横尾

糸井さんはいくつになったの？

糸井

69です。

横尾

年ってさ、
追い越されることがあるとおもしろいよね。

糸井

それは意外とないですね。

横尾

肉体年齢と精神年齢は乖離しているから、
みんな自分で精神年齢を
登録したらいいんじゃないの？
背番号みたいにＴシャツに入れておくの。
ああ、いまちょっと寒くなってきたね。

糸井

横尾さんは、暑いのと寒いの、どっちがいいですか？

横尾

暑いと熱中症をおこすから、
どちらかといえば寒いほうがいい。
熱中症は去年も１回あった。

糸井

そうなんですか。

横尾

熱中症になったことないの？　
なっててもわかんないんじゃない？　
糸井さんの場合そうだと思う。
年中、熱中症になってたりしてさ。

糸井

それはあるかもしれない（笑）。

横尾

でも、だいたいのことに
熱中するほうでしょ？　

糸井

それは別の熱中症ですね。
ぼくはあまり熱中はしないです。

横尾

冷め熱か。
去年は十和田の美術館に行く電車の中で
熱中症になったんだよ。

糸井

いつごろですか？

横尾

６月ごろ。
新幹線で、車掌さん呼んで、
「暑いからなんとかしてくれ」
と言っても、なんにもやってくれない。
どんどんどんどん脱いで、Ｔシャツだけになって、
Ｔシャツも脱ぎたくなるぐらい暑くなっちゃって、
アイスクリームいっぱい食べてさ。

糸井

それで治ったんですか？

横尾

そうこうしているうちに着いたんだよ。
電車の中で熱中症になると、
降りられないから不安ですよ。

糸井

そうでしょうね。

横尾

しかしその新幹線で、
ぼくの斜め前に座ってた人は、
頭から毛布かぶって寝てたの。

糸井

え（笑）、夏ですよね？
冷房で寒かったんでしょうか。

横尾

ぼくが熱中症になって
暑くてしょうがなくて大騒ぎしてるのに、毛布だよ。
あの人、寒中症になってたわ。
糸井さんの食べてるやつ、それなんなの？

糸井

たら。「たらとば」です。
酒のつまみですよ。

横尾

そういうのは非常食ですよ。
船に乗る人が、
かつお節なんかを非常食にするでしょう。
糸井さんはお酒飲まないけど、つまみが好きなんだね。
塩分が多いと思うわ。
噛む音がめりめりいってるよ。

糸井

おいしいですよ。
ちょっとチンパンジーっぽい気分になれます。

横尾

まだある？　
なんだか糸井さんが食べてるのを見るとさ。

糸井

かたいから、
裂けるなら裂いたほうがいいかもしれません。
あ、横尾さん、裂くのが上手だ、やっぱり。
手が器用‥‥！！

（しばらくたらとばを食べる）

糸井

ところで横尾さん、髪は染めてますか？

横尾

ううん。
このへん、白い髪があるでしょ？　

糸井

少しだけありますね。

横尾

誰かがカツラでしょうといって、
一所懸命はがそうとしたこともあるよ。

糸井

なぜもっと白髪にならないんだろう？　

横尾

ある年齢に達している場合、
多少でも白くなっていかないと、
中途半端な気がするね。

糸井

そんなことはないですよ。

横尾

あの人、
テレビの歌手の演歌の人でなんとかいう人、
頭が黒いけれども、あれは染めてるのかな。

糸井

テレビに出ている人はだいたいが
染めてるんじゃないでしょうか。
横尾さんは、パーマですか？

横尾

年に１回か２回、パーマあててます。
髪もそんなに洗ったりしないよ。
歯も朝１回磨くだけ。

糸井

そこもネコ派ですね。

横尾

それなのに歯は丈夫。

糸井

わけわかんない。

横尾

要は考え方です。

糸井

うん‥‥そうかもしれないって、ちょっと思います。

横尾

考え方で黒くも白くもなる。
一夜のうちに白髪になるっていうでしょう。

糸井

考え方で、歯も丈夫なんですか？

横尾

歯医者にはあんまり行ったことないよ。
親知らずが一本あったんだけど、
梅干し食べててとれちゃった。
それで歯医者に行っただけ。

糸井

すごいな。

横尾

子どものころから、ダシジャコやら
小魚を食べるのが大好きだったの。
それと昆布。

糸井

あ、昆布。

横尾

昆布とダシジャコ。

糸井

髪の毛と歯はそれだ。
もう少し早く聞いときゃよかった。
横尾さん、新種なんじゃないですか。

横尾

新種って、何の。

糸井

独自の。

（金曜日につづきます）