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第2回 バランス
Part Two	Balance
糸井
Itoi
ジョニー・ウィアーという人に対しては、
ぼくらのように応援する声と、
あいつは困ったものだっていう
両方の声がいつもあると思うんですけど、
今回、結婚したことで、
あなたに対する否定的な声というのは、
大きくなりましたか?
それとも、静かになりましたか?
I'm sure there's a mix of reactions about who you are and what you stand for, with some like us rooting for you, and others who seem upset by your thinking and actions. Do you feel the voices of dissent have gotten stronger since you’ve married, or grown quiet?
ジョニー
Johnny
結婚したことで、
いろんなことがオフィシャルになりましたから、
周囲の軽々しい声は静かになりましたね。
あいつはゲイなのか、ゲイじゃないのか、という詮索とか、
女性の自分でも彼をものにできる
チャンスがあるのかしら、みたいな声とか、
あるいは一般的なゲイに対する偏見から、
毎週ボーイフレンドをとっかえひっかえして
遊び回っている、みたいなイメージもなくなりました。
結婚して、ひとり市民として確立したというか。
My marriage makes my life official. It's not a question of is he gay, is he not gay, can I be the woman that will change him, is he a stereotypical gay person that changes boyfriends every week and parties a lot. A lot of those thoughts are quiet now because I'm married, and I'm an upstanding young citizen.
糸井
Itoi
それはよかったですね。
That's good.
ジョニー
Johnny
ご存じのように、
ぼくに対するネガティブな意見はつねにあるんですが、
そういうものを聞いてもなにも生まれないし、
なにも達成しないので、
基本的には、聞かないようにしています。
ただ、一方で、そういった声が耳に入ったときに、
すごく自分の中に怒りとともに
ある種の力が湧いてきて、
だったらもっとよくなってやろう、
っていう力につながるので、そういう意味では、
ぼくを悪く言ったり、揶揄することを
やめないでほしいなとも思ったりもします。
それは、日々の成長と、
這い上がるチャンスをくれるので。
But, you know, I try to never listen to negative things about myself, about my performance, about my family. It doesn't accomplish anything. Although, when you hear bad things about yourself, they make you so strong and so angry that you find yourself improving from that. So, I hope people never stop talking badly about me, because it gives me the opportunity to rise up and be better every day.
糸井
Itoi
なるほど(笑)。
I see. (laughs)
ジョニー
Johnny
あと、結婚してから前より落ち着いたねとか、
フレンドリーになったねっていわれることが増えて、
それはよかったなと思ってます。
実際、ぼくは、たぶんいい人間だと思うんですけど、
氷の上にいるところとか、
インタビューに答えているところだけ見ると、
なかなか伝わらない部分も多いので(笑)。
そういった意味ではよかったですね。
But people do say that I'm nicer after getting married, that I'm calmer and more friendly than before. Which is a positive thing to have happened, I think. Because I want people to think I'm nice. I am nice. But it's hard for people to know who you are when you're on the ice or doing an interview. But I'm glad this was a reaction of my marriage.
糸井
Itoi
あ、ぼくも、なんとなく
落ち着いたように感じましたよ。
それは悪い意味じゃなくて。
こう、エキセントリックで、
過剰な表現もあなたの持ち味で、
それはもちろん魅力なんですけど、
いまの、シンプルでいられる状態というのも
とってもいいなと思いました。
Yes. I see you're calmer now, in a way. When you were younger, you exhibited some sort of eccentricism, like you had an overload of expression. And that’s what's great about you. But at the same time, seeing you so calm and under control is also very nice.
ジョニー
Johnny
ああ、そうですか。よかった。
Good.
糸井
Itoi
そのときどきで、
自分に合ったクリエイティブがあるわけだし。
だから、もしも、結婚して落ち着くことで
過剰でエキセントリックな表現が減ったとしても、
きっとそこから新しいクリエイティブが
はじまるんだろうなっていう期待を感じるんです。
A few years ago, you had your creativity at that point in time. But now you're in a different stage of life, and it seems like an opportunity for a new type of creativity from you.
ジョニー
Johnny
そうですね。
Absolutely.
糸井
Itoi
結婚して、具体的に自分が変わったことを
感じることってありますか?
Is there anything that's clearly changed since getting married?
ジョニー
Johnny
ぼくのことで、夫が好きじゃないものって
けっこうあるんですよ。
それは、ぼくの服だったり、
振る舞いだったり、習慣だったり、
あるいはスケートのパフォーマンスについてとか、
メイクなんかについてだったりするんですけど。
彼はいつも参考になる意見を持っているんです。
で、ぼくは、日常生活においては、
なるべく彼の好みに合わせて、
彼にとっていい夫でありたいと思ってるんですが、
氷の上にいるときとか、
なにかクリエイティブなことを
しているときの自分については
あんまり意見を受け入れるつもりがなくて。
というのは、そういうときのぼくは
いままでの常識を大きく変えてやろうと
思ってやっているので。
ぼくは夫が誇るような、
よい結婚生活を送りたいとも思うけれど、
自分が何者なのかということを
忘れるわけにはいかない。
たとえば、今日、
夫はこのスケートリンクにいないので、
ぼくはこんなにかかとの高いスニーカーを履いてる。
こういう靴、彼はあんまり好きじゃないんですよ。
そういうふうに、いいバランスをとっていきたい。
There are many things that my husband doesn't like, with some of my clothes, my behaviors, my performances, my makeup. He always has an opinion, which is great for me. So, in life, I like to give him what he wants. I want to be a perfect husband, and do everything that he likes. But when I'm on the ice, or doing something creative, I bend all the rules I abide by at home. I like when my husband is proud of me, but I also have to remember who I am, if I'm going to be a good part of my marriage. Today, for example, he's not here, so I can wear these high-heeled sneakers so I'm tall. He doesn't really like it. So it's a very good balance, and creatively, I'm finding so many new parts of my personality.
糸井
Itoi
たしかに、すごい靴だね、それ。
Those shoes.
ジョニー
Johnny
いいでしょ。背も高くなるし。
彼の方が僕より背が低いんですよ。
Aren't they nice? He doesn't like being shorter than me.
糸井
Itoi
なるほど。
I see.
ジョニー
Johnny
まぁ、そういうことも含めて、
ふつうの男女のカップルが結婚して
通っていくような道を
ぼくらも通ってるんだと思います。
We go through a lot of the same issues that men and women go through.
糸井
Itoi
うん。服がちょっと気に入らないとか、
隠れて好きなことをやってるとか、
けっきょく、一般的な夫婦の話と
まったく同じだものね。
Not liking the clothes your partner wears, doing things you enjoy on the side, those are all what any couple would go through.
ジョニー
Johnny
ほんと、そうなんですよ。
Definitely.

To Be Continued......
2013-10-28-MON
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