フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

ヴィエリ、ACミランに移る!!

インテルを出たボーボ・ヴィエリが、
ACミランに入りました。
これは果たして、6年の間、
彼が着ていたインテルのシャツへの
「裏切り」と言えるのでしょうか?

ヴィエリがACミランに行くという噂は、
カルチョ・メルカートの始まりの頃には、
「可能性」という点で、
最も「ありそうにない」ものでした。
インテルのオーナーであるモラッティにしても、
このニュースを実際に新聞上で読むなんて、
絶対に嫌だったろうと、ぼくは思います。
ヴィエリが入るチームを決めたのがまずいと言うよりは、
そのチームがACミランだったというのが、
彼は嫌でしょう。

モラッティとヴィエリの
ここ数年の関係は‥‥


実は、ここ2年間ばかり、
モラッティとヴィエリの間にあったのは不協和音です。
昨年もヴィエリはユベントスに売られそうになりました。
この商談は最後の段階でまとまりがつかず、
結局、彼はインテルに残留したのです。

ヴィエリとインテルとの契約は、
まだあと1年間残っています。
それでもモラッティは、
ヴィエリがインテルにいるのを良しとせず、
彼を去らせるために800万ユーロ、彼に支払いました。

もしインテルに残ったなら、
ヴィエリは800万ユーロよりもっと稼いだはずです。
でもヴィエリ自身も他のチームに移るほうを望みました。

他のチームでなら、もっと活躍して、
彼が今もってチャンピオンであると示せる、
そうすれば、彼にたいして批判的な人たち全員が
まちがっていたことも証明できると、
彼はそう思ったのでしょう。

ヴィエリを放り出す、いや、自由にすることで、
モラッティは約1千万ユーロ(ほぼすべてが税金)を
節約したことになります。
そして、ヴィエリが落ち着き先を見つけることは
できないだろうと、モラッティは思っていました。

ところが、ヴィエリがメルカートに出たと知るや否や、
即、ヴィエリに電話を入れたのは、よりによって
ACミランのシルヴィオ・ベルルスコーニ会長でした。
彼は電話でヴィエリに、こう言ったそうです。

「ACミランのシャツでプレイしに来なさい、
 そうすれば君は大いに雪辱も果たして、
 イタリア最強のアタッカーとして返り咲けるよ」

願ったり叶ったり、というわけで、
スペインでバカンスを過ごしていたヴィエリは、
ベルルスコーニの電話の後、
いちばん早く乗れる飛行機に飛び乗り
ミラノに向かいました。
ACミランのドクターによる健康診断を受けるためです。

ACミランのドクターたちは、
彼のコンディションは完璧であると言いました。
彼はすぐさまラジオとテレビで、
こう発表しました。
「ぼくはACミランに来られて幸せだ。
 このチームでプレイすることは、
 サッカー選手みんなの夢なんだ」と。

モラッティはヴィエリに裏切られた?!


さあ、気を悪くしたのはマッシモ・モラッティです。
彼はヴィエリから感謝のひとことすら、
受けなかったのですから。

インテルのオーナーであるマッシモ・モラッティは、
3年前にロナウドがレアル・マドリードに移りたいと
言い出した時にも、ちょっと裏切られたと感じました。
でも今回のヴィエリには、
もっと裏切られたと感じたでしょう。
モラッティは
「ロナウドは、それでも優しい態度をとり、
 私たちは長い間、話し合った。(2002-12-24)
 しかしヴィエリは人道的な面で私を落胆させた。
 私はヴィエリから電話1本くらいは、
 受ける価値があるはずだ」と、嘆きました。

ヴィエリは今、33才です。
彼がキャリアの中で所属してきたチームは、
プラート、トリノ、ピサ、ラヴェンナ、ヴェネツィア、
アタランタ、ユベントス、アトレティコ・マドリード、
ラツィオ、そしてインテルです。

ACミランは彼の11番目のチームであり、
おそらく他のチームに居ては
到達できないであろうレベルに、
彼を到達させてくれるチームでしょう。

様々なチームの経験のある彼は、
シャツを替えることに慣れているでしょうが、
彼が本当に夢見るのはACミランの赤黒の縞ではなく、
無地の青色のシャツです。
そう、イタリア代表のアズーリですね。

「ぼくの夢はドイツで次のW杯に出ることだ。
 インテルにいたら、たぶんアズーリでは予備軍だったね。
 ともかく、ぼくとってインテルは
 理想的な環境ではなかった。
 ACミランでは、すべてが変わると思うよ」と、
ヴィエリ本人も説明しています。

そして、彼がACミランの誘いに応じた理由が、
もうひとつあります。
ACミランには彼の親友で、
キャプテンのパオロ・マルディーニがいるのです。
マルディーニとヴィエリは、
Tシャツや香水をプロデュースするアパレル会社の
共同経営者でもあります。(2003-10-06)

さて、インテルのティフォーゾたちは
モラッティにたいして反撃しています。
なんてこった、
ヴィエリをACミランに持って行かれるなんて!!
というわけです。
伝統的なライバルであるACミランを
ヴィエリが補強するに違いないと、
彼らは恐れているのです。
とりわけ、ミラノの街のチームである
ACミランとインテルが対戦するミラノ・ダービーの、
この次の対戦でヴィエリが敵側にいるのを
見るのが恐ろしいのです。
ヴィエリはインテルに、
思いきり打ち込んで来るに決まっていますから。

ヴェネツィア時代のヴィエリ

ラヴェンナ時代のヴィエリ

トリノ時代のヴィエリ

アタランタ時代のヴィエリ

ユベントス時代のヴィエリ

アトレティコ・マドリード時代のヴィエリ

ラツィオ時代のヴィエリ

インテル時代のヴィエリ

訳者のひとこと
ヴィエリは、「コンスタントに
試合に出ていたい」ということも、
ACミランへ移ることを決めた理由に
あげているようです。
アズーリに選ばれるためには日頃の活躍で
アピールしないといけないでしょうから、
本人にしてみれば「出してもらえない」では
話にならない、というのも分かります。
時間との闘いでもあるでしょう
W杯って、すごいことですねえ。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2005-07-12-TUE

BACK
戻る