松本人志まじ頭。
もともとは、矢沢永吉ファンとして話しにきてくれたのに、
つい話題がひろがって、ディープな対談になってしまった。
ひとつも笑いのない松本人志っていうのも、魅力的だよー!

1999年の最終日から、何かをまたいで、
2000年のはじめの毎日を、2週間ぶっつづけ連載です!

第1回 俺がいちばんやりたいのはなんだろう?

第2回 追いつめられていないから

第3回 こっちのほうがおもしろいんだ

第4回 腰はないな

第5回 よくやった! ゆるいヤツ

第6回 僕がもうちょっと言ってもええんかな

第7回 ビビるよね。朝からいきなり永ちゃんだもの

第8回 相手に気を使わせへん口実まで

第9回 糸井さんそんなん言われました?

第10回 僕はその景色が好きですけどね

第11回 ひとりでもずっとそんなこと考えますからね

第12回 そのウンコの出し具合をね

第13回 じゃあ、これ温泉3日じゃすまないっすね

第14回 SとM
糸井 エロはねえ、今日はもう時間がないからアレだけどね、
あるよー、ネタ。
なんでこうなのかっていう。
それはね、山ほどあるから、ちょっと、ダーって、
机の前に広げて、やってみたいねえ。
松本 僕はねえ、
SとMのこだわりをいろいろ考えるんですけど、
これもいろいろ難しくてねえ。なんなんやろな。
糸井 じっさいに、Mの女としたことある?
松本 僕がね、僕があまりSではないので、
多分向こうが出してないと思うんですね。
きっとあるんでしょうね。
糸井 僕は2人くらい知ってるけど、Sが奴隷になるんですよ。
自分にSないからなんだと思うんだけど、
なんでこんなに芝居をしなきゃいけないんだって。
だからあれ実はね、掛け声かけたほうの主導権なんですよ。
松本 SとMは。
糸井 殴ってやるぜ、って声から始まった場合は、
主導権がSなんですよ。
でも、ぶって、って言われたら、
リーダーはMなんですよねえ。
最初の掛け声だけ。
松本 そうですそうです。そうなんですよ。
SとMって、ほんまないのかもしれんなって、
ほんま僕もよう考えるんですよ。
さしてる、と思うのか、
させられてる、と思うのか、
というところですよ。
糸井 インターミッションごとに、
またジャンケンポンがはじまるわけ。
おんなじことしてると、お互い阿吽の呼吸で飽きたかな、
っていうのがあるじゃないですか。
そこで「もっと!」って声を出しちゃったら、
またMの主導権になるわけ。
「この野郎!」って言ったらSになるんですよ。
松本 そうか!
糸井 インターミッションのところで、場面転換がある。
将棋の先手が有利か後手が有利かって言う話と同じで、
けっこうこれも長くしゃべれるんですよ。
将棋の場合は最近は、散々研究し尽くして、
先手になったのかな。
先手が何%か有利らしいんだ。
オセロは完全に後手が有利らしい。
後手取らないと負ける確率が圧倒的に高まるらしい。
SMは、先手だと思う。
ただ逆転をいつでも狙えるから、
1回インターミッションにもちこんで、
相手の気持ちをフラットにしちゃったら、もう1回できる。
松本 はあ……。
糸井 そんなようなことを、俺、ひとりで考えてんのよー。
松本 僕もSとMは考えますね。なんなんやろって。
これ面白いことにね、だいたいコンビをさかのぼるとね、
ほとんどのコンビはSとMなんですよ。
これにもきっとなにかあるんやろう。
糸井 あるね。なにかあるね。
松本 M同士とかS同士のコンビもたしかにいますけど、
そらね、やっぱり、いまいち、花咲かない。
糸井 やっぱりそれはコンビって、
事件を生み出すものじゃないですか。
あの、段取り芝居の漫才は別にして、
段取りじゃないふりをしているのが建前だから、
必ず交通事故なり、やじ馬を呼びたいわけですよね。
事件って基本的には衝突だから。
やっぱりそこでM同士って衝突回避するし、
S同士は譲りあうでしょう。
だから事件が起こらないんじゃないですかねえ。
逆に見えたりしても、あるよね。
松本 そう、ボケが必ずMってことではないんですよ。
糸井 見た目は、だって、松本人志の方がSだもん。
松本 Sなんですよ。
ところが本来は全然違ってて、僕はやっぱりMですし。
糸井 ただその中にインターミッション加えてるね。
時々、MのS性を出すよね。
松本 そうですね。
MのS性を出しますね。
糸井 あと浜ちゃんがマウンティングをするよね。
あの、のしかかって、胸を叩く。
松本 ゴリラの(笑)。
しますねえ。
糸井 しますねえ。
そしてマウンティングの時は客席を見るね。
あれ、商いできるギリギリっていうのは、
あそこにあるのかもね。
これ、言っちゃ悪いんだけど、
武道館の写真を出したコンサートが、
一番僕の中で松本人志の点の低いものなんですよ。
あれ、終われるじゃん、って思ったの。
つまり、お客さんいなくても完結しちゃうじゃんって。
あれは、「行かないでくれっ!」って思った方向なの。
そしたら、案外、やめたんで、助かっちゃったんだけど、
すっごくあの時楽しめても、
「次、ないよー、次、ないよーっ」って。
どんどん自分を難しくしていくだろうなって思ったんで、
あれ、やめてくれますようにって祈ってたんだよ。
だからやめてくれて……助かった。
松本 あ、そうか。
いやね、僕はあれ、武道館の意味は何もないなって
思ったんですよ。
そういう解決の仕方をしましたね。
ただあの面白さって言うのはやっぱりあるし……。
糸井 面白かったのよ!
もちろん。
松本 あるので、もっと違うやり方ではやりたいんだけどね。
糸井 あれで、試験問題みたいなの組み合わせたら最高だね。
「一人ごっつ」になるんですよ。
「一人ごっつ」の面白さって、あれがあったから
あるんだなって思ったら、
ああ、やめたわけじゃなくって、って思って。
遺伝してるじゃないですか。
松本 そうですね。
糸井 あれ? 何だかファンに近くなってるな。
こういう話しちゃ駄目だな。
もうちょっと、研究生になりたいんだけれど。
あ、きりがないから、ごめんね。
ちゃんと終わりにします。

(おわり)

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2000-01-14-FRI

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