第4条:苗や種は特別な品種じゃありません
ほぼ日 諏訪さんのまとめてくださった
「永田農法の10か条」、
つづきをお願いします。
諏訪 はい。つぎは第4条ですね。
これも、重要なことです。
「永田農法で扱う苗や種は、
 特別な品種じゃありません」

ぼくは、このDVDをプロデュースしたことで、
いろんなところで永田農法について
説明する機会があるんですけど、その度に
「永田農法のトマトはすごくおいしい。
 タマネギもすごくおいしい。
 でも、それって特別な品種ですよね」
ということを聞かれるんですよ。
でも、そんなことは全くなくて
どこでも手にはいる品種ばかりなんです。
ほぼ日 でも、その質問をされる方の気持ちは
よくわかります。
あきらかにおいしいものって、
「育て方が違う」というよりは、
「モノが違う!」という感じがしますから。
諏訪 でも、特別な品種じゃないんですよ。
たとえば、ぼくが生で食べて
「梨みたいだ!」って衝撃を受けた
赤紫色のタマネギは、
「湘南レッド」という品種で
きわめて一般的な品種です。
これはどこでも手に入ります。
ちなみにこの「湘南レッド」は
生で食べることが向いてるタマネギですから、
「梨みたいなタマネギができた!」というふうに
永田農法ならではの違いを楽しむには
いいかもしれませんね。
もちろん、ふつうに育ててもいいですが、
永田農法で育てれば
より辛みが少ない「湘南レッド」ができますよ。

ほぼ日 参考までに、
永田先生が育てている野菜の品種について
もっと教えていただけますか?
諏訪 わかりました。
たとえば、最近、永田先生が
ご自宅の庭でつくっているトマトは
「桃太郎」という品種です。
これもどこでも手に入るものです。
いわゆるプロ用の品種も作られていて、
それは「ファースト」という品種です。
今ではプロ用として有名ですが
昔は給食や定食のつけあわせについていたくらい
どこでも作られていた
一般的な品種ですよ。
ほぼ日 ああ、永田農法というと、
この、実のとがった「ファースト」の
イメージがありますね。
プロ用というのは、
育てるのが難しいんですか?
諏訪 ファーストという品種は
もともと、簡単につくれて
実がたくさんとれる品種だったのです。
それを永田先生が
水と肥料をおさえて育てたことによって
糖度があがっていって
「ファースト」そのものの価値があがったんです。
ほぼ日 品種改良ではなくて
育て方で価値をつけたんですね。
諏訪 永田先生のすごいところは
そういうところなんですよ。
それで「ファースト」は
高糖度トマトというイメージができあがった。
プロ用とはいえ、
苗を手に入れようと思えば
インターネットなどで手に入るし、
ものすごく栽培が難しいわけではありません。
でも、初めてトマトを作るのなら
中玉やミニトマトの方が
甘みものりやすいし、作りやすいでしょうね。
ホームセンターに行くと
いろんな種類のトマトの苗が売ってますから、
畑のスペースに余裕があるのなら
いくつかの種類のトマトを育てて、
その中のひとつに「ファースト」を
加えてみるというくらいの感じで
挑戦してみてはいかがでしょうか。

(つづきます)
2008-04-23-WED