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第17回 ヨーロッパ人は戦争がうまい

タモリ ヨーロッパの考え方が
いいように思えているのは、
資本主義の成功とそれとともに
キリスト教も成功したし、
その上に成りたつのが、進化論でしょう。
必ず前進するんだという。
中沢 それと、
その欧米の理論を支えているのは、
軍備と国家のパワーでしょう。

ヨーロッパの論理の
押しつけの強さというのは
それを支える軍事力があってのことです。
資本主義が拡大していったことも、
すごい根底のところでそれが支えている。
糸井 そうとう長いこと、十字軍が
がんばってるってことですね。
中沢 ヨーロッパ人って戦争がうまいんです。
『アレキサンダー』なんて映画を
ごらんになった方もいらっしゃると思いますが、
アレキサンダー大王と
ペルシャの大王の戦争というのは
重大な戦争なんですけど、
映画なんかみてても、
ペルシャの大王はすごくきれいに
軍隊調えて、戦争のやり方が、
なんていうのか、芸術的なんですね。

ところがアレキサンダーのほうは、
力まかせなところがあるんですね。
一点突破していくやり方が
とても上手なんです。

そういうことを考えてみると昔から
アジア人とヨーロッパ人の間には、
何かこう戦争のやり方とか、
パワーの組織のやり方に差がありまして。

ヨーロッパ人は、
力の組織化がうまいんじゃないですか。
それを背景にして奪ってゆくわけですが、
その考え方をもとにすれば、
縄文時代なんて、
ほんとうにあーだうーだ言ってる時代に
なってしまいますよね。
糸井 昔が下だったと思わないと
進化が見えないですもんね。
だから下を作ったんでしょうね。
ぼくらは、そのエジプトが
最古の文明みたいなイメージで
ピラミッドを基準にして
考えてるような気がするんですよ。
タモリ あれ以前は動物だと。
糸井 あれが4、5千年前ですよね。
タモリ そうじゃなくて、
あのへんまで
落ちていったのかもしれないですよね。
中沢 そのとおりです。
エジプトの文明だって、
その前のシュメール文明でも、
いきなりあそこに出たわけじゃない。
もともとあれは、農業が発達しないと
国家ってできませんから、
農業革命というのが、
どこかでおこったはずなんですよね。

それがどこか?

今は、
チグリス・ユーフラテスのほとり、
というふうに言ってるけど、
あそこでは無理ですよ。
生物進化ってことから考えても。
熱帯地方じゃないと
多様な栽培植物を栽培に適した形に
作りかえてくことはできないのです。

あの農業の最初の出発点は、
東南アジアですね。
そう考えたほうがいいでしょう。
そうすると
東南アジアから西のほうへいく文明が
逆流していった考えだって
あるかもしれないですよね。
糸井 おもしろいですね。
中沢 うん。

(明日に、つづきます)
 
2006-01-05-THU