四季【秋 あき】二十四節気【立秋 りっしゅう】西暦【2012年8月7日~8月11日】
七十二候【第三十七候 涼風至 すずかぜいたる】立秋を過ぎ、お盆を迎える時期になると、熱風の中にふと秋の気配を感じることがあります。まぶしいほどに輝いていた太陽も心なしか日射しを和らげ、日が落ちると草むらから虫たちの涼しげな音色が聞こえてきます。真夏日や熱帯夜が続き、
暑さは今がたけなわですが、季節は少しずつ、しかし確実に進んでいます。


あずま女 すずかぜ・いたる。
お盆が近いので
そろそろ秋を感じようよ、って
ことだと思うんです。
日は短くなっていきますしね。
── 日に日に釣瓶落としに向かって。
あずま女 この頃の旬のやさいは、西瓜ですね。
江戸の話なんですが、
江戸時代のはじめ頃は
上の身分のかたは
召し上がらなかったらしいですよ。
お侍さんとか。
── ハラキリに見えるからかな?
あずま女 『飲食事典(*)』には
庶民や、武士階級でも人足というか、
雑用係のような身分の「中間」(ちゅうげん)が
食べていたという記述があります。
江戸の後半くらいから、
身分を問わず食べるようになったみたいです。

*平凡社 1958年刊

── 時代劇でお侍さんがシャクシャク食べてるのは
もしかしたらおかしいわけですね。
京都の人はいかがですか。
京おとこ 西瓜はふつうに食べましたけどね。
西瓜といえば、塩をふって
食べる人がいましたよね。
  すいか
あずま女 わたし、塩で食べます。今でも。
ちょっと甘みが足りないなって思ったら塩を。
京おとこ うち、おじいちゃんが
それやってたんですよ。
子どもごころに
それはおいしいのかって思っていました。
一回、辛くしてから甘くするっていうのが
理解できなかったんです。
あずま女 しょっぱさは甘みを引き出すんですよ。
京おとこ ってことなんでしょうねえ。
うちね、麦茶も塩入れてたんですよ。
あずま女 麦茶に砂糖は入れてましたけど。
── 中間の静岡ですが、砂糖を入れてました。
あずま女 松本出身の祖母の習慣かもしれません。
でも、京都は塩?
京おとこ ぼくはふつうだと思ってたんですよ。
── 理にかなってますよね。
夏は汗をかくから。
京おとこ けれども、小学校の時に、
遠足で友だちに麦茶あげた時に、
「なにこれ塩辛いやんかー」
みたいなこと言われて
すごくショックを受けたのを
覚えているんですよ。
あずま女 や、それ京都の習慣っていうより
京おとこさんの家の習慣じゃない?
京おとこ や! ほかにもやってるとこ
あったと思いますよ、たぶん。
── 麦茶って江戸時代にあったんですか。
あずま女 「麦湯」っていうのが
江戸時代おわりごろには
売られていたはずです。
── 麦湯って時代小説でよく目にしますよね。
あずま女 たぶん麦茶と同じものだと思いますね。
京おとこ 粉で思いだしたけど
京都のグリーンティは
ぼくは好きでしたねえ。
あずま女 粉茶ですね。
── 夏は冷たくして飲む。
甘くして飲みました?
京おとこ もともと砂糖が入ってるんですよね。
── 静岡でもあります、それ。
「うす茶糖」っていうんですけど。
京おとこ 東京で見ないですよね。
あれはサミシイなあ。
旬のやさいでいうと、
ぼくはオクラを初めて食べた時
衝撃を受けましたよ。
── オクラはそんなに昔
食べてなかったですか。
京おとこさんは昭和44年生まれですよね。
京おとこ 小学校の中学年か高学年で
突如現れたんですよ。
こんなネバネバした食べ物があるのかと。
あずま女 オクラ、
日本語じゃないんですよね。
英語なんですよね。
── ホテルオークラ?
あずま女 それは大倉財閥ですね。
ともあれオクラは
江戸時代の日本にはなかったはずです。
資料には出てこないです。
京おとこ 旬のさかなが皮剥なんですよね。
皮剥って冬のイメージありますよね。
  かわはぎ
あずま女 旬は夏なんです。
第2の旬が冬。
冬のほうが肝はおいしいですよね。
── ありがとうございました。
次回は「寒蝉鳴(ひぐらし・なく)」。
8月12日にお会いしましょう。
2012-08-07-TUE

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