宮沢賢治の童話に
ついて

  • 時間

    62
  • 音質

    日本女子大学児童文学研究室主催
    〈詩と童話まつり〉という
    催しでの講演。
    ところどころに音が飛ぶような
    ノイズが入る。音質はよくない。

  • 講演日時:1971年12月4日
    主催:日本女子大学児童文学研究室/同人誌「海賊」
    場所:日本女子大学成瀬記念講堂
    収載書誌:猫々堂「吉本隆明資料集51」(2005年)




宮沢賢治の童話の世界を初期から晩期に至るまで
とても奥底のほうで規定しているのは、
山人の入眠幻覚や白日夢の世界、
あるいは民話・伝承に対する異常な関心です。
彼がイーハトーヴと呼んだ岩手県には、
さまざまな伝承や民話があります。
山のなかで白日夢に襲われ、
ハっと気がついたときには
自分がぐるぐる同じ道を回っていたとか、
とてつもないところへ行っていたという
山人の民話のなかでも、
入眠幻覚の問題が宮沢賢治の童話の奥底にある
性格を規定していると思います。
それは『銀河鉄道の夜』のような作品にも、
とてもよく象徴されています。