2006年1月12日から6月5日までの現場からです。
  6月5日(月)更新

今日は、壁画の両端下部の白い部分に
彩色する作業をお伝えします。
写真の白い部分は、
展示の都合上、今回の修復で
ほかの部分と大きさをそろえるために
付け加えた部分です。
『明日の神話』を飾る予定だったホテルの設計変更で、
ホテルロビーの階段の踊り場が絵の両端にかかるために、
メキシコで太郎さんが修正を加えた部分なのです。
ジェッソ(地塗り剤)で下塗りをしているところです。
ジェッソで下塗りをした部分に
今度は、グレーのジェッソを塗っていきます。
色は、絵の鑑賞の邪魔にならない色ということで
グレーにしています。
完成です。
ふだんは、細い筆でちまちまと補彩をしているので、
こういった場所を幅の広い筆で塗るのも
気分転換になったりしました。
  ジェッソでの下塗りと仕上げのようすを
どうぞムービーでごらんください。
  今回のレポートは以上です。
  6月4日(日)更新

吉村さんの補彩風景を撮ろうと、
となりのタワーからカメラをかまえていたら‥‥
見つかってしまいました。
となりのタワーから
気づかれないように盗撮しています。
もう少し近くで手元を撮ろうとしたら!
「撮ったな!」という感じで
見られてしまいました。
  スタッフ全員が補彩作業にはいって、
作業が細かくなっているので、
手元を撮ろうとすると
どうしても今日みたいに見つかってしまうことが
多くなってきました。
ですので、わたくし、思い切って
望遠レンズを買いました。
これからは手元のアップ写真も送れると思います!

さて、話は変わり、
前回お伝えした飛行船が
実際に『明日の神話』の前を
飛行するようすをお伝えします。
骸骨の前を、飛行船が
ふわふわと飛んでおります。魚みたいです。
太郎さんのサインも
ちゃんと入ってるんですよ。
なんだか不思議な生き物みたいです。
飛行船も太郎さんの作品。
『明日の神話』にとけこんでしまいます。
飛行船が飛ぶようすをムービーでごらんください。
  6月2日(金)更新

今日は、太郎さんが今から33年前に絵を描いて、
日本中の空を飛び回っていた飛行船「レインボー号」の
ラジコンが現場に届いたので、
その製作風景をお伝えします。
修復とはちょっと関係がないレポートですね。
2月に飛行船のラジコンが
現場に届いたときのようすです。
このときは、みんなとても忙しかったので
組み立てるのをあきらめました。
(今もとても忙しいですが)
それから3ヶ月後、
「今日を逃したら『明日の神話』の前を
 太郎さんの飛行船が
 飛ぶチャンスがなくなってしまう」
と思い、日曜日に組み立てているようすです。
船体の部分になる風船に
ヘリウムガスを入れようとしているところです。
ヘリウムガスが足りるか、ちょっと心配です。
なぜかと言うと、吉村さんが
飛行船に使うはずのガスで
風船をふくらませて遊んでしまったからです。
吉村さんがガスを入れるところを
ムービーでごらんください。
ガスを入れると
当然ながら上にあがって行こうとする風船。
それに、あわてる吉村さんです。
どうやらガスは足りたみたいですね。
よかったよかった。
安定板とゴンドラをくっつけて完成です。
  この「レインボー号」の実物には、
完成したとき、スポンサーの名前が
入っていたそうです。
でも、太郎さんが
「大空はみんなのものだ。
 そこに広告を入れて飛ばすなんてけしからん!」
と怒ったそうです。
それで、その話を当時のスポンサー会社の
社長さんに話したら「わかりました。」と了解して、
名前を消してくれたそうです。
スポンサーの名前のない、
太郎さんの原色の絵だけが描かれた飛行船は、
「あれはどこの飛行船だ?」
って、とても話題になって
社長さんも大喜びだったそうです。
さっそく完成した飛行船を操縦してみる
わたくし山田です。
操縦するのはなかなか難しいです。
  今日は、長くなってしまったので、
飛行風景はあらためて次回お伝えします。
  6月1日(木)更新

修復作業は、去年、壁画が立ち上がったときには
約1ヶ月予定より遅れていたのですが、
その1ヶ月の遅れを
ようやく取り戻せつつあります。

今日は、去年もこのレポートで
お知らせしたことのある
作業場の温度計について、です。
また暑い季節がやってきました。
「27度?ちょっと暑いくらいじゃん?」
と言われそうですが、
壁画を修復するための足場であるタワーの上は
ここより5度くらい暑いのです。
この現場の気温は、去年、最高38度まで上がりました。
ですから
タワーの上は43度くらいになったでしょうか。
逆に冬は最低3度まで下がって、
手がかじかんでしまい、
補彩作業がなかなか進まなかった時期もありました。
いまとなってはもう懐かしいです。
27度の修復現場。
補彩に使っている照明器具は、
500ワットあるので、暑さに拍車がかかります。
  なんとか本格的な夏が来る前に
修復を完成させようと頑張っている
現場からでした。
  ★今日のおまけ★

修復現場にも、私たちが注文した
「TARO MONEY」が届いたので、
そのようすをお伝えします。
スタッフ全員大喜びで笑顔、笑顔。
包装が、黄色い袋で素敵なので
綺麗に開けたいところなのですが‥‥
早く中身を見たい石井さんは、
綺麗に開けるのをあきらめました。
さっそく石井さんの「TARO MONEY」を
みんなで手にとります。
吉村さんは、「TARO MONEY」を、
愛媛ではなく山梨の仕事場に送ってしまったので、
石井さんの「TARO MONEY」を勝手にこっそり
開封し、そして元に戻そうとしている姿です。
しかし、絵画修復家でも
完全に、元には戻せなかったみたいです。
自分の名前をさっそく登録している石井さん。
ご機嫌です。
「TARO MONEY」を開封するようすを
ムービーにしました。
綺麗なつくりなのでみんな感心していました。
  5月28日(日)更新

修復現場のいまのようすを
現場からお伝えします。
補彩作業をする場所もだんだんと少なくなってきて、
3人で並んで作業をしているところです。
補彩作業もあと少しです。
石井さんは、太郎さんが
壁画に変更をくわえて描き直した部分を
図面に細かくチェックしています。
  修復作業もあと少しとなった現場から
お伝えしました!
今日は、以上です。
  5月21日(日)更新

毎日、作業場と自宅の往復だけだと
自分が海に囲まれた四国にいるのを
忘れてしまいそうなので、
今日は海を見にドライブに行ってきました。

目的地は、愛媛と広島を結ぶ
「しまなみ街道」の中間にある
大三島の「大山祗神社」です。
愛媛県側に架かる「来島海峡大橋」です。
橋の手前に見えるクレーンは、
造船所のクレーンです。
あの橋を渡っていきます。
神社に行く途中に
バラ公園の案内板を発見!
さっそく寄り道です。
見てください、見事なバラ公園です、
一輪も咲いていません‥‥。
バラは通常は関東地方の気候で5月に咲くのですが、
「四国=暖かい」という自分の勝手な思いこみで、
見事な葉っぱだけのバラ園を見てきてしまいました。
ちなみにもともと私の住んでいる所は高冷地なので
桜が5月、バラは7月に咲きます。
せっかくバラ公園に来て、
バラの花を見ないで帰るわけにはいかないので、
隣にあったバラ苗販売ハウスを見てきました。
こっちは満開でした。きれいです。
さて、目的の、大山祗神社です。
日曜日なのに、
神社の関係者以外は誰もいません。
なかなか雰囲気のよい、
気持ちの安らぐところでした。
神社の境内にある
樹齢2600年の楠です。
『明日の神話』も
2600年後に残っているといいなぁ。
愛媛での修復作業が無事に終わりますように、
ここでお祈りしてきました。
海もちゃんと見てきました。
きれいだなぁ。
時間があったら、釣りもしたかったです。
「ひょうたん島」?
本当の名前は知りません。
ただ形が似ていたもので‥‥。
  愛媛の見どころをお伝えするレポートも
もう少ししなくてはと思っているのですが、
なかなか時間がなくて「ん〜残念」。
チャンスがあったら
花の咲いているバラ園を
もう一度見に行ってみたいです。

今日のレポートは以上です。
  5月19日(金)更新

今日は、ドクロ部分の
補彩のようすをお伝えします。
吉村さんの作業の邪魔にならないように、
となりの足場から撮影しました。
レリーフ部分は、でこぼこしているので
色を入れていくのもたいへんです。
亀裂のあった部分に
「てんてんてん」と、
細い筆で色をのせていきます。
そのようすを動画
じっくりごらんください。
  壁画左側から順番に
補彩作業をすすめていますので、
この骸骨の部分の補彩が終わると、
やっと半分完成です。

今日のレポートは以上です。
では、また。
  5月18日(木)更新

紫外線や軽い擦り傷などから
壁画の表面を保護するために、
画面に塗るニスを作りました。
作業としては、まだニスを塗れる段階までは
しあがってはいないのですが、
準備だけは、といったところです。
このスプーンに乗っている
小さな半透明のつぶつぶが
ニスの原料です。
本来は、コンタクトレンズに使われます。
コンタクトに使われるものということは、
つまり、とても透明度が高いんですよ。
ニスの原料をガラス瓶に移して、
有機溶剤を注ぎ、
溶かす準備をしています。
中身が溶けるまで、
溶剤を入れた瓶を、
わたくし山田がずっと
振っているわけにはいかないので、
あとは機械に混ぜてもらうことにします。
溶剤といっしょに瓶の中に入れた磁石の棒を、
機械がくるくると回転させて混ぜてくれるのです。
この一連の作業を、
やや実験室風ではありますが、
動画におさめました。
どうぞごらんください。
  5月17日(水)更新
骸骨の左下部分の亀裂に
補彩を施している、吉村さんです。
作業場はいろんな音がするので、
ヘッドフォンを耳にあてて集中し、
ときには音楽を聴きながら、
作業をしています。
吉村さんが補彩をしていた部分を撮ってみました。
写真の中央部分から左上に伸びている亀裂が
補彩の終わった部分です。
色を入れた部分は、まだ周囲と艶が違うので
いまの段階では亀裂が入っていたことがわかりますが、
最後に保護膜として画面全体にニスを塗布しますので、
そのときに艶が同じになって、
亀裂が入っていた部分がどこかわからなくなります。
  吉村さんは、細い筆で
欠損部分だけに色を入れて、
太郎さんのタッチをていねいに再現していきます。
みなさん、そのようすを、ぜひ、
こちらの動画でごらんください。
★今日のおまけ★

修復スタッフも心待ちにしていた
TARO MONEY。
発売日には、全員が
仕事そっちのけで
パソコンを開いていました。

わたくし山田も購入しました。
修復プロジェクトを応援してくれている
知人に贈ろうと思っています。
  5月16日(火)更新

今日からしばらくは、
壁画修復の最終段階の重要な作業である、
補彩についてお伝えします。

先日お伝えした水彩の下塗り作業が
すべて終わり、
スタッフ全員が最後の補彩作業に
移りました。
水彩絵の具で下塗りをした上に、薄く
最後の補彩をしていきます。
画面周囲の側面に補彩をしている
修復チームの石井さんです。
修復チームのスタッフ全員が
黒い手袋をしているのは、
画面に自分の手が反射して
正確な色が見えにくくなるのを防ぐためです。
  修復チームが補彩をしているようすを、
動画でごらんください
  5月15日(月)更新
  先日お伝えした、
残り4枚の充填作業が終わりました。
次は、水彩で下塗りをする作業につづきます。
絵の欠損部を、充填剤で
周囲の絵の具と同じ高さまで埋め、
筆のタッチを再現した部分です。
ここは、幅1メートル高さ1.4メートルの、
おそらく今回ではいちばん大きな
欠損部分かもしれません。
水彩絵の具で下塗りをしていくようすを
段階的に撮ってみました。
これが、
こうなって、
こうなって、
こうなります。
水彩の下塗りを動画でご覧になりたい方は、
こちらの動画でどうぞ。
動画の部分の下塗りを担当したのは、
修復チームの村木さんです。
充填剤の白い色が見えなくなり、
おおまかな色が入ったところで
下塗りは完成です。
細かな筆の線は、
最後の「補彩」と呼ばれる作業で
下塗りの上に薄く色をのせていきます。
  ★今日のおまけ

ちょっと時期がずれてしまいましたが、
先日、3週間ぶりのお休みをもらったときに見た桜が
とてもきれいだったので、
そのときのようすを記したいと思います。
『明日の神話』を修復している作業場の裏には、
こんなサイクリングロードがあって
桜の木がいっぱいあります。
作業場の裏の桜です。
奥に見える白い壁が作業場です。
こんなに咲いていても作業場の中からは、
壁画で窓が隠れてしまうので見えません。
これは、何の種類でしょう。
山桜でしょうか?
お腹が空いたので、
近くの屋台でたこ焼きをゲット。
おいしかったです。
お花見のあと、
久しぶりの休みでしたので、
スーパーまで買物へ。
その近くに住んでいるうし君です。
「焼き肉食ったな!」と見つめられている気分に
なってしまいました。
(きのう食べましたから‥‥)
  今日は以上です。
  5月11日(木)更新
今日は充填作業のつづきをお伝えします。
画面下部の欠損部分を埋めて
平らにする作業をしている、
修復チームメンバーの石井さんです。
14枚に分かれた壁画でも、
1枚あたり重さがおよそ1トンになるので、
簡単には持ち上げたり移動できません。
そこで、どうしても写真のような
きつい体勢で、長時間の作業になってしまいます。
絵の下のほうで、まるで寝そべるような苦しい姿勢で
いろんな器材に埋もれるようにして手を動かす
石井さんです。
  石井さんの手元を動画で撮ってみました。
照明不足の為、手もとが暗くなるので
石井さんは頭にヘッドライトをつけて
作業をしているんですよ。
  5月9日(火)更新

こんにちは、みなさん、
愛媛の修復チームの山田です。
なかなか写真を整理できず、
このところ「現場から」のレポートが
送れていなくて、すみません。

修復作業は、今のところ
順調にすすんでいて、
なんとかギリギリ予定どおりに
間に合うかなといった感じです。

壁画の欠損部分を埋める充填作業も
14枚に分かれたパーツのうち
右側の4枚だけになりました。
残りの4枚の充填作業を、
吉村さん以外のスタッフ4人全員で
しあげています。
(僕がカメラで撮影しているので
 僕以外のメンバー3人が映っています)
充填剤で筆のタッチを
精密に再現するために、
照明を斜めから絵にあてます。
こうして、太郎さんの筆のタッチと
充填剤で作ったタッチを強調して見て、
合っているかどうかを確認しながら
作業していくんですよ。
  今日のレポートは以上です。
それでは、また!
  4月27日(木)更新

みなさん、こんにちは。

今日は、以前にレポートをした
大きな欠損部分の補彩作業が終わりましたので、
その写真をごらんに入れます。
去年の、まだ下塗りもしていない、
充填剤で埋めただけの状態です。
吉村さんによって、
当時の資料を元に
最後の補彩が施された欠損部分です。
あとは全体の艶を合わせれば完成です。
  今日のレポートは以上です。
それでは、また。
  4月20日(木)更新

みなさん、こんにちは。

先日は、愛媛からの中継
たくさんのみなさまにごらんいただき、
ありがとうございました。
楽しかったです。

いよいよ汐留での公開日が発表されたましたね。
今日は、いま現在の現場のようすをお伝えします。
この写真は、欠損部分に
充填作業を施しているところです。
(ピンクと赤の服を着た、
 ふたりの修復メンバーが見えますでしょうか?)
いま、壁画は14枚に分割されているのですが、
この充填作業も、残すところ
あと4枚となりました。
修復チームのリーダー吉村氏は、
ひたすら仕上げの補彩作業です。
いま現在で画面の修復作業の5割程度が
終わった感じでしょうか。
汐留に間に合う‥‥???
  今日のレポートは以上です。
それでは、また!。
  3月31日(金)更新

今日は、修復チームのリーダーである吉村さんが
補彩作業に使っている
パレットをのぞいてみました。
補彩作業は、あとあとの変色を
できるだけ遅らせるために
できるだけ薄く色を入れるのが基本です。
ですから、これだけ痛んでいて
大きな壁画であっても
使う補彩絵の具は少しです。
パレットの上に乗っている細い筆で、
太郎さんの細かいタッチや
筆の擦れを再現して
補彩作業は進められていきます。
  ★今日のおまけ★
今日は「夕食は自宅で」と思い、
お米を買いに
近所のホームセンターに行くことに‥‥。
わたくし山田が、
このホームセンターで
お米を買いたい理由があります。
それは、このパンダ精米器があるからです。
このパンダ君をひと目見たときから
決めてました。
玄米を買った人は
無料で精米してくれるのです。
お米は、せっかくなので、
山田の住んでいる地域で採れた
コシヒカリを買うことにしました。
精米中のパンダ君です。
パンダの口からお米がボロボロと出てくるのが
不思議な感じです。
10kgを5分ほどで精米してくれました。
見た目はかわいいけれど、りっぱな精米器です。
せっかくなので、こちらの動画でもどうぞ。
この映像を見ると山田は、笑ってしまいます。

お米の味のほうは?
はい、とってもおいしかったです。
修復現場とは全然関係のないレポートでした。

それでは、また。
  以上で今日のレポートを終わります。
  3月30日(木)更新

今日は、ドクロ部分の亀裂を
修復する作業をお伝えします。
レリーフ部分は、
合成ゴムに炭酸カルシウムと細かい木のくずを
混ぜて盛り上げられています。
画面からいちばん浮き出ている部分で
だいたい3cmくらいの厚さです。
作業は、レリーフ部分を暖めて柔らかくして、
元の状態に戻していきます。
作業前のドクロの表面温度を
表面温度計で計測している様子です。
写真の赤いマーカー部分の温度を計測しています。
温度は20℃でした。
この温度では、レリーフは
指で押さえてもコチコチで固いです。
赤外線ランプで修復部分を暖めます。
ランプで暖めた部分の温度を
計測しています。
温度は67℃。
70℃を超えてしまうと絵の具は溶けてしまいます。
絵の具が溶けるギリギリのところまで
レリーフ部分を暖めるようにします。
指で押さえると、ちょうど消しゴムを
指で押したような柔らかさになります。
暖めて柔らかくした部分を押さえて
亀裂の段違いをなじませているところです。
そのようすをこちらの動画でごらんください。
普段は固いドクロ部分が
柔らかくなっているのがわかりますか?
亀裂の段違いを合わせ、
小さな破片を戻して、
欠損部分には充填を施した状態です。
  以上で今日のレポートを終わります。
  3月28日(火)更新

こんにちは、みなさん。
今日は、レリーフになって盛り上がっているドクロ部分の
亀裂や浮き上がりを直すための、
準備の作業をお伝えします。
ドクロの目のふちに、
ヒビが入っているのがわかりますか?
このように、レリーフ部分には
あちこちに亀裂や浮き上がりが見られます。
浮き上がりを押さえて直す前に、
まずは亀裂でできた隙間を
ファイバースコープで覗いて
中に汚れや異物がないかを確認します。
この写真は、レリーフ表面を写したものですが、
レリーフには、このようなネジが
めり込んでいる場所もあります。
レリーフの浮き上がりの中には、
こんなものが、けっこう入り込んでいたりしますので、
あらかじめチェックをするのです。
  次回は、レリーフ部分の浮き上がりを
接着する作業をお伝えしますね。
  3月23日(木)更新

こんにちは、みなさん。

今日は、いま現在の修復現場の写真を
お送りします。
作業は、いちばん左の壁画から進めていて、
徐々に右へと移って行きます。
いまは、このあたりの仕上げ作業をしています。
  また近いうちに、
撮りためたムービーを整理して
送りたいと思っています。

公開がほんとに、
次の季節に迫ってきましたので、
がんばります。

それでは、今日はこれで。
  3月9日(木)更新

壁画のいちばん左部分の補彩作業が
最後の調整を残して、ほぼ終了しました。
その部分の、修復前の写真と
あわせてお送りします。
この写真は昨年(2005年)の10月、
裏面の補強が終わって、壁画を立ち上げたときに
撮影したものです。
そして、これが現在の状態です。
最後の調整だけを残す状態までに
しあがっています。
  10月の状態とくらべて、どうでしょうか?

今日のレポートは以上です。

それでは、また。
  2月26日(日)更新

先日、松山市の小学生に
『明日の神話』の修復現場を
見学してもらう機会がありました。
作業場に入って壁画を見るなり、
子どもたちは
「でっけー!!!」
の連呼でした。
小学生を前に『明日の神話』について、
わかりやすく丁寧に
説明をしている平野さんです。
子どもたちに、画面の汚れを落とす
「洗浄作業」を体験してもらいました。
もちろん、こういう作業は
はじめての経験だったでしょうし、
テレビカメラに囲まれていたこともあって、
子どもたちは、
ちょっと緊張気味だったかな?
最後は全員で
絵の前で記念撮影しました。
  子どもたちは、絵の中央の骸骨が
レリーフ状になっていることに
とても興味を持ったようでした。
わたくし山田も、何名かの子どもたちから
「レリーフはどうやって作ってあるの?」と
質問されました。
レリーフがどうやって作ってあるかは、
後日、修復作業のレポートでお伝えします。

それでは、今日はこれで。
  2月23日(木) 更新

みなさん、こんにちは。
12月1日のレポートで、
顕微鏡での作業風景をお伝えしましたが、
今日は、同じ部分の「その後」をお伝えします。
顕微鏡を覗いて画面に付着した
さび止めペンキを落としていたのですが、
その部分の補彩が完了したのです。
ちょうど写真の中央あたりだと、
補彩をした吉村さんが言うのですが、
わたくし山田には、
どこなのかよくわかりません。
  このように、ゆっくりとした変化ではありますが、
修復作業は順調に進んでいます。

では、また。
  2月19日(日)更新

みなさん、こんにちは。
今日は、12月に撮影した壁画の写真と
2月に撮影した壁画の写真を、
みなさんにごらんいただこうと思います。
これは、12月に壁画を撮影したものです。
この時点では、全体の3分の1だけ、
画面洗浄が終わっていました。
それからちょうど2ヶ月後の、
2月上旬に撮影した写真です。
吉村さんは
「ほんとうにきれいになっているのかなぁ〜‥‥」
と言っています(笑)。
修復作業じたいが、週単位では
大きな違いが出るほどには進まないことにくわえ、
太郎さんが壁画を制作している途中に
画面が割れたところがあって、
そこは、わたしたちにはどうすることもできません。
(段違いに板が接合されており、その上から
 太郎さんが描いているのです)
そんなこともあり、吉村さんは余計に
「きれいになったのかなぁ〜」と
感じるのかもしれませんね。
この全体像の写真を撮影したのは、
わたくし、山田です。
こーんな格好をして撮影しているところを
ほかのスタッフに、撮られてしまいました。
作品がとにかく大きいので、
全体を写そうと思うと、
こうなってしまうのです。
  2枚の写真をごらんいただいて、
どうでしょう?
小さな写真では
わかりにくいと思いますが、
すこしは、変わったでしょうか?
実際に目の当たりにしている現場スタッフは、
そのちがい、とても感じているんですよ。

今日のレポートは以上です。
それでは、また!
  2月12日(日)更新

こんにちは、みなさん。

修復現場は早くも作業が大詰め、
という雰囲気が
ただよいはじめてきました。
今日は、『明日の神話』の中央にある
大きな欠損部分の復元のようすをお伝えしますね。
『明日の神話』の中央部、骸骨の足もとに、
大きな欠損部があります。
写真は、オリジナル・ラヴの田島貴男さんが
記者発表の際にその横に立ってくださったものです。
(田島さんの身長は184センチ)
大きさは、だいたい
1メートル×50センチくらい。
絵がぽっかり無くなってしまっています。
このような大きな欠損部分は、
欠損部分のまわりから
絵やタッチを推測して復元するのは、
さすがに困難です。
こういう場合は、
写真のようなプロジェクターを使って
損傷前の状態を壁画に投影します。
投影した状態で、
欠損部分におおまかな下書きをします。
損傷前の状態をもとに筆のタッチを再現し、
補彩前の下塗りをほどこした状態です。
  本日のレポートは、ここまでです。
あいかわらず今日も寒い、
愛媛から、お伝えしました。
  2月5日(日)更新

今日は、修復作業のようすではなくて
休憩所の製作をお伝えします。
休憩所の製作‥‥?
みなさん「何のこと?」とお思いでしょう。
私たちが壁画『明日の神話』を修復している作業場は、
暖房器具が入ったとはいえ、
現場そのものが広いのと
(壁画が大きいので、広いのはしかたがありません)
すきま風が作業場に入ることで、
なかなか暖まらないのです。

そこで、せめて休憩のときだけでも暖かくなれば、と、
作品を繋ぎ合わせるときに使った
作業台の木材とガラスで
休憩所をつくることになりました。
材木をスタッフで
組み立てているところです。
組み上げた材木にガラスを取りつけて、
休憩所のできあがりです!
名づけて‥‥吉村ハウス‥‥。
  こんなことをやっている場合ではないのですが、
あまりにも寒くてつくってしまいました。
今日のレポートは終わりです。

それでは、また。
  2月2日(木)更新

みなさん、こんにちは。
今日は、画面が欠損しているところを
充填する作業について、お伝えします。
写真中央の白っぽい部分は、
何か固いものがあたって擦れたらしく、
縦10cm幅3cm深さ1mmほどが
えぐられて、絵の具がありません。
この大きさの傷は、
通常の絵画では大きな傷ですが、
30mのこの『明日の神話』では
小さい傷になってしまいます。
なにしろ、縦横1mという欠損部も
あるくらいですから‥‥。
では、充填します。
欠損部に、周囲の絵の具と同じ高さまで
充填剤を入れます。
細い筆を使って、
太郎さんの筆の
こまかいタッチを再現していくようすを、
どうぞ動画でごらんください。
筆のタッチが再現された欠損部分です。
表面の筆のあと、
この写真で伝わりますでしょうか?

 

以上で、充填作業のレポートを終わります。
それでは、また。
  1月26日(木)更新

今日は、「明日の神話」画面中央の
ドクロを洗浄するところをお伝えします。

修復チームの女性スタッフふたりに、
左右の眼を洗浄してもらうことにしました。
洗浄前のドクロです。
土埃やセメントでだいぶ汚れています。
左右の眼を片方ずつ
クリーニングしていきます。
ドクロの中から、赤く光る眼が
浮かび上がってきます。

そのあと、竹串に脱脂綿を巻きつけて、
溶剤で洗浄していきます。
この、30メートルの壁画の画面は、
すべてこの細い綿棒で
クリーニングしていくんですよ。
そのようすを、ぜひ、動画でごらんください。

洗浄完了です。
核の炎の中に浮かび上がる不気味なドクロも
キレイになると、
なんとなくかわいらしく見えてきませんか?

以上で、
ドクロの洗浄作業の報告を終わります。
  1月22日(日) 更新

みなさん、こんにちは。
今日は、修復現場の
テレビ撮影がありました。
カメラの高さを7メートルまで
上げることができるクレーンを使っての、
撮影だったんですよ。

これが、そのクレーンです。
クレーンを使って撮影した映像の、
そのまたモニターを、撮ってみました。
ふつうなら近寄れないようなところまで
カメラは動いています。
動画を、こちらからどうぞ。
  1月19日(木)更新

みなさん、こんにちは。
いま、私たち『明日の神話』修復チームは
壁画の画面の修復に励んでいます。
長い間行方不明になっていた『明日の神話』ですから、
絵の表面には、いろんな汚れが付着しています。
セメントや土埃‥‥だけではなくて、
こんなものも、です。

この写真の中央の、
黄色い部分を
近くでよく見ると‥‥
なんと!
画面の上で計算した跡が!
もちろん、こういったものも、
チームできれいに修復して、
岡本太郎さんが描きあげたときの『明日の神話』を
再生できるように、がんばっています。
(‥‥しかしこれぐらいの計算は
 暗算で、してほしかったですね!)
  それでは、また。
  1月12日(木)更新

このページをごらんいただいているみなさま、
新年、あけましておめでとうございます。

今年も修復現場からのレポートを、
がんばってお伝えしていきます。
修復作業の終わる6月まで、あと半年、
よろしくおつきあいくださいませ。

新年最初のレポートは、現在の現場風景です。

中央骸骨部分の洗浄作業が終わりました。
一番左の絵は、いま、
吉村絵美留さんが補彩作業を進めています。
左下の明るいところに、
吉村さんが立っているのがわかりますか?
  今年も、よろしくお願いします。
『明日の神話』修復チームへのメッセージは、
メールの表題を「明日の神話」として、
postman@1101.comまでお送りくださいね。
お待ちしています!
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