すごいお母さん、 EUの大統領に会う   香川県丸亀市に 尾崎美恵さんという女性が住んでいます。 ごくふつうの主婦として家を守り、 ごくふつうに3人のお子さんを 育てていましたが、 ある日、たった一人で四国の文化を ヨーロッパに紹介する活動をはじめます。 その行動力はすさまじく、 なんと「EUの大統領」にまで会ってしまいました。 いったい、どんな方なんでしょう。 同じく丸亀市出身の「ほぼ日」藤田が 会いに行きました。
第3回:原動力になったもの
ーー お話をうかがっていると、
すごく強いエネルギーをお持ちだという
印象を受けます。
尾崎 やっぱり、環境が自分を
つくってくれたんだと思うんです。
専業主婦でしたので、家の中にいることが多く
発散したいエネルギーが
溜まっていったんでしょうね。
毎日、自分が決められることといえば
「今日の料理は何にするか」くらい。
主人のおかげで生活ができていることに
感謝していますし、
3人の子どもを育てるのに毎日必死でしたが、
社会から隔離されたような状態の中で、
私自身は何をしたいんだろう、という
自問自答が続いていました。
そして、父の死をひとつのきっかけに
「このまま何もしなかったら死ねない!」
という気持ちが一気に爆発したように思います。
ーー 一気に‥‥。
ちなみに、ご活動をはじめたとき、
ご主人はどのような反応をされましたか?
尾崎 主人は、私と真逆で
ちゃんと常識があるので、
私のめちゃくちゃな行動を心配していましたね。
人からはよく
「尾崎さんはいいね、ご家族の理解があって」
と言われるんです。
私も「そうなんですよ」と返すんですけど、
本当は、歓迎されなかったからこそ、
ここまで来れたんだと思うんです。
主人に受け入れてもらいたいという気持ちで
がんばれたので、
主人にはとても感謝しているんです。
ーー 理解してもらおうと思ったからこそ
かえって燃えた‥‥。
尾崎 ええ、そうでしょうね。
孤立無援だと思い込んでいたときは
家族に対しても、
「もっとこうなってくれたら」って‥‥。
でも好きなことをやりはじめた今は、
相手じゃなくて自分自身の問題だと思うんです。
ーー すごいです。
そんな環境のなかでも、
お嬢さまのブログによると
「家の中を外国に」なさったそうですね。
尾崎 ええ、まず、壁中にフランスのポスターを貼りました。
ーー すごい。今もたくさん貼られてますね。
尾崎 そして、日中は
英語やフランス語のラジオを流していました。
で、主人が帰ってきたら、スイッチを
バチッ。
ーー (笑)
尾崎 「お帰りなさい」と言った瞬間、
ヨーロピアンワールドだった場所を
ジャポンに変えるわけ。
ですからこの家は、外枠は和風なんですけど、
ソフトの面はヨーロピアンスタイル。
今もそうですが、
昼間は外国人をよく呼んでいました。
ーー どうやって外国人を
ご自宅に呼んでいたんですか?
尾崎 私、「外国人ストーカー」なんです。
ーー ストーカー!?
尾崎 電車に乗っていて
外国人がいたら、まず隣に座る。
「何しにきたの?」「どこが良かった?」
みたいに質問したり、
歩き遍路の外国人を家に呼んで
料理をふるまったり‥‥。
この話、都会の人が聞いたら、
外国人はそこらじゅうにいるのに、何で?
と思うかもしれないけど、
やっぱり田舎は外国人が少ないし
触れる機会がないんです。
家では音楽や絵で外国に触れ、
外へ出ると外国人と話をし、
文化にも人にも興味がつきなくて
とにかく近づきたい‥‥。
そういう思いで、ずーっとやってきました。
ーー 何年も、そういう個人活動を‥‥。
尾崎 はい。自分がしたいと思うことを
してきただけなんですけどね。
今はフランス語の講師をしながら
「四国夢中人」という
四国とヨーロッパをつなぐ活動をはじめて、
「外国人は四国のどこに興味をひかれるのか」
「四国の良さは何か」という
マーケティングを企画に反映させているんですが、
これも結局、ストーカー活動から
はじまっているわけです。
  (つづきます)
 
2014-06-20-FRI

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