たのしいですよねぇ、映画の話は。
だからぼくは、映画嫌いではないんですね。
「映画ファン嫌い」だったんです。
で、その「映画ファン嫌い」も
治ってきたんです、ほんとうに。
いいことですね。
映画館によく行かれるようになったんですか?
昔よりずっと行きますね。
いまぼくは60過ぎてるんで、
1000円なんです。
映画が1000円。
これはうれしいですよぉ。
糸井さんは、おいくつで?
63になりました。
和田さんとは一回りちがうので、
あと12年間経っても
和田さんでいられると思うと、
なんかもう、すごい安心なんです。



ということは糸井さん、ねずみ年?
ねずみです。
清水のみっちゃんもねずみ年です。
え? そうなんだ。
一回り下だ、じゃあ。
ぼくは、うし年ですから、
糸井さんよりも、一回りプラス1年下です。
つまり和田さんのところまでは二回りですね。
それは、長いですよぉ。



一同 (笑)
三谷さんは、じゃあ、51?
50です。
‥‥糸井さんやっぱりきょう、
やけに数字のまちがえが。
一同 (笑)
そうか、ことし50だ。
それだから三谷さんはいま、
50周年でいろいろやってるんですよ。
失礼しました。
50はね、いいんですよ。
でも、「ただの50」なんです。
ほんとうに境目があるのは、60です。
60が、ほんとうに大きい。

和田さんに聞いてみましょう。
50っていうのは、なんてことないですよね?
あ、50はなんでもない。
 
ほらね。
なるほど‥‥。
60になると、どんな変化があるんですか?
60もなんでもなかったね。
一同 (爆笑)
じゃあ、70ですか。
70だ、70。70ですよ。
なにがあるんですか?
まあ、つまずくとかさ、そういうこと。
ぼくもよくつまずきますよ。
一同 (笑)
三谷さん、けっこう最近も
怪我してましたよね。
そう、最近すごく怪我するんですよ。
木にぶつかったり?
木にぶつかったり。
‥‥なぜそれを?
ツイッターじゃないですよね。



清水ミチコさんがメールを見て
「馬鹿じゃないか」って言ってたんです。
なんだろうと思ったら見せてくれて、
そこに血まみれの三谷さんが(笑)。
ああ‥‥。
メールを受け取ったとき、
ちょうどいっしょにいたんですよ。
血だらけになるって、そうそうないので、
写メを撮ってみんなに送りました。
一同 (笑)
木にぶつかったの?
木にぶつかりました。
木にぶつかったみたいです。
木にぶつかってしまって。
木にぶつかったのは初めてじゃないよね。
はい、木にぶつかったのは2回目です。
いや、前にも聞いたことがあるからさ、
三谷さんが木にぶつかった話。
ええ、50になってまたそういうことを‥‥。



50といえばね、
ぼくが50になったとき
60になった人と話をしたんです。
「50も60も、あんまり変わらないですよ」
ってそのときぼくが言ったら、
「いや、ぜんぜんちがうんだよ」と。
「ちょっとモテたようなときでも、
 それは同情なんだよ、60になると」って。
一同 わあー(笑)。
その言葉が、ぼくは大好きで。
60が同情なら、70は?
70はもうね、優しさ(笑)。
人類愛。
70になると大変だよ、いろいろ。
つまんないところでむせるしね。
いや、ぼくもむせます。
だめじゃん、早すぎる。
ああ‥‥
三谷さんもそのタイプだと思うんですけど、
心配性の人って、
「気がつこう、気がつこう」としちゃうんです。
ちょっと物忘れがあっただけで、
「あ、来た! 物忘れが!」ってなっちゃう。
それはありますね。
和田さんなんかは心配性じゃないから、
自動的にこう、自然にある日、
「あ、物忘れだ」と思ったんでしょう?
そうそう。



一同 (笑)
おふたりの前で言うのもあれですが、
50になってちょっとぼく、焦り始めてるんです。
いやぁ、まだまだ。
まだまだ。
先は長いです。
長いですか。
ここまでは早かったですけど。
40代はとくに早かったです。
早いっていうのは、どんどん早くなるよ。
でも、まだまだ。
まだまだね。
‥‥いまここに、80代の人を呼びたい。
「60とか70で、なに言ってるんだ」
と言ってほしい。
一同 (笑)
谷川俊太郎さんは?
ことしちょうど80でしょう。
谷川さんを見てても、
やっぱり大丈夫な気がしますよね。
うん。
胸板厚いし。
そうなんだ。
すごい早足で歩くしね。
はあー。
年齢の話でいうとね、
ぼくは父親が68で亡くなってるんですよ。
「父親の年まで」って言い方をよく聞くんで、
ちょっとそれは嫌なんですよね。
ぼくの父は、51で。
51?
それは来年なんですよ。
だからものすごく嫌なんです。
ぼくは父親の亡くなった年まで、あと2年。
そうですか‥‥。
その話を美輪明宏さんにしたら、
「あなたのお父さんが51で亡くなったのは、
 ものすごくたくさんいる
 あなたのご先祖様のなかの、
 たったひとりが51で亡くなっただけでしょ。
 だからなにも気にすることはないのよ」
と言われました。
ああ‥‥うまいことを言いますねぇ。
(最終回に、つづきます!)
2011-11-30 WED