「かみてつ」ってな~に? 「かみてつ」ってな~に?

紙でできた鉄道模型「かみてつ」。
電車や町が紙でつくられている、
というものはよく見かけますが、
この「かみてつ」は、
紙にプリントされた線路のうえを、
紙の電車が走る(!)という、
ちょっと不思議なペーパークラフトなのです。
第3回「生活のたのしみ展」の会場では、
この「かみてつ」を
みなさんに体験していただこうと、
子どもから大人までたのしめる
「かみてつワークショップ」を
連日開催することになりました。
「かみてつ」のデザイナーであり、
根っからの「鉄オタ」という八木澤さんに
「かみてつ」のこと、鉄道模型のことを、
たっぷりとお話しいただきました。

──
第3回「生活のたのしみ展」の
「にぎわいガーデン」というエリアでは、
「かみてつワークショップ」が開催されます。
今日は「かみてつ」発案者の
八木澤優記さんにおいでいただきました。
さっそくテーブルの上に、
気になるものがいっぱいありますね!
八木澤
文房具やらシールやら、
とりあえず子どものお道具箱から、
いろいろ持ってきちゃいました(笑)。



今日は「かみてつワークショップ」の
デモンストレーションをしようと思います。
えっと、まず、このシートはですね‥‥。
──
ちょっ、ちょっと待ってください!
デモンストレーションの前に、
そもそも「かみてつ」って、なんなんですか?
いわゆる「ペーパークラフト」とは、
どこがちがうのでしょうか?
八木澤
もう、ぜんぜんちがいます!
「かみてつ」がなにかっていうと、
「紙でできた鉄道模型」なんです。
──
えっと、そのままですが‥‥。
八木澤
あ、だから、その‥‥紙は紙なんですが、
線路部分が「導電インク」で印刷された
電子回路になっていまして、
実際に電車を走らせることができます。
──
導電インク? なんですか、それ?
八木澤
見た目はふつうのインクなんですが、
印刷したところが通電できるという、
ちょっと特殊インクと印刷技術なんです。
その上を電車が走ります。
──
おおお、そうなんだ!
八木澤
今日持ってきたのはサンプルなので、
本番のものとはすこしちがいますが、
ワークショップでは
こういったものを使います。
──
あ、このイラスト、
めちゃくちゃかわいいですね!
八木澤さんが描かれたんですか?
八木澤
意外ですか(笑)?
ワークショップでは、
このパーツを切ったり貼ったりして、
みなさんに「架空の町」をつくってもらいます。
──
いいですね、架空の町。たのしそう。
八木澤
今日は事前にぼくのほうで、
その「架空の町」でつかうパーツを
準備してきました。
本番はこのパーツづくりからはじめます。
──
パーツだけでも、すでにかわいいです(笑)。
八木澤
さっきのシートを
ザクザク切っただけなんです。
イラストの線は「キリトリ線」ではないので、
線の通りではなく、
そのまわりをテキトーに切ってください。
色は自分で塗ってきましたが、
本番では色付きシートもご用意します。
──
色を塗るときのコツはありますか?
八木澤
がんばりすぎない。
細かいところまで塗らずに、
これもテキトーに塗るくらいが
ちょうどいいと思いますよ。
──
そういわれると気が楽ですね。
八木澤
ひとまずサンプルということで、
すこし気をつかって塗っていますが、
線からはみ出しても、
まったく問題ありません。
それはそれで「味」になりますから。
──
当日のワークショップは、
このパーツをつくるところから
はじまるわけですね。
八木澤
はい、そうです。
パーツの準備ができたら、
町の土台部分を組み立てます。
これをこうやって、
ポンと差し込めば‥‥はい、完成。
──
あっという間にできました。
八木澤
町の土台が完成したら、
先ほどのパーツを飾りつけていきます。
コツとしては、
大きいものから順番に並べていくこと。
あとで大きいパーツを置くと、
奥が隠れてしまいますからね。
──
なるほど。
八木澤
パーツを並べていくときは、
クリップや小さい洗濯ばさみで
仮止めしながら位置を決めていくと、
あとでかんたんに修正できますよ。



シートはシールになっているので、
貼るときは裏紙をはがすだけです。
もちろん貼り直しもできます。
──
おぉ、どんどん町ができていく!
八木澤
飾りつけは自由なので、
思うままにやっちゃってください。
花火はこうやってクリップで止めて‥‥。
恐竜も置いちゃえ(笑)。
──
おぉ、すごい!
はじめ「クリップを使うの?」と思いましたが、
案外アクセントになってますね。
のり付けしなくても、
このままでもかわいい気がする!
八木澤
カチッと止めてもいいし、
このまま仮止めでも成立します。
小さい子どもだったら、
シールやセロテープを
ペタペタ貼ってもいいと思います。
──
あ、セロテープでもいいんですか?
八木澤
ぜんぜんオーケーです。
むしろ小さい子には、
どんどんセロテープを推奨したいくらい。

ワークショップ当日は、
ぼくが近くでアドバイスしますので、
わからなかいことがあったら
なんでも聞いてください。
──
それは心強いです。
八木澤
まぁ、相談されても
「好きなようにやってください」
というだけなんですが(笑)。
というのも、
こういうものに正解はないんです。
楽しんでつくったら、それが正解!
だから、キッチリやろうとする
必要なんてまったくありません。
と、そんなこんなで‥‥。
──
おぉ、すごい! 
あっという間に、町が完成しました!
八木澤
おぉ、なかなかいいんじゃない!
自分で自分をほめることも大切です(笑)。
──
とってもステキだと思います!
八木澤
ワークショップのフィナーレは、
自分でつくった街に電車を走らせます。



電車を走らせるには、
市販の「通電キット」が必要になります。
電車部分は、紙でつくった車両を
「電力ユニット」にかぶせれば完成です。
八木澤
最後に、乾電池ボックスと線路を
ケーブルでつなげれば、準備はオーケー。
あとは、線路の上に電車を乗せたら‥‥。
──
あ、走った! やったー!
八木澤
これはサンプルなので、
ちょっとガタガタしますが、
本番用はもっとスムーズだと思います。
──
線路部分は手でさわっても平気ですか? 
電気が流れても、ビリビリしたりしない?
八木澤
はい、大丈夫です。ビリビリしません。
──
当日のワークショップに、
なにか持参するものってありますか?
八木澤
いえ、手ぶらでご参加いただけます。
ただし、ワークショップに参加するには、
事前予約が必要になります。
予約は「たのしみ展」の
公式サイトから申し込んでください。
──
子どもだけじゃなく、
大人だけで参加していいんでしょうか。
八木澤
もちろん大人だけでも大歓迎です。
──
「かみてつ」について、
よくわかりました。
ありがとうございました。



もうすこし八木澤さんに
お聞きしたいことがあるので、
このままうかがっても大丈夫ですか?
八木澤
もちろんです。
──
八木澤さんは「かみてつ」の
発案者でもあるわけですが、
もともとのご職業というか、
ご専門はなにになるんですか?
八木澤
いまは東京藝術大学で、
デザイン科の講師をしています。
メディアアートが専門ですが、
最近はデザイナーを名乗ることが多いですね。
何屋さんなのかは、
自分でもよくわかりません(笑)。
──
そもそも八木澤さんは、
どういう経緯で「かみてつ」を
つくることになったんですか。
八木澤
どういう経緯かというと、それはですね‥‥。
(つづきます)
2018-06-02-SAT


▲「かみてつキット」の制作風景