『明日の記憶』という映画の、
なにかしたの手伝いをしたい、と、ぼくは言いました。
この奇跡のような映画の、仲間になって、
自分たちなりの汗をかきたいと思ったのです。
この映画の観客席に腰かけると、
自分が何を不安に思い、何をよろこびに思い、
何を価値として生きてきたのかが、鏡のように映し出されます。
困ったりもしますし、うれしかったりもします。
(糸井重里が『明日の記憶』とつきあうの中で)
この映画はいつもと関わり方が違いましたから、
撮影が終わってからも、
ラフ、ダビング、プロモーションなどで
100回近く、この映画で
佐伯(渡辺謙さんの役名)という人間を観ました。
毎回、毎回、なんだか受け止めちゃうんですよ。
佐伯雅行は、ぼくのアルバムのひとつになってる。
不思議な感覚です。
最初に原作と出会ったときは
「やりたいやりたいやりたい!!」
と思っていただけ。
言葉にならない泉みたいなものがあって、
その源泉が何なのか、
撮影していくうちにわかった気がしました。
なんだろうな、
「君のお母さん、この人です」
って、急に言われた、みたいな感じです。
(渡辺謙さんが「『明日の記憶』とつきあう」の中で)
この映画は、じつは自分にとっての
デビュー作なんじゃないかと思ってるんです。
やりたいというか、
この作品に関わりたいと思ったんです。
だから監督じゃなくてもいいや、くらいな。
ほんとにそういう作品でしたよね。
だから、監督を引き受けるにあたって、
「やるべきだと思うんで、やります」
っていうことを最初に言った。
で、そのあと、映画のホームページに掲載するから
メッセージをくださいって言われたときに
ぼくは「襟を正してやります」って言ったんですね。
襟を正してって、高校球児じゃないんだから、
なかなか恥ずかしいんですけど(笑)。
でも、ほんとにそう思ってたんです。
(堤幸彦さんが「『明日の記憶』とつきあう」の中で) |