう。それは一貫してんだ。

(矢野さんの魅力に近づきながら、後編につづきます!)


矢野顕子さんの
7年ぶりの「ピアノ弾き語り」アルバム
「Soft Landing」
が、11月29日(水)に発売されます。

内容についてくわしくはこちらをごらんください。

矢野顕子さんの、
ピアノひとつで歌うスタイルの演奏は、
矢野さんのほぼすべてのコンサートで見られます。
ピアノと矢野さんだけが生み出す音楽は、
ある種特別なもので、
そこが好きだというファンの方も多くいます。
矢野さんのピアノ弾き語りを、
もし聴いたことがなかったら、
このアルバムをおすすめします。
矢野さんだけじゃなく、ピアノも歌う、
ほかではあじわえない音が聴こえてきます。
しかも今回は矢野さんにとってもはじめての
「ベヒシュタイン」というピアノを使用しています。
YUKIさん、フジファブリックさんの歌など、
カバー曲もたくさん収録されています。
初回限定盤には、メイキング映像や、貴重なライブ映像、
ほぼ日アプリ「ドコノコ」の投稿参加企画で制作された
シングル「Soft Landing」のミュージックビデオも
ついています。
iTunes
Amazon(CD+DVD)


The Covers(出演番組)
BSプレミアム 金曜午後10時放送 ※最終週
HP:nhk.or.jp/thecovers/
twitter:nhk_coversnhk_covers

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