柳田国男と
田山花袋

  • 時間

    98
  • 音質

    遠野常民大学をはじめとする、
    全国の常民文化を研究する
    機関が集まって開かれる
    9常民大学合同研究会で
    行なわれた講演。
    音源は客席録音だがクリア。

  • 講演日時:1990年9月8日
    主催:柳田国男研究会/遠山常民大学/浜松磐田常民文化談話会/ふじみ柳田国男を学ぶ会/飯田歴史大学/鎌倉柳田国男研究会/遠野常民大学/鎌倉市民学舍/於波良岐常民学舍
    後援:邑楽町/邑楽町教育委員会
    場所:群馬県邑楽郡邑楽町・長柄公民館
    収載書誌:至文堂「国文学 解釈と教材」57巻2号(1992年)




田山花袋と柳田国男は、若い頃から
和歌や新体詩の仲間として
相互に影響しあっているのですが、
両者がそれぞれの道へ進んでしまった後も、
ふたりのあいだにはたくさんの類縁性を
たどることができます。
そこで考えますと、花袋や自然主義の文学潮流と、
柳田国男の民俗学の方法を支えたスタイルとは、
それほど分離してしまったといえない気がします。
初期の叙情時代のふたりは、
同じ文語体のスタイルの圏内にあり、
柳田はそれを延長して『遠野物語』へ、
花袋はそこから脱出して自然主義へ向かった、
という経路も考えられます。
ふたりが自分では語らなかった
無意識の影響を含めて追求することができると、
柳田国男だけでなく、
日本の自然主義文学に対する追求に
入っていくことになるのではないでしょうか。