「Why Camp?」を考えながら、
					キャンプに行ってきた。
					石川直樹、小杉敬、KIKI、こいしゆうか、
					そして、ほぼ日キャンプチーム
					With唐突描き下ろし
					和田ラヂヲのWHY CAMP?

キャンプの広さと深さ。
					KIKIさんと
					こいしゆうかさんのキャンプ談義

キャンプのことを知れば知るほど、
わかればわかるほど、
そこには簡単な答えがないことがわかる。

「どうしてキャンプをするんだろう?」

それについての答えも人によってさまざま。
キャンプについてのお話をうかがうことと、
純粋にキャンプをすることの両方を目的に、
五光牧場オートキャンプ場へ行ってきました。

そして、それぞれにテントで一泊した翌日、
KIKIさんと、こいしゆうかさんに、
キャンプについて話してもらいました。

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第3回ほんとは嫌いじゃない

こいし
キャンプの講習会をしていると
「どうやって荷物を減らせばいいんですか?」って、
よく質問されるんです。
私は、ちいさなバックパックを持って、
「島キャンプ」をやったりするのが好きだから
荷物を最小限にするのは自然にやってるんですが、
ふだん、車で荷物を運ぶオートキャンプしか
やってない人にはなかなか難しいみたいで。
KIKI
オートキャンプから入ると、そうかも。
でも、逆も難しいですよ。
私は登山からはじめてキャンプに流れていったから、
ひと通り山でキャンプするための道具があるなかで、
何をどう増やしていくべきなのかわからなくて。
こいし
なるほど、たしかに。
シンプルに削ぎ落とされたところから
増やしていくのは難しいかもしれませんね。
KIKI
そうなんです。
で、今回は来る直前に、
勢いでコットを買ってしまった(笑)。
こいし
テントのスペースが余っていると
そこに何か置きたくなったりするんですよね。
KIKIさんのテントって、何人用ですか?
KIKI
いちおう2人用なんですけど、
夫婦と、子どもひとりの3人で寝ていますね。
あと、リビングスペースには
柴犬も入れてます(笑)。
こいし
でも、テントに最低限のものがあって、
そこで寝るだけっていうのは、
北欧とかのスタイルに近いのかもしれない。
フィンランドとかスコットランドとか、
みんなテント周りは最小限の装備で、
タープなんかも張らないし、
天気がよかったら子どもと大人がそのへんに座って、
椅子もテーブルもない状態で
ピクニックしてますから。
KIKI
そうなんですね。
こいし
焚き火なんかもそれぞれでやらないですから。
ファイアピットみたいなところがあって、
そこが共有されてて、みんなそこで
煮炊きするみたいな感じで。
だから、交流は自然と生まれるんですよね。
KIKI
いいですね。
こいし
それぞれの場所で焚き火もして料理もする
日本のキャンプって、かなり独特なんですよ。
だって、私、友だちと3人でキャンプしたとき、
3人全員が自前の焚き火台持って来てた(笑)。
──
(笑)
こいし
海外じゃあり得ない(笑)。
もちろん、そういうことが日本独自の
キャンプのたのしさでもあるんですけど。 
おもしろいのが、台湾とか韓国とか、
アジア圏はわりとキャンプの文化が近いんです。
ヨーロッパのキャンプとはぜんぜん違う。
KIKI
キャンプだけじゃなく、
生活の文化が関係してるのかもしれないですね。
そもそも家に暖炉があるっていうだけで、
そういうスタイルって変わってくるような。
こいし
あー、そうかもしれないですね。
KIKI
日本の人たちはやっぱり、
外でも、自分固有のスペースをつくりたい、
っていう気持ちが強いような気がします。
こいし
自分のスペースに一通りそろえたい、
っていうふうになるんですよね。
だからやっぱり荷物も増える。
──
先日、こいしさんにインタビューしたとき、
「キャンプに行くまでがめんどくさい」
という話をされていたんですが、
KIKIさんはめんどくささって感じますか?
KIKI
そうですねえ‥‥。
わたしは、家ではいつも
「めんどくさい、疲れた」って言ってますけども。
こいし
(笑)
KIKI
山やキャンプに行く準備も、
本音を言えばめんどくさいです。
でも、たのしいからやってるんですよね。
いま、東京と逗子の二拠点生活をしていて、
週末は逗子に行くんですけど
その度に冷蔵庫の中身を持ち運ぶんです。
それがすごくたいへんで、
「なんで毎週末こんな
たいへんな思いしてやってんだろう」
ってブツブツ文句言いながらやってるんですけど、
ほんとは嫌いじゃないんですよ(笑)。
こいし
ああー(笑)。
いいですね、ほんとは嫌いじゃない。
KIKI
だから、キャンプの準備ってたいへんだし、
普段やらなくてもいいことなんだけど、
やっぱりそういうめんどくささが
たのしいんですよ。
日常の街での生活って便利すぎて、
そういう感覚って味わえないじゃないですか。
こいし
そうですね。
すごくわかります。
──
ちなみに、こいしさんの
「行くまでがめんどくさい」は、
どのへんまでがめんどうなのですか?
こいし
わたしがめんどくさいと感じるのは、
「東京から出るとき」なんです。
なんていうか、東京って
壁みたいな何かに囲まれているんですよね。
だから「えいっ!」と、ちょっとがんばって
抜け出さなきゃダメなんです。
でも、今回は天気もよかったし、
家を出るときからたのしかったですよ。
(つづきます)

キャンプ場であれこれ思った
							ほぼ日キャンプチーム
							今日の雑感コーナー

なんか、キャンプに行くといろいろ思いますよね。
ほぼ日キャンプチームも、あれこれ思うし、
誰かに話したくもなるし、写真も撮ったりするので、
そういうのを載せておくことにしました。
みんなで書くよ。外部スタッフも書くよ。
いっしょにキャンプしたらチームだからね。

テントに羽化したばかりのセミ。
							今日の担当:石渡(動画撮影・運転)

「キャンプの対談企画があるんですが興味あります?」
ほぼ日の志田さんからお誘い頂き今回の撮影に参加した。
普段ミュージックビデオやwebCMなどの撮影が多い私に
趣味であるキャンプの撮影?
「是非」と即答した。

頻繁に行けるわけではないが、
30歳を少し過ぎた頃から趣味としてキャンプを始めた。
パソコンばかり使って仕事している日常から、
自然の中で火を起こしたり道具を使う事で、
少しばかり人間らしさを取り戻しているのかもしれない。

普段は気の合う友達や仲間たちと行うキャンプだが
今回は仕事で初めましての方が多い中の、
しかもZANE ARTSの小杉敬さんもご一緒ということだから
緊張の方が大きかった。

きれいに晴れた当日の「五光牧場オートキャンプ場」は、
平日ということもあってほぼ貸切。
八ヶ岳を望む広いサイトの中で
みんな思い思いの場所にテントを張っていく。
それぞれの個性が見えるテントやキャンプギアを見ていると
また家で夜な夜な通販サイトを覗く欲が高まってきてしまう。

対談撮影を終え、
日が暮れてみんなで焚き火を囲み食事をしながら
キャンプやアウトドアの話をかわす。
普段とは違う方々の考えを聞くのも、
私にとってはとても心地の良いものだった。

翌朝は6時頃に目が覚めた。
昨日に続きよく晴れて空気が澄んでいた。
朝の対談撮影を終え片付けをしていると
テントに羽化したばかりの小さなセミが。
こんな時期に珍しいなと思い調べてみると、
「ハルゼミ」という
4月末から6月にかけて生息する種らしい。

この年齢になってもこうして新しい発見があるのが
キャンプを続けたくなる要因の一つなのかもしれない。
この記事が出てる頃には
アブラゼミが鳴く中キャンプできてたら良いなぁ。
2023-08-30(wed)

STAFF

編集 : 金沢 俊吾
動画撮影 : 石渡 樹
撮影協力 : 植田 慧祐