YAMADA
おとなの小論文教室。
感じる・考える・伝わる!

Lesson754
   読者のヤケ・ノート 2


「ヤケをおこしたとき、見るノート」
「読者のヤケ・ノート」には、
さらに、さらに、大反響をいただきました!

さっそく、こんなおたよりから!


<わずかの小銭で、ものすごく遠く>

「読者のヤケ・ノート」を読んで、どーしても
今までヤケをおこした時やってきたことを
伝えたくなり、メールしました。

とにかく、移動すること。

その場所の交通機関次第ですが、
わずかな小銭でものすごく遠くまで、
行って帰ってこられます。
自分が腹を立てたその地点から離れれば離れるほど、
頭がすっと冷静になるようでした。

とにかく、歩くこと。

早歩きでもゆっくりでも、歩きに歩いて移動しました。
景色が変われば気持ちも変わるようだったし、
体力を使った分、やみくもな怒りは和らぐようでした。

イカの唐揚げ。

スーパーの。
あれは美味しいし、でも、味は濃いし高カロリーだし、
ワルい食べ物なんですが、
なにしろ歯ごたえがあって、
よく噛んで食べ終わるころには、
大体落ち着いていました。
美味しいし。

今は、悲劇のポージングです。

誰にも見られない所で、
「一瞬で悲劇的と分かるようなポーズ」
の研究に入ります。
シェイクスピアの台詞を添えたりもします。
非日常だし、
人が見たらあほらしいだろうし、ちょっと可笑しいし、
悲しみもつらさもサイレントに表現できて、
「こんなにつらいんだ!」という型を体でとることで、
つらさを人に訴えなくても、
次のステップにすっと入ることが出来るように思います。

次は、先週の読者エリ子さんみたいに、
緻密なお買い物が良いなあ。

みんながんばってるんだなあと思いました。
お互いにがんばりましょう。
(しら河)


<今になってやっと>

いま大学院に在籍しています。
「読者のヤケ・ノート」と
「ヤケをおこしたとき、見るノート」
を読んで、思わず泣いていました。

今、やっと気付いたんです。

私のヤケは、
「地元の大学に進学するところ」から、始まりました。

母親から県外の大学への進学を反対され、振り回されて、
地元の大学へ進学しました。
それがヤケをおこすきっかけでした。

先々週、
『ヤケをおこすと人は思考停止になり、
 自分を傷つけ、人を傷つけ、
 場合によっては取り返しのつかないことをしがちだ。』
とあり、

その通りだなぁと思いました。

もともと内気な私は、親へ言い返すことをせず、
親の言うとおりに生きて
不幸になっていく自分を見せて
親も不幸な気持ちにさせてやろうと、

それはそれは誰にとっても気の毒な結論に至りました。

そうして、
自分のやりたいことと向き合わず、
結局6年間を無為に過ごしてきました。

今はもう、
自分のやりたいことを考えない行為に
慣れてしまったような気がします。

だから、ヤケ・ノートのコラムを読むまで、
ずっと自分がヤケを起こしているんだということに
気づけずにいたんだと思います。

読みながら、
目からウロコに、目から涙に、ちょっと笑ったり、
なんだか忙しかったです。
いろんな感情を揺さぶられました。

今、手元には、
「おとなの小論文教室。」の本があります。

これから、自己表現を訓練していきます。

この年齢でやっても時間のロスだぞと、
私を不幸にしたい自分が時々囁いてきますが‥‥。
自分の中身をスカスカにしていく虚しさを
知っているからこそ
今から頑張ろうと思います。

自分で考えて成長していきます。
(たちばな)


<やけっぱちに、でも、ちゃっかりと>

ヤケを起こしたときにすること。
ふだんは絶対にがまんしなきゃいけないこと、
誰も傷つかないこと。
それは、

お昼寝!

お昼寝をめいっぱいすることにしよう。
土曜日とかがいいけど、

もはや気にしない。
体内時計狂うかもとか、どっちでもいい。

朝ごはん食べたら、10時ごろには寝ちゃう。

目覚まし時計なんか、つけない。
携帯電話もオフに。

前もって炊飯器のタイマーだけは、しかけとく。

新米を炊くの。

ぬかりなく。
ヤケ寝というかフテ寝というか。

そして起きたらおいしく新米をたべます。

梅干し、南高梅のを乗せて。
糖質とか真夜中だろ、とか気にしない。

あ、なんか、ヤケになってもちょっといいかも。
(ミナ)


<いつか報われる日が>

先週の読者、かたつむりさんの
一級建築士試験の話、
すごく胸に響いて、
泣きそうになってしまいました。

私も昔、
和裁技能士の資格を取るにあたって、
時間の壁に非常に苦労したことがあり、
土俵にもあげてもらえない辛さに
悶々としたことを思い出しました。

試験まで一度も時間内に仕上げることが出来ず、
試験に臨むことさえ諦めかけたのですが、
そんな私をただ一人信じてくれた先生がいて、
『時間内に完成できれば、
 あなたの仕立ての美しさを
 ちゃんとみてもらえるからね』と、
何度も励ましてくれたのです。

試験当日は
制限時間ギリギリにはなりましたが、
なんとか着物を仕上げることができ、
合格することができました。

わたしはかたつむりさんのことを、
おたよりの文でしか知らないけれど、
それでも彼女の合格を信じ、
心から応援したいと思います。

主婦だってできる、主婦だからがんばれる。

私も二児の母親です。
あの日私を信じてくれた先生のように、
私はかたつむりさんの努力が
報われることを信じます。
(ももしろ)


<もう痛みに向かわない>

私は今まさにヤケを起こしそうになっていました。

過度な残業とモラハラが酷く
夢だった職業から追い出され、

絶賛就活中です。

面接も受からず、
年齢と職を転々としたことによる職歴の多さから
なかなか仕事が決まりません。
頼る実家も毒親なのでありません。

そんな中、ヤケ・ノートのコラムを
夢中になって読みました。
私はヤケになった時に

自分を様々な方法で、徹底的に痛めつけてしまいます。

しかしコラムにあった通り、
すべて自分に返ってくるのです。不思議ですよね。

これまでの「ヤケ」の後遺症に
未来の自分である今、また苦しんでいます。
本当に情けない‥‥。

ヤケをおこしたとき見るノートを作り、
健康的に前向きなヤケを起こそうと思います。
(あゆみ)


<いつも手元にあるように>

ヤケをおこしたとき、見るノート
素晴らしいです!
スマホのメモに打っておこうと思います
(ミナト)


<私がんばってたんだ>

先週、投稿を採用してもらって嬉しくて、
他の方のヤケ・アイディアを読んで、
共感したり、なるほど、と思ったりしているうちに、
下に引用した部分を読んで、
あ、そっかぁ。。わたし頑張ってたんだ、
と涙があふれてきました。

「ヤケは、
 ひごろその人が、我慢したり、節制したり、
 気を配ったりして、
 がんばっている姿を、さかさまに映し出す鏡。」

考えてみればこんなに小さなことで
憂さ晴らししてたなんて。
いつも当たり前のことをしているだけで、
なんにも頑張れていないと思っていたけれど、

自分を抑えてよくやってたんだ。
(ラム有花)


<刈るならこれを>

母に当たっていじけさせたり、
夫に当たっておろおろさせたり、
子に当たって後悔したり‥‥。

結果、草木に当たるのがー番害がないと悟りました。

外に出て草取り、庭木の剪定。
敵討ちのようにカマをふり回し、
のこぎりやハサミを駆使して

身の回りの自然を私の思う通りにするのです。

汗をかいたら入浴。心もスッキリ、
周囲には働いたアピールをして自己満足。

人や動物に当たると、人としてどうなんだと思いますが、
道端の草を取ったり刈ったりすると、
自分も捨てたもんじゃないな、と思えます。
(さとう)


<内に向かわず発散へ>

私、決して人間ができているとかではないのですが、
「ヤケ」を起こす‥‥というのが、
よくわからなかったのです。

どうしても気持ちが収まらないとき
私どうしてるかな?
ただただ落ち込んでるだけだな。と。

これは、自分自身をいじめて
自分自身にあたって、ヤケをおこしているのか。と
別の方法でヤケをおこせばいいのか‥‥。

そっか、運動すればいいんだ! と勉強になりました。
(りん)


<発展形>

ヤケ・ノート、私もつくろうと思いました。
そして、ヤケ以外に、

「やる気が出ないとき、見るノート」
「落ち込んだとき、見るノート」

も作ろうと。

以前誰かに頂いた言葉も思い出しました。
「その時はうまくいかなくても、
 事前に準備しておくことは出来る」
「失敗したら、
 (1)何をしたか、
 (2)どんな気持ちでそれをしたか、
 (3)どうしたかったか?
 (4)次どうするか?」

やけになったら、ノートに書いたことをして、
落ち着いたら振り返って
1mmでも進んでいきたいと思いました。
(ほたる)


いや〜! 今回も名作ぞろいです。

バスや列車に乗ると、わずかの小銭でとんでもなく
遠くへ行ける場合がありますね。

「刈って、刈って、刈りまくってやるー!」
って、言っても、
雑草や芝だったら、
ぜんぜん犯罪にならないどころか、
むしろ、人の役にさえ立ちます。

そして、寝る前に、
炊飯器に新米しこんで、タイマーしかけとくって、
すごい!
たしかに、ふて寝はハラが減ります。
起きたら、炊き立てのごはんと紀州梅!
これは、名作!

個人的には、「イカ」がつぼです。
噛んで、噛んで、噛んで、
アゴが痛くなって、それでも噛んでいるうち、
どうでもよくなるというか、
なににヤケ起こしてたのか忘れてしまうような、
堅いイカの触感は偉大です。

やさぐれた気持ちの表現も十人十色。

闇や痛みに向かうだけが、ヤケでなく、
「遠く」に向かったって、
「寝」に向かったって、
「炊き立ての新米」に向かったって、
「イカ」に向かったって
「草」に向かったって、いい。

日常を小さく、かわいく、きっちりと
逸脱する方向は、いっぱいある。
私は、ヤケ・ノートに、
こう書き加えておこうと思います。
ヤケ起こすんなら、

「闇に向かうな、アホに向かへ!」

アホは偉大だ。


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2015-10-28-WED
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