言葉以前のこと
――内的コミュニケーションをめぐって

  • 時間

    71

  • 音質

    安原顕氏が主宰した
    メタローグ社の
    創作学校で講演。
    音源はたいへんクリア。

  • 講演日時:1992年10月7日
    主催:メタローグ社創作学校
    収載書誌:メタローグ『詩人・評論家・作家のための言語論』(1999年)




言葉以前の内的コミュニケーション──
言葉を発しないで相手にわかる、
そのわかり方の言葉っていうのは
どういうふうにしてできているのでしょうか。
誰でも、相手の表情を読んだら
何を考えているかわかるということはあるわけです。
特に恋愛状態みたいになれば、会って、動作ひとつ、
言葉ひとつで相手が何を考えているか
わかっちゃうことがありうるわけです。
そうした「内的コミュニケーション」というのは、
受胎して10ヵ月して出産されて、
1年未満の乳児までのあいだに、
その原型ができてしまうというふうに
理解すればいいと思います。
言葉なき言葉──言葉以前の言葉みたいなもので
わかってしまうという能力というのは、
そこで形成されると考えるのが
いちばんよろしいと僕は思います。