24 【チョイ住み in Paris ?!】
その1 どういうわけかこういうことになりました。

前回までの「ヤマダのコーヒー」、とっても好評で、
たくさんのかたに読んでいただきました。
ありがとうございます!
あれからぼくも坂の上のコーヒー豆屋さんで
煎りたての「フレンチロースト」を買って、
自分で挽いて(電動ですけど)、
コーノ式のサーバー(持ってることは持ってた)で
ドリップするようになりました。
ヤマダさんのようには上手に淹れられませんが、
それでも、すごくおいしいのです。
「いいものを身体に入れている」感じがします。
それまでは「フレンチプレス」っていう、
緑茶や紅茶みたいに、挽いた豆にお湯をさして淹れる、
ひじょうに簡単な方法で飲むことが多かったんですが、
それはそれでおいしいと思ってはいるものの、
「ぜんぜん別の飲み物だ」くらいの、ちがい。
おもしろいなあ。

今週は社員研修旅行でバリに行くんですが
以前「1日にコーヒー4杯以上は飲み過ぎ」と
ぼくに諭したマッサージのおじさんに会えたらきっと
「よしよし、いいコーヒーを
 適量、飲んでおりますのう!」
と言われるんじゃないかとひそかに期待しています。
言われないか。

さて! 前回予告しましたように、
すでに取材済みの「筋トレ」編、の前に、
面白い事件というか、出来事があったのを
ご報告&告知させていただきたいと思います。
1週間で3キロ痩せた、その出来事とは‥‥。
首謀者のニシモトといっしょに、お伝えします。

■NHKが大英断! “チョイ住み in パリ”
ニシモト ああ、武井さん、このことを、
このページで告知することにしたんですね!
シェフ うん、だって、この企画はさ、
「男たちのアンチエイジング」のページが
きっかけで産まれたと言ってもいいじゃない?
だからこのページを読んでくださっているみなさまに、
まずおしらせしたいな、って思って。
ニシモト そうですね。だったら、軽くじゃなくて、
ちゃんとお伝えしないと。
そもそもが「なんじゃ、そりゃ?!」な話ですからねえ。
ではぼくから伝えましょう。
じつは、武井さんが、1週間、
ぶらぶらとパリで食って、飲んで、
寝るのを撮影した90分ドキュメンタリーが
NHKのBSプレミアムで3月14日に放送されます!
シェフ 違う! その説明、ちがーう!
いろいろ抜け落ちてる!
それじゃまるでぼくが「ぶらぶらとパリで食って、
飲んで、寝るだけ」の奇妙すぎる番組でしょー。

やっぱり自分で説明しますよ。
本当の主役はいま話題の「ぬくメン俳優」、
千葉雄大(ちば・ゆうだい)くんです。
千葉くんと、なぜか、ぼくが、
パリの、商店街がある街に部屋を借り、
1週間、「暮らすように旅をしてみる」
という番組ができたんです。
パイロット版っていうんですか、試作なので、
単発の放映らしいんですけど。
ニシモト 広報資料にはこう書いてありますね。

チョイ住み in パリ
2015年3月14日(土)
午後9:00~10:29放映
NHK BSプレミアム


“チョイ住み”は、その街に、まるで引っ越したような、
全く新しい旅番組。ガイドブックを眺めつつ、
名所景勝を駆け巡るうちに、あっという間に1週間。
帰国すればヘトヘトに…。
そんな旅をしがちな現代の日本人に、
新しい旅のスタイルを提案する新番組「チョイ住み」。
コンセプトは「その国にちょっとだけ住んでみる」。
普通の家に住み、日用品を買い、食事を作り、
近所の地図を覚え、その日ふと思い立った場所へ出かけ、
地元の飲み屋でクダをまき、
疲れたら家でテレビを見る。
現地の人と同じ目線に立つことで、
ガイドブックには載っていない
その国の姿が見えてきます。
今回、番組で「チョイ住み」するのは、
旅行雑誌の編集に長く携わってきたベテラン編集者と
今人気急上昇中の“ぬくメン”俳優!
パリを舞台に、ぬくもり系男子と、
パリ大好きな編集者というかみ合わない二人が、
おかしな「ちょいスミ」を繰り広げます!

出演:千葉雄大(俳優)、武井義明(編集者)
シェフ ほら、あくまで主役は千葉くんです。
ぼくはあくまで補助役。
ニシモト では、社内でも騒然となったこの2ショットを。

シェフ うわわわわーーーーーっ。
や・め・てええええーーーー。
ニシモト 横山弁護士ですか。古いなあ。
主役の千葉くんを
食ってしまうほどの存在感じゃないですか。
シェフ いま、読んでくださっているみなさんが
総ツッコミをしているのが見えました。
「シェフ、顔、でかっ!」。
ニシモト 二人並んで撮影しているのに
千葉くんがかなり後ろに立っているように見える!
遠近法を狂わせる写真ですね。
シェフ これねえ、ぼくが特別顔がでかい、
というわけでもないはずなんです。
千葉くんが小さすぎるんです!
ニシモト じつはどの写真もおもしろいんですよ。
これなんかもどうですか。
局は違うけど、
ヒゲのおっさんとイケメンの
テラスハウスみたいな空気(笑)。

シェフ ‥‥って、そんなことはどうでもよろしい。
ニシモトさん、経緯をもっとしっかり説明してください。
いくらなんでも突然、「テレビに出ませんか?」
というオファーがきたわけじゃないんですから。
ニシモト 確かにそうでしたね。
あれは昨年の夏のことでした。
元NHK_PR1号さん、
いまは作家になられた浅生鴨(あそうかも)さんですが、
NHKを退職されたとき、
新しいスタートを応援しようと、
浅生さんとぼくの共通の知りあいである
NHKの方と食事をする機会がありました。
その席でぼくが「これから何をするんですか?」
と訊いたら、浅生さんは
「小説を書くこと以外はなにも決まってないんです。
 暇なんですよー」と。
そうしたらNHKの人が
「浅生さん、どうせ暇なんだったら、
 いま、局内で新番組企画を広く募集していますから、
 なにか考えてみてくださいよ。
 すごく良い企画だったら
 通ることもあるかもしれないですよ」と。
シェフ へえ、そんなことがあったんだ。
ニシモト ええ。食事会がそのまま企画会議になったんです。
で、武井さんも覚えていると思うけど、
「ムーミンの新作映画ができるらしいよ」
って情報がありましたよね。
シェフ いま公開されている映画だね。
ニシモト そして武井さんはフィンランドが大好き

シェフ そのとおり。
ニシモト ぼくは言ったんです、
「作家の重松清さんと編集者の横里隆さん、
 それとうちの武井による
 『おじさん3人、ムーミンを語る。』
 というコンテンツがあったんですが、
 とても好評だったんですよ。
 その3人のおじさんたちを
 フィンランドに送り込むって旅番組はどうですか?」
って。
シェフ それが「テレビ的」とは思えないんだけれど‥‥。
ニシモト そうでしょうね、そう思うでしょう。
でもその時、ぼくらはこういう考え方をしたんです。
「最近は、予算やスケジュールの関係なのか、
 新人の役者さんや若手芸人が旅をするような
 旅番組が増えているよね。
 あまり知らないような人が出ていたりもする。
 だったら、テレビ的にはあまり知られてない
 おじさんでもいいんじゃない?」。
シェフ 知らないところでそんな言われよう。
重松先輩は高名な作家だぞ!
ニシモト 「それぞれのジャンルで一家言あるおじさん」
というところが大事なんですよ。そんな人たちが
「ひとつ屋根の下で暮らすように旅をする」
というコンセプトができて、
できたタイトルが「オヤジ・ボヤージ」。
シェフ ダジャレじゃないか。
ニシモト さっそく翌朝、浅生鴨さんが
1枚の企画書にして提出したんですよ。
そしたら、数日後、
浅生鴨さんとぼくがNHKに呼ばれましてね。
シェフ 浅生鴨さんが、辞めたはずのNHKに。
ニシモト ええ。そしたら
「仕事ハッケン伝」
「おやすみ日本」など
NHK内でもヒット番組を手がけておられる
敏腕プロデューサーの手に
その企画書がわたっていたんです。
シェフ ひーっ!
ニシモト 言われたのは、企画書のブラッシュアップです。
「そもそも、このおじさんたちはどういう人なの?」
つまり、それぞれのキャラクターを教えてくれと。
そのときに企画書に書いてたおじさんたちはこういう人。
作家の重松清さん、写真家の菅原一剛さん、
編集者の横里隆さん、
TVプロデューサーの土屋敏男さん、
そして武井さん。
シェフ 増えてるし、見事なまでに知り合いで固めてるし。
ちょっと待って、土屋さんって日本テレビだよね?
ニシモト 浅生さんが勝手に入れちゃってたんですよ。
シェフ それはそれでチャレンジングだ。
ニシモト ええ。そして二人でプロデューサーさんに
設定を説明したんです。
たとえば作家の重松さんは旅行記を書き、
写真家の菅原さんは写真を撮り、
編集者の横里さんはそれを編集し、
テレビマンの土屋さんがカメラを回す、
というのはどうでしょうかと。
ちなみにうちの武井は肉を焼きます、と。

シェフ あの、ぼくも「編集者」なんだけど。
ニシモト 『ダ・ヴィンチ』の編集長を
長くつとめてきた横里さんとは格が違うんで。
シェフ そのとおりです。
ニシモト 「それぞれの得意分野を活かす」
という企画だったんです。
旅先で「肉を焼く」武井さんの話をすると
みんなに受けるんですよ。
シェフ まあ、焼くけどね。
ヘルシンキでは部屋の火災報知器を作動させたからね、
調理中の油煙で。
ニシモト そのなかで武井さんは圧倒的に「無名」だから、
プロデューサーさんからは、
もっと、その人の話を聞かせてくれと。
「あの人、いろんな国に行っては、
 アパートを借りて、
 近所の商店街やスーパーで買った食材で
 とんかつ揚げたり、
 漬物をつけたりしてるらしいんですよ。
 住人気取りで、
 ろくに観光もしないらしいですよ!」
「わははははっ! そりゃ妙な人だなあ!」
と、盛り上がったんです。
さらにこの「アンチエイジング」コンテンツを開いて、
武井さんを紹介してきたんですよ。
シェフ なるほど。
ニシモト そうこうしているうちにその企画書がNHK局内で
「おもしろそうじゃないか?」という話になり、
NHK社内で旅番組を統括する
部署にまで辿り着くんですが、ここでどんでん返しです。
「残念だ、君たちの企画は悪くない。
 悪くないのだが、
 すでにフィンランドをテーマにした
 別企画番組が動き出しているのだよ」

シェフ わあ、没だ!
ニシモト しかーし! さらにこう言うんです。
「その、おじさんが旅をする企画、
 フィンランド以外で、できないだろうか?
 その肉を焼くおじさん、面白そうじゃないか」
シェフ おかしい、おかしいよ、それ!
肉を焼くおじさんだけが目立つっておかしいでしょう!
君はNHKでどういう説明をしてたんだ!
ニシモト だって、武井さんに
「フィンランドで何したいですか?」
って聞いたら、即答したじゃないですか。
「トナカイの肉を焼きたいんだよね!
 絶対、フィンランド人より
 うまい料理が作れると思う!」
ああ、ずうずしい人だなって思ったんですよ、
他国の文化に口を挟んでね。
でもその話が面白いものだから、
ひとり歩きしていったんです。
シェフ いや、まあ、フィンランドの人は、
なかなか食に保守的なところがあるからね。
ニシモト でも「フィンランド以外で」となると
ムーミンの企画じゃなくなっちゃう。
そしたら浅生鴨さんが、
「もういっそ、武井さんだけでいいんじゃない?
 旅先は、パリがいいんじゃない?
 武井さんは確か「パリ馬鹿編集者」って
 コラムを書いてましたよね?
 NHKでは旅番組なら『パリ』が鉄板ですよ」
と、思いつきました。
シェフ 確かにCREAに頼まれて書いたね。
ちょっとコメントとアンケートって言われたんだけど
いっぱい書いたら4ページくらい載せてくれたんだ。
ニシモト あとから聞きましたよ、
「武井さん、単行本1冊ぶんくらいの原稿を書いてきた」
って、この人ちょっと馬鹿なんじゃないかと、
ああいう名誉の称号をつけさせてもらったと。
シェフ はい、栄誉でございます。馬鹿上等!
ニシモト 「パリ」をテーマにした番組って、
NHKでは何度放送しても人気があるそうなんです。
ここでさきほどのNHK敏腕プロデューサーが
大英断を下します。
「やろう!
 でも、さすがに武井さんだけじゃ番組は成立しない。
 そこで、最近、気になる俳優がいてね、
 ぬくもり系男子のぬくメン俳優って呼ばれている
 千葉雄大くんという男の子なんだ。
 世代もルックスも全く正反対の二人が、
 パリで一つ屋根の下で暮らすっていうのはどうだ!」

シェフ ああ‥‥さすが辣腕プロデューサー。
そこは思いつかないよね‥‥。
ニシモト すぐに千葉くんの事務所に問い合わせたところ、
事務所の方が企画に賛同してくれただけでなく、
ドラマが終わったばかりで
あの人気者のスケジュールが
奇跡的に1週間、空いていたんです!
武井さん、千葉くんってご存知でしたか。
シェフ すまん、まったく知らなかった‥‥。
それにしてもそんな経緯だったとは。
それであれよあれよという間に行くことになったと。
ニシモト そういうことです。
そして収録がスタートしたわけですが、
「そもそも」の部分で話が長くなりましたね、
すみません。
でももうちょっとしゃべりましょう!
シェフ ハイ、また来週、放映前に詳しくおしらせします!
2015-03-02-MON