怪・その29

「振り返ったら」

10年以上前の話しです。

父が心臓の手術をすることになり、
仕事帰りに病院に寄るのが日課になっていました。

現在その病院は移転して建て替わっているのですが、
当時は駐車場と病院が離れていたので
送迎バスが出ていました。

しかし私が行く時間には送迎バスは終わっていたので、
歩いて通っていました。

幹線道路沿いを通るのですが、
病院と駐車場の間には
どこかの会社と空き地だけで民家はありません。

途中、線路の下を道路がくぐるようになっていて、
車道と歩道はコンクリートの壁で仕切られているので
小さなトンネルになっています。

ある日の病院からの帰り道。
誰も通らないなーと思いながら歩いていました。

小さなトンネルになっている歩道に

少し入ったところで

後ろから

「ジャリ」というような、

小石か砂利を踏みしめたような音がしました。

誰も歩いてなかったはずなのに‥‥、
と思いながら振り返ったら、

下半身だけの人がこっちを向いて立っていました。

作業ズボンにスニーカー、
その色まではっきりわかるのに
向こう側が透けて見えています。

怖いというより、びっくりした、という感じでした。


それからしばらくして、仕事場から駐車場までの帰り道、
大きな交差点にかかる歩道橋を渡っていました。

交差点の道路全部にかかっているので、
歩道橋が四本、四角くかかっています。

その時私は熱があって
少しボーっとしていたのですが、
サラリーマン風の男性が三人、
向こう側の歩道橋を歩いているのを見ていました。

歩道橋の階段を下りる時、

ふと見ると、

三人いたと思っていたサラリーマンが

二人しかいません。

あれ? と思って、
何となく後ろが気になったので振り返ったら

誰もいませんでした。

それでも気になったので
今度は反対向きに振り返ってみたら、

私の真後ろに

黒いコートを着た男の人が立っていました。

これも怖いというより、すごくびっくりしました。


私自身霊感はないのですが、霊感がある人との縁が多く、
その当時は行者さんとご縁があり、
そういう世界に触れることがあった時期でした。

霊感の強い人と一緒にいると影響される、
と聞くので、私もあの時期
そういうアンテナが立ってたのかなーと思っています。

今はまったくありませんが、

あれ?

と思っても、

振り返るのはやめようと思います。

(みかん)

こわいね!
2017-09-05-TUE