第6回 すれちがいと美術品と南の島。

糸井 今日は、弊社の『どうぶつの森』好きが
おおぜい集まってますから、
ちょっと質問を受け付けてみましょうか。
岩田 あ、いいですね。
糸井 はい、『とびだせ どうぶつの森』について
なんでも質問をどうぞ。
ただのファンの質問でいいぞー。
一同 (笑)
トミタ ハイ!
糸井 はい、トミちゃん。
トミタ 『とびだせ どうぶつの森』の「とびだせ」は、
やはり3Dのことでしょうか。
個人的に、3D酔いしやすいたちで、
ちょっと気にしているんですけど‥‥。
毛呂 3D酔いに関しては、
起こらないように気をつけてつくっています。
もともと『どうぶつの森』は動きがゆっくりで、
操作した速度でしか動かないので、
酔いにくいということはいえると思います。
岩田 少し専門的な話になりますが、
『どうぶつの森』って、
基本的にカメラが一方向なんです。
カメラの向きが回転したり、切り替わったりしない。
それだけでも、基本的に、酔いにくいです。
部屋の中では、
カメラの向きを変えることもできますが、
気になるなら、3Dボリュームで
立体視の効果をオフにしていただくことも
できますし。
京極 部屋の中の家具とか、
3Dで立体視すると奥行きがあって、
ほんとにそこにあるみたいに見えるので、
そういうときは、立ち止まってでも、
ちょっと3Dをオンにして、見ていただきたいです。
岩田 そうそう、3Dになったことで、
「部屋の中がうれしい」というのは
開発中にチームのみんなが言ってましたね。
毛呂 いままで、ただの絵でしかなかった家具が、
そこにあるみたいに存在感が出て、
ものすごくリアルに見えるんです。
岩田 それは、ひとつひとつ、
ちゃんと立体でつくってるっていうことでもあって、
じつは開発チームが前よりたくさん汗をかいてる
っていうことなんですけどね。
毛呂 (笑)
糸井 たしかに、そうですよね。
毛呂 あと、質問に戻ってお答えすると、
『とびだせ どうぶつの森』の「とびだせ」には
「3D」というだけでなく、
すれちがい通信や、インターネットを介して、
よその村を見に行きましょう、
という意味も込められています。
岩田 立体視の「とびだせ」と、
自分の世界からよその村に「飛び出せ」の
両方の意味が込められているんですね。
イサワ いま、お話に出ましたけど、
すれちがい通信では、どんなことができますか。
毛呂 村のなかに、「ハッピーホーム展示場」という
住宅展示場がありまして、
すれちがった人のお家が
「モデルハウス」として展示されます。
自分の自慢のお家を並べておくことも、
すれちがった人のお家を見に行くこともできます。
岩田 だから、糸井さんとすれちがった人の村には、
あの「恐怖の館」が
すれちがい通信でやってくるんですよ。
で、入ると「なんだこりゃ」と。
一同 (笑)
糸井 ああー、そうかそうか(笑)。
京極 住宅展示場は商店街の先にあって
敷地内におうちがずらっと並んでいます。
すれちがった相手のキャラクターも
その展示場を歩き回ったりしています。
すれちがった人の家の中が見学できるのはもちろん、
そこに気に入った家具があったら
オーダーすることもできます。
毛呂 オーダー家具は、ちょっと割高になりますけど。
シブヤ 『どうぶつの森』では、サウンドも
ひとつのたのしみになっていると思うんですけど、
どうぶつ語で話しかけられたり、
とたけけの音楽がたのしめたりして。
どっぷりその世界に浸るには、
どういう聴き方がいいですか。
毛呂 3Dサラウンドという技術をつかっているので、
後ろのほうからも、ちゃんとその音が
聞こえるような仕組みが入ってるんですけど、
サウンドディレクターの
戸高(一生)が言うには‥‥。
岩田 戸高さんというのは、
「とたけけ」のもとになった人です。
よく似てますよ、犬じゃないですけど(笑)。
一同 (笑)
毛呂 戸高が言うには、ヘッドホンで聴いたほうが、
まわりの雑音に遮られないので、
効果としてはいいんですけど、
ほんとに自然に聞こえるようにつくっているので、
ただ聞き流すぐらいでもいいと言っていました。
糸井 あ、ぼくも質問があった。
‥‥いい?
岩田 はい、糸井さん、どうぞ。
糸井 ぼくは化石が好きなんですけど、
今回、化石はどうなってますか。
まずは、きっと、展示が3Dになってますよね?
毛呂 もちろんなってます。
化石の展示は3Dにうってつけですから、
かなり見ものだと思います。
糸井 おーー。
京極 化石はさらにリメイクで
ミニチュアにすることもできます。
たとえば、トリケラトプスのパーツを
全部そろえてリサイクルショップの
カイゾーのところに持っていくと、
1つのちっちゃいミニチュアにしてくれるので、
部屋に飾りやすくもなります。
あと、博物館の2階を公共事業で増築すれば、
ミュージアムショップと企画展示室ができて、
プレイヤーが自分で展示できるスペースになります。
そこでミニチュア化石展したり、
美術品の展示会なんかもできます。
糸井 うわ、それはいいなぁー。
京極 そう、美術品といえば、今回の名画や彫刻は、
ニセモノを目で見分けられるようになりました。
糸井 ん? どういうことですか?
京極 これまでの美術品のニセモノって、
グラフィック的には本物もニセモノも同じで
「ニセモノです」って言われるだけだったんですよ。
でも、今回のニセモノは、よーく見ると、
実際にちょっと違ってるんです。
毛呂 ほんとうに「ニセモノだ」と、見てわかるように。
糸井 ええと‥‥たとえばそれは‥‥
ムンクの『叫び』の絵みたいだけど、
よく見ると「叫んでない」みたいな。
京極 あ、そんな感じです!
一同 (笑)
京極 モナリザの手の置き方が微妙に‥‥とか。
糸井 ああー、なるほどなるほど。
京極 開発スタッフのなかには
博物館の2階でニセモノを集めて
「贋作展」をしている者もいました(笑)。
毛呂 ニセモノのほうがうれしいって言ってる人、
けっこういるんです。
糸井 おもしろいなぁ。
それはやっぱり、ニセモノをつくるために、
1回余計に考えてあるっていうぶんだけ、
そのアイテムがうれしいんですよ。
岩田 ああ、そうですね。
毛呂 あと、名画を購入するとき、
ほんとうにプレイヤーの方の
審美眼をつかっていただくことになるので、
それが意外におもしろいんです。
ことばだけので「ニセモノ」じゃなくて
ほんとに「ニセモノ」なので、
ホンモノかニセモノか、買うかどうかは
プレイヤーの方の判断に委ねられるんですよ。
糸井 逆にいうと、目利きになることもできる。
岩田 そうですね。
真偽を見抜いたときはうれしいですけど、
贋作をつかまされると
より悔しい思いをすることになります(笑)。
糸井 ああ、そうですね。
ほかに、質問のある人は?
西田 ハイ。
今回、海で泳げるらしい、と聞いたんですが、
どういう感じなんでしょうか。
毛呂 おっしゃるとおりで、
今回の『とびだせ どうぶつの森』では
これまでのたのしみは基本的にすべて残しつつ、
海で泳げるようになったんです。
京極 たとえば、素潜りで海の幸を捕ることができます。
一同 おおおお。
糸井 歓声が起きましたよ、いま(笑)。
毛呂 ちょっとゲームを進めると
南の島に行くことができるんです。
糸井 島?
京極 常夏のリゾートアイランドに渡れるようになるんです。
そこからさらにツアーに出かけることができて、
ひとりでも、友だちとでも、
ぜんぜん知らない人とでも、
一緒にツアーに行くという遊びができます。
糸井 はーーー。
毛呂 島が遊び場なんです。
ムシ捕り大会をしたり、めずらしいサカナを釣ったり。
京極 リゾートっぽいおみやげも売っています。
引退した前の村長コトブキは、
南の島でツアーガイドとして、
悠々自適な生活をしてます(笑)。
岩田 しあわせに暮らしていますよね。
一同 (笑)
糸井 はぁーー。
南の島か、行ってみたいなぁ。
毛呂 ぜひ。
(つづきます)
2012-11-29-THU