HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

WILD MOTHER PARTY

うれしいご縁がふたつ、
『MOTHER』でつながりました! 
新日本プロレスの大スターで、
現IWGPヘビー級王者のケニー・オメガさん。
ロックバンド「マキシマム ザ ホルモン」で、
バンドの全作詞作曲を担当するマキシマムザ亮君。
それぞれの世界で大暴れするおふたりから、
「『MOTHER』の大ファンです!」
という声をほとんど同時にいただき、
ならばということで、
糸井重里と『MOTHER』について、
大いに語っていただける場をご用意いたしました。
せっかくなので、ほぼ日まわりにいる
それぞれのファンにもお声がけをして、
ちゃっかり記念Tシャツまでつくって、
みんなでこの出会いをおもしろがってみました。
泣く子もだまる120分1本勝負! 
いや、エンディングまで、泣くんじゃない!

第7回 それぞれのスタイルがある。

亮君:
ケニーさんがプロレスの試合をするときって、
じぶんのパフォーマンスがいちばんなのか、
お客さんの反応がいちばんなのか、
なにをいちばんに考えるんですか。
ケニー:
それは最近、ちょっと変わってきました。
最初はじぶんのパフォーマンスだったり、
会場にいるみなさんの反応でした。

だけど、いまはSNSや
ストリーミングサービスがあるから、
会場にいる人たちだけじゃなく、
会場にいない世界中のファンのことも
考えるようになりました。
亮君:
ああ、なるほど。
ケニー:
例えば、ビックマッチのとき、
会場の中の人がぜんぶ理解できないときがある。
だけど、そこをちょっと犠牲にしてでも、
世界の人がその試合をたのしめるようにします。
すごくむずかしいことだけど、
最近そういうことも大事になりました。

なんでそうなったかというと、
新日本プロレスを
もっと世界的なブランドにしたいからです。
それをちゃんと考えないといけない。
みんなそれに向けてがんばっているし、
どんどんレベルアップしています。
糸井:
いまのはぜんぶチームプレーの話ですね。
ケニー:
そうです、チームプレーです。
いままではそれぞれの団体に、
それぞれのスタイルがありました。
いまの新日本プロレスは、
そのぜんぶのスタイルがあります。
ルチャリブレも、ストロングスタイルも、
ケニー・オメガっていう
オリジナルスタイルもある。
そういうのがぜんぶ集まっているから、
すばらしいプロレスになります。
そうしないと世界のファンには注目されない。
いまは、それを見せていくことが大事です。
糸井:
「なにを守るのか」「なにが好きなのか」を
それぞれがちゃんと持ってないと、
結局なにがしたいのかわからなくなって、
全体が宙ぶらりんになってしまいます。
ただ、バンドはもっと自由なものだから、
そういうのは逆に難しいかもしれないね。
亮君:
いま、ぼくは半分がバンドで、
あとの半分は裏方のことやビジネスのことを
考えないといけない立場なんです。
糸井:
そうなんですね。
亮君:
もちろんステージは全力でやるし、
たのしみに来てくれた人に
「あれ、きょう声出てないな」
「なんか力入ってないな」
とか思われるのは絶対イヤだから、
当然そういうプロ意識はあります。

でも、そういうこと以外は、
ぜんぶ仕事にしたくないタイプなんです。
ライブのときでも、奥さんがこどもに
「パパが仕事に行くよ、行ってらっしゃいは?」
とか言うんだけど、
「いや、仕事じゃねーから!」って(笑)。
ケニー:
(笑)
糸井:
いまの話で思い出したのは、
ぼくには歳がほとんどいっしょの
ミュージシャンの友人が2人いて、
ひとりは前川清さん。

彼は亮君さんと真逆のタイプで、
ぜんぶが仕事だって言う人。
歌なんか好きじゃないし、
できれば歌いたくない人。
でも、彼にとっては歌が仕事だから
「イヤだけど一生懸命やります」って言うんです。
そして歌はもう、とんでもなく上手い。
亮君:
(笑)
糸井:
で、もうひとりは矢沢永吉という人。
この人はいまでも
じぶんのコンサート映像を見ながら、
「ああ、矢沢、最高だよねぇ」って言う人。
すごく若いときにつくった曲でも
「この曲、やっぱ最高だね」とか言っちゃう。
本気でそう思ってるし、
じぶんの歌に本気でうっとりしています。
亮君:
両極端なふたりですね(笑)。
糸井:
うん(笑)。
そんなふたりを側で見ていると、
両方ともたいへんなところはあるけど、
なんか、ふたりともそこに至るまでに、
いろんな道を歩いてきたんだなあ、と思うんです。
だから、ふたりを見ていると、
道の途中を歩いているようなときって、
なんだっていいのかなあって。

ぼく自身も仕事だっていって、
がんばることはしてこなかったタイプです。
だけど、どこかで事故が起きちゃいけない
みたいなことを含めると、
「仕事」という概念を入れていかないと、
やっぱり守れないものが出てくるんです。
チームプレーになってくると、
乗組員の家族のことまで、
ぼくのところに関わってくるわけだから。
だから、そこは引き受けなきゃなって思う。

その一方で、ぼく個人の良さが
なくなってしまっては意味がないわけで。
亮君:
ああ、ちょっとわかります。
いま、ぼくらのバンドって、
ライブでのチケット代だけじゃなくて、
じぶんたちでつくるグッズも
けっこうな収入源になっています。
みなさんがいっぱい買ってくれるから、
それもすぐに売り切れちゃう。
それってすごくありがたいことなんですが、
一方で「俺らは服屋じゃねんだよ!」
という気持ちもあって。
糸井:
うん。
亮君:
グッズはあくまで
ライブを見てくれた人へのお土産だから、
もしそれに本気を出しちゃったら、
ロックバンドはかっこ悪いと思うんです。

だから、まわりから
「こんなに売れるならもっとつくれば?」
って言われるんだけど、
かたくなにぼくが断っているんです。
もしそれでいっぱい儲かったら、
ぼくが金勘定をはじめちゃいそうで。
糸井:
それはぼくもそうでしたよ。
つまり、金勘定すれば
それはそれで得意だと思うから、
そっちに真剣になっちゃたら、
じぶんの力の使い道をまちがえる気がしたんです。
だから、金勘定はずっとしてなかったんだけど、
チームでやるようになってからは、
そんなこともやらなくていいようになったんです。

それこそ永ちゃんだって、
タオルが何億円も売れてるからこそ、
じぶんたち専用のスタジオが持てるわけで。

グッズをたくさんつくりたくない理由が
「次をつくりたいから」だったらわかるけど、
「それが仕事になるのがイヤ」という理由だったら、
そのTシャツ部門のことは、
一回だれかに任せてみてもいいんじゃないかな。
それは、じぶんが好き勝手言うためにもね。
亮君:
うーん、なるほど‥‥。
糸井:
ぼくもこんなえらそうに言ってますが、
チームでやることを考えはじめたのって、
ずいぶん歳を取ってからなんです。
ある意味、ひとりで決められるというのは、
いちばんたのしいことでもあったし、
命知らずって言われて
うれしい時代もあるじゃないですか。

でも、命知らずっていうのは、
じぶんの命だけじゃなくて、
他人の命も粗末にするってことだから、
それはやっぱりダメだと思う。
やりたいことがちょっとずつ変わっていくように、
そうやってぼくの中の考え方も、
すこしずつ変化していったんだと思います。

(つづきます)

ケニーさんからのお知らせ!
2019年1月4日(金)
『WRESTLE KINGDOM
13 in 東京ドーム』
ケニー・オメガ選手と
棚橋弘至選手が激突!
新日本プロレス最大のイベント、
通称「1.4(イッテンヨン)」。
今年のイッテンヨンには、
王者・ケニー選手と挑戦者・棚橋選手との
タイトルマッチが組まれています。
この試合、お互いのプロレス観のちがいを主張する
「両者のイデオロギー闘争」とも呼ばれていて、
今後の新日本プロレスの未来を決める
大注目の一戦なんだとか。
ケニーさん、がんばってください! 
くわしくは特設サイトからどうぞ。
マキシマムザ亮君からのお知らせ!
マキシマム ザ ホルモンの最新作
『これからの麺カタコッテリの
話をしよう』、
好評発売中!
新曲CDとマンガ一冊がセットになった
マキシマム ザ ホルモンの最新作が発売中です。
すでに17万部を突破しており、
12月10日付のオリコン週間BOOKランキング
「コミック・エッセイジャンル」で1位を獲得! 
さらに総合BOOKランキングでも堂々の2位! 
収録されているマンガ
『マキシマムザ亮君の必殺!!アウトサイダー広告代理人』は、
マキシマムザ亮君が監修・脚本を手がけています。
購入特典も4つ付いて、お得感もメガテンコ盛り! 
お買い求めは、全国の書店か大型CDショップまで! 
くわしくは特設サイトからどうぞ。
ほぼ日からのお知らせ!
「WILD MOTHER PARTY」
開催記念Tシャツ、
30名様にプレゼント!
本企画の実現にあわせて
「それぞれのファンにプレゼントしたいから」
「単純にじぶんたちが欲しいから」
という理由で特別に制作した、
ケニー・オメガさん、マキシマムザ亮君、
『MOTHER』のロゴ入り記念Tシャツを、
30名様にプレゼントします! 
S、M、Lを各10枚ずつ、計30枚ご用意しました。
本編でケニーさんやセコンド陣が着ていたものと
まったく同じデザインですよ。

エントリーは1人1回まで。
応募者多数のときは、抽選とさせていただきます。

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たくさんのご応募ありがとうございました。

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