こんどの「JAZZ」、どうする?

第16回 最初の「ひと弾き」を、誰かが。

タモリ

いつか「人物篇」、おもしろそうですね。

山下

サッチモ、マイルスとか
基本的なところから‥‥。

糸井

前半はほとんど、
無名のアフリカ人だったり(笑)。

全員 ははははは(笑)。
糸井

でも結局、
その人を押し出した時代の空気だとか、
必然性があったんでしょうね。
誰かがムチャをしないと変わんないというか。

山下

うん。

タモリ

最初の「ひと弾き」を、誰かが。

山下

バディ・ボールデンていう伝説のトランペッターがいて。
ミシシッピー川の向こうまで音が届いたという‥‥。

糸井

デカいんですか?(笑)。

全員 わはははは(笑)。
 
山下

うん、デカかった、音が。
昔、「音デカいのが勝ち」っていう時代が
あったんですよ。
それを聴いて、その人を目指した少年が、
サッチモ(ルイ・アームストロング)なんです。

糸井

ほお‥‥。

山下

で、シカゴに移ったサッチモの音を聴いた
白人たちが、がんばって‥‥。

タモリ

シカゴジャズ。

山下

ビックス・バイダーベックなんていう
天才肌の人もいたし、
ほかにも白人の若者たちが真似をして、
エディー・コンドン派のシカゴジャズなんて
いうのもできるわけですね。

方々の街で、そういうことは起きたと思うんです。
それがスイングジャズ時代に続いて、
やがて、マイルス・ディビスへと。
ラッパならラッパの歴史はつながるんです。

糸井

おもしろいですねー。

タモリ

いま、トランペットでトップの
ウィントン・マルサリスって人のインタビューを
読んでたら、
みんながマイルス、マイルス、言いすぎると。
つまり、オレの技術を持ってすれば、
誰の演奏でも真似できるって、暗に言ってる。

でも、真似しようとしても
絶対できないやつがひとりいる、と。
それが、サッチモなんだって。

糸井

それ、わかる気がします?

タモリ

そうかもしれません。

山下

真似出来るできないとは別に、
音楽ってね、ぼくは「火くらいはやい」と思う。
‥‥つまり「火」って棒につけてもらったら、
そのまま持って帰って
すぐに自分の人たちのものになる。

糸井

ああ‥‥。

山下

音楽の場合も、聴いておもしろいと思って
覚えちゃったら、すぐ友達に教えられる。
はやいよー、これは。

糸井

それこそ「音速」。

山下

わはは、「音速」です(笑)。

 
糸井

だから、ながい歴史があるけれども、
その歴史とか空間とかを
飛び越えちゃうってこともありますよね?
「あ、分かった!」って。

山下

そういう現象があると思うんですね。

なにかの研究実験で、アフリカの人に
モーツァルトの音楽を聴かせたんだけど、
ぜんぜん反応がなかった、と。
それはもう「風」と同じで、
打楽器が鳴らないことには
意味が伝わらないってことらしい。
そこではモーツアルトは、
意味のあるものにはならない。

でも、もしかしたら一人ぐらい、
「なんだこれ、おもしろい!」って人が
いたかもしれない‥‥いや、いたと思うんです。

糸井

ふん、ふん。

山下

わからない人も入るけど、わかる人もいる。
決めつけちゃいけない。

ジャズでもそうだけど、
はじめて聴いてわかる人、絶対いるはずだから。

< 続きます >

あなたの質問に、壇上の3人が答えます!

前回の「はじめてのJAZZ」では、
みなさんから募集した「ジャズに関する質問」に、
山下さん、タモリさん、糸井重里が答えるという
コーナーをもうけました。

山下洋輔カルテットの実演もとびだすなど、
たいへん盛り上がった企画だったので、
今回もまた、やりたいと思います!

「ジャズ」についての質問・疑問があったら、
どんなことでもOKですので、
ペンネームをお書き添えのうえ、
メールにて、どしどしお送りください!

質問をおくる
たとえば、前回の「はじめてのJAZZ」には
こんな質問が寄せられました。
ジャズって勉強が必要ですか?
ついきいてしまうCDを教えてください。
ぶっちゃけ、
スウィングするというのが、
いまだにわかりません。
どういった感じなのですか?
なんか、今さらすいません。
ジャズをどうきけばいいのでしょうか?
イメージではソファーなどで座って
足を組み、グラス片手に目をつむり、
音をわかってるふうに
ちいさくリズムを取るというか。
手拍子や合いの手、掛け声などは禁止。
服装は、ドレッシーなんでしょうか?

なお、みなさんからいただいた質問は、
イベントのときだけでなく、
後日、このページでもご紹介したいと思っています。

ジャズについて、3人に聞きたいことがあったら
どうぞお気軽に、お送りくださいね!


2007-10-12-FRI

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