第5回 第5回 社員の顔が見える会社。

ぼくが独自に考えている
「ダメな会社の法則」っていうのが
いくつかあるんですけれど、
時間も少ないので、
1つだけご紹介しますね。

「自社のウェブサイトに社長の写真が
 載っていない会社は要注意」

糸井さんは、もう毎日載ってますから
ぜんぜん問題ないです。

(笑)

ぼくは、そういうところに
その会社が大切にしていることが
意図せずに表れていると思っています。

たとえば、こちらの
ゴールドマン・サックスという証券会社の
役員のページをご覧ください。

かっこいいですよね。
きっと、このポートレートは
一流のカメラマンに撮ってもらってると思います。 
役員の役職と名前だけがただ並んでいるのと、
このようにちゃんと顔が見えるのとでは、
どちらがいいかは一目瞭然ですよね。

ゴールドマン・サックスは
アニュアルレポートもすばらしいんですよ。
アニュアルレポートというのは、
上場している会社が年に一度、
株主や投資家に配る年次報告書のことです。

経営者はよく、
「わたしたちの会社は社員を大切にしています。
 社員は『人財』です。
 『人財』の財は、材料の『材』ではなく、
 財産の『財』なんです」
ということを話しますね。 
いいこと言うなぁと思って、
そういう会社のアニュアルレポートを見てみると、
社員はひとりも映っていなくて、
工場のパイプとかがバーンと載ってるんですよ。
人じゃなくてパイプが大事なんじゃないか! と。
アニュアルレポートを見れば、
こういう嘘はすぐにばれるんですね。

パイプがドーンと載っているパンフレットのイラスト

ゴールドマン・サックスのアニュアルレポートは、
社員の写真だらけなんですよ。
内容は英語ですが、
こちらから過去のレポートを見ることができます。
このアニュアルレポートを見るだけで、
「ゴールドマン・サックスは『人』である」
と思っていることが伝わってきますよね。
ぼくね、かっこいいなぁと思ったのが、
3年くらい前のブラジル・リオのチーム写真なんですよ。
社員みんなで映ってるんですけど、
前のほうに、
ビシッとモップを持ってるおじさんが映ってて。
その姿がほんとうにかっこいいんです。
きっとね、
「この角度のほうがかっこよく見える!」とか
言いながら撮ったんだと思います。

その写真からは、
ゴールドマン・サックスは人で成り立っていて、
このモップを持っているおじさんだって
ゴールドマン・サックスなんだ、という
誇りやプライドを感じました。

短期的な利益が上がるか下がるかということは、
言ってしまえば、どうでもいいことなんです。
それよりも、
社員の写真が見えるところに
ちゃんと出ているか出ていないか。
こういうことが、ものすごく大事なんです。
だから、ぼくはアニュアルレポートでは
登場する社員数を数えるようにしています(笑)。
それと同じように、
日本の時価総額上位200位の会社のウェブサイトに
社長と役員の写真があるかどうかを調べました。

(笑)

社長と役員の写真がどちらも載っている会社は49社で、
両方とも載っていない会社は7社でした。
残りの144社は、社長の写真だけという会社です。
そして、リーマンショック以降の株価を見てみると‥‥。

スライド74

期間:2008年11月~2013年2月2008年10月末=100
レオス・キャピタルワークス調べ

このような結果になりました。
社長と役員の写真が載っている会社の株価は
リーマンショック後、66%のプラス。
社長だけの写真が載っている会社は、30%のプラス。
1、2ポイントの差だったら誤差かな、と思いますが、
実際には、その差36ポイントなので、
誤差とは考えられません。
ここまで差がはっきり出るとは、
ぼくもびっくりしました。

それで、次は社長の挨拶文の主語に
「私」「私たち」をつかっているかいないかを
調べました(笑)。
挨拶文に
「私はこう思う」「私はそう考える」というふうに
書いてあることって、すごく少ないんですよ。
だいたいは「当社は~」とか「弊社は~」とか、
会社が主語になっていたり、
主語がないものもけっこうあるんですね。
主語がない文章は受動態で書かれていて、
当事者意識がまるでないんですよ。
それを、またグラフにしました。

スライド75

※期間:2008年10月1日~2013年10月31日
 レオス・キャピタルワークス作成。当該実績は、過去のものであり、
 将来の運用成果等を保証するものではありません。

結果は歴然ですね。
それから、
さきほどの写真の有無と主語が「私」かどうかを
くっつけちゃったグラフがこちらです。

スライド76

期間:2008年11月~2013年2月2008年10月末=100
レオス・キャピタルワークス調べ

もう、圧倒的です。

ぼくは、投資において
なんのテクニックも持っていません。
こういう本質的なところを大事にしている会社に
投資をしているだけなんです。
真面目にお客さんと向き合って、
真面目に経営をしている会社は
ちゃんと利益を出して、株式市場で評価されます。

こういう会社を訪問して、社長さんとお話しすると、
お客さんのことをきちんと考えていて、
社員のことを愛しているんですね。


そういう人に投資をして、日本の将来に賭けてみる。
そういうことが、
ぼくらが考えている株式投資というものなんです。

ちょっと長く話しすぎちゃいました。
ありがとうございました。

一同 (拍手)
糸井 いやぁー、おもしろかった。
藤野 ああ、ありがとうございます。
糸井 そうですね、どこから話すのがいいかな‥‥。
どの話も、
いくらでも掘り下げられると思うんですけども。
藤野 いくらでも、話しますよ。

(次回より、
 藤野さんと糸井重里の対談編がスタートします。
 どうぞ、おたのしみに!)

2014-05-20-TUE

星海社新書 820円(税別)
Amazonでの購入はこちら。
20年以上プロの投資家として活躍されてきた
藤野英人さんが、
「お金の本質とはなにか」について考えた結果を
1冊にまとめた本です。
この本を読んだ糸井重里は、
「非常におもしろかったです」と社内にメール。
希望者を募って本を配りました。
糸井重里の
「これは、いい参考書です。」いうつぶやきは
この本の帯にもなりました。

「ほぼ日」の創刊12周年記念の特集で、
テーマは「お金」でした。
なぜ、お金について「あえて」取り上げるのかという
糸井重里のイントロダクションからはじまり、
芸術家の赤瀬川原平さんや、みうらじゅんさん、
日本マクドナルド会長の原田泳幸さんなどにうかがった
お金にまつわるお話をまとめています。

日本・台湾の実業家、作家の邱永漢さんの
2000年から2002年まで連載したコンテンツです。
「金儲けの神様」と呼ばれた邱さんが
お金や経済を中心に、人間、人生についても執筆。
全900回の連載になりました。

「もしもしQさんQさんよ」を連載していた
邱永漢さんと糸井重里との対談が、
同タイトルでPHP研究所から出版されました。
このコンテンツは、対談本の立ち読み版です。
本についてはこちらをご覧ください。

就職すること、はたらくことについて
あらためて考えたコンテンツ特集です。
ミュージシャンの矢沢永吉さんや
ディズニーの塚越隆行さん、
マンガ家のしりあがり寿さんなど、
さまざまな職業や肩書きの方に話をきいたり、
読者にアンケートしてもらったりしました。