怪・その15

「上がってきて入る」

子ども達が赤ちゃんの頃の写真を見ていて、
ふと思い出しました。

ムシムシとした寝苦しい夜、
人生で2回目の金縛りにあいました。

霊的な物は見たことがなかったので、

ああ、本当に
指ひとつ動かせないんだな、

などとぼんやり考えていると、

タオルケットを掛けた足元の方が、

ふっくらと膨らんでいるのに気が付きました。

もちろん中身はみえないのですが、
真っ黒い物、
重みから言うと赤ちゃんに違いないと、
ほぼ確信に近い感覚だったと思います。

その真っ黒い赤ちゃんのような物が、

ズズズ、

ズズズ、

と上がってくるのです。


頭はだいぶ冴えてきていました。

はたから見れば
恐ろしい状況だとは思うのですが、
不思議と怖いという感覚はなくて、

赤ちゃんがひとりで大丈夫なのか、

どこから来たんだろうか、

お腹は空いてないのか、

などの気持ちの方が大きかったのです。

それがだんだん上に上がって来て、
お腹の中にググッと入る感覚がありました。

その時に、
この子は男の子だなと思ったのです。

その体験からだいぶ経ってからですが、
6年ぶりに赤ちゃんを授かりました。

誰にも言わなかったのですが、
絶対に男の子だと思っていました。

案の定、検診で
男の子だということが分かりましたが、
性別については、
分かっているのだから
聞かなくてもよかったな、
と思った事をよく覚えています


生まれてきた子は、
ごくごく普通の元気な男の子でした。

この子があの夜の子なのかは分かりませんが、
どこかで誰かが
同じような体験を
しているのではないかと思っています。

(モモ蔵)

こわいね!
2017-08-29-TUE