ほぼ日刊イトイ新聞
その11 INDIVIDUALIZED SHIRTS/ERICK HUNTER 古き良きアメリカのテイストを。

昨年はじめて「白いシャツをめぐる旅。」に登場した
アメリカのシャツメーカー、
INDIVIDUALIZED SHIRTS
(インディビジュアライズド シャツ)。

きれいに台衿が立ち上がるボタンダウン、
強靭なレジン素材のボタン、
胸ポケットやトラディショナルな剣ボロの仕様、
ドレスシャツ由来のみじかめのヨーク、
丁寧に細巻き縫いをすることで、
丈夫、かつ、うつくしく仕上がる脇の縫い目。
マンハッタンの対岸、
ニュージャージーのパースアンボイという町で
つくられている、
もともとはメンズウェアのこのシャツを、
女性が着られるようにリ・デザインしたところ、
「マニッシュだけどかわいいシャツ」と
人気をあつめました。

ことしはさらに女性にぐっと寄せたデザインとパターンで、
「メンズシャツメーカーに、レディスウェアを別注する」
というスタイルでの展開です。
もちろん、技術や素材のいいところは、そのままに、
「より着やすく」「もっとかわいく」なりました。
しかも、かねてからのビッグシルエットの流れで、
レディスといってもつくりはかなり大きめ。
だから男性も着られます。
「メンズシャツをレディス仕様にしたものだけど
ぜひ男性もどうぞ」って、
‥‥って、ちょっとふしぎな紹介ですよね。

神宮前のショップに取材に訪れたこの日、
なんと、アメリカから、
INDIVIDUALIZED SHIRTSの社長である
James Heiserさんが来日中。
こんな機会はめったにない!
「ぜひお話をうかがわせてください」と、
急きょインタビューをすることになりました。

Jamesさん、こんなふうに
メンズのものをあえて女性が着るということって、
どう思われますか。
アメリカではあんまり、ないことなのかなと思いますが。

「こういうふうにひとつのアイテムにフォーカスして、
大きく展開することは、
アメリカでは、すごく珍しいです。
もちろん女性がご自身のサイズで
メンズシャツをオーダーをしてくださって、
それを気に入ってくださって、
ということはあるのですけれど。
でもお話を聞いていて、これはいいなって思いました。
なぜかっていうと、
アメリカの場合は、ファッションの世界も
すごく急いでどんどん先に進もうとする。
こんなふうに、落ち着いて単体を見て、
このディテールがどうだねとか、
ここがいいね、みたいに考えたり、紹介することって、
アメリカではほとんどしないから、
ほぼ日のみなさんがなさっていることは
とっても日本的だと感じます」

ありがとうございます。
Jamesさんから見て、そういう日本の女性たちって
どういうふうに映ってるんですか。
INDIVIDUALIZED SHIRTSを着たいという女性たち、
アメリカよりも多いんじゃないかと思うんですけど。

「もちろんみんなに着てほしいですよ!
日本の女性の方がファッションに敏感で、
こういったものが欲しいという明確な意思がある。
それが逆にアメリカにもいい影響を与えていて、
例えばこういうシャツを作って、アメリカで紹介したら、
きっとアメリカ人女性たちも欲しいと思ってくれるはず。
とくにファッション業界の女性たちはすっと受け入れる。
なかなかむずかしいのは、
ビジネスウーマンとして堅い企業で働いているひとは、
細身でスタイリッシュなものを選ぶだろうということ。
でも、アメリカではとくに
女性のファッションが男性に影響を与えるので、
INDIVIDUALIZED SHIRTSを女性が着ていたら、
男性も続いてフォローすると思います」

うんと大きなオーバーサイズシャツ。

今回のシャツづくりは、
日本側とJamesさんたちとで
話をしながら進めていったそう。
広報の柳さんはこう語ります。

「INDIVIDUALIZED SHIRTSの日本での展開で
ベースにしてるのは、
スタンダードフィットというものと、
クラシックフィット、
つまりわりとゆったりしているかたちです。
クラシックフィットはインディビの創業である
1961年からあるんですね。
当時からあるフィッティングバランスというか、
ネックに対してこれぐらいの身幅で設定するだとか、
そういう決まりがあります。
ただ、日本のファッション業界の年長の方たちと話をすると
入ってきた当時のアメリカのシャツって、
日本人にはサイズが合わない大きいものだったそうです。
それが、いまのビッグシルエットの流れに合うので、
その入って来た頃のものを表現できないかな、
と考えました。
今回のアレンジは、それをさらにレディース向けにと、
袖丈を変えています。
通常よりも8センチほど短くなっています」

つまり、カフスの仕様はメンズシャツのままで、
けっこう「大きな」しっかりしたつくり。
でも袖丈が短いので、バランスとしては、
カフスが大きく見えて、
それが「かわいらしさ」になっている。
身幅は大きいので、
女性が着るときには、ボタンを2個くらい開けて、
ちょっと後ろに抜いて、
袖をくしゅくしゅっとして着るとか、
もしくは、袖を留めると、袖の太さゆえ、
フワッと(ちょっとパフスリーブ的に)なる、
そんな着方も楽しんでもらえそう。
もちろんボタンを全部閉めて、
ほんとにメンズシャツのようにピシッとそのまま
シンプルに着ても面白い。

素材はケンブリッジオックスフォード、
夏場に来ても暑すぎず、透けすぎない、
ちょうどいい質感をえらびました。

開襟のボタンダウン。(キャンプシャツ)

もう1着、ちょっとめずらしいシャツがならびます。
こちらは「開襟のボタンダウンシャツ」。
これ、日本から「つくってみてください」と
6、7年前からリクエストをしていたものが、
やっとかたちになったんだそうです。

Jamesさんは語ります。

「なぜそんなに時間がかかったかというと、
製造工程にいろいろ問題があるからなんです。
台襟がない開襟シャツは、
通常のシャツとはパターンも縫い方も違う。
つくるのが非常に難しいんです。
しかも手作業の部分が多いので、
弊社に縫製の職人は225人いますが、
そのなかで開襟シャツがつくれる職人は
ほんの少ししかいません。
じゃあなぜできたのか‥‥というと、
これはもう、日本側の熱意に負けた(笑)」

わあ、ありがとうございます。
柳さんによると、前任者の時代から、
こういうちょっと古着テイストなかたちのシャツを
ぜひつくりたいと考えていたのだそうです。
丈がみじかくて、スリットが入っていて、
ボックスシルエット。
1950年代後半から60年代にかけて
流行したかたちをモチーフにしています。
台襟があるシャツって「かっちり」した印象ですが、
それのない開襟シャツは、ちょっとリラックス感があり、
なおかつボタンダウンゆえのトラディショナル感もある。
かなり不思議なシャツなんです。

「これはね、ぼくらアメリカ人からすると、
とってもヘミングウェイ的なスタイルに見えるんです。
サイズがあえば、男性にも着てほしいな」

なるほど! あのリラックス感ですね。
素材は前出のオーバーサイズシャツと同じ、
ケンブリッジオックスフォード。
ポケットはふたつ、背中には広いタック、
これは「ショルダープリーツ」という
ふるいキャンプシャツの仕様を踏襲しています。
このまま着るのはもちろん、羽織ってもいいし、
襟のボタンを外してきちんと開襟のかたちにプレスして
着ても、ずいぶんと表情がかわりますよ。

「そのときは、リネンやシルクの
スカーフを巻いてもいいですね」

とJamesさん。
ちなみにJamesさんはアメリカの東海岸、
ニューアークの出身で、
小さい頃、おじいさんやおとうさんが、
Jamesさんをきちんとドレスアップさせてくれた
写真があるそうです。
一家は全員が「きちんと」系のおしゃれ。
そんな思い出が、いまの仕事につながっているんですって。
じゃあこんなふうに、
古着や古いパターンがモチーフのシャツは、
かなり、なつかしく思えるのでしょうね。
Jamesさん、ありがとうございました!

エリック・ハンターのパンツも。

さて、今回は、INDIVIDUALIZED SHIRTSの
神宮前のお店でも扱っている、
ERICK HUNTER(エリック ハンター)という
アメリカのメーカーのパンツも仕入れました。
ここは1979年にフロリダで創業した会社で、
アメリカでは「カジュアルなイージーパンツ」の
メーカーとして名前を知られています。

「こういうアイテムって、
またINDIVIDUALIZED SHIRTSとは違う
アメリカのトラディショナルというか、
クラシックなアメリカの匂いを感じるアイテムだと
思うんです」

と柳さん。

ウエストがゴムで、
両脇とヒップの片側にパッチポケットのある
イージーでラフなアメリカ製ならではの
履きごこちをいかしつつ、
「きれいなかたちで」提供すべく、
あえて日本の工場で縫製。
パターンはほどよくおしゃれで
シャツやジャケットも合うテーパードにし、
さらにセンタープリーツ風のステッチを入れるという
カスタマイズをほどこしました。
サイズはSML、
基本レディスですが、
かなりたっぷりしているので、
体型によりますが、男性も着用可能。
小柄な女性が大きめをはくのもかわいいですよ。
足元はスニーカーでも、きれいめな革靴でも!

Jamesさん、柳さん、
どうもありがとうございました!


(さて次回は、
グランマ ママ ドーターのシャツを紹介します!)

2019-04-07-SUN

INFORMATION

「ほぼ日ストア」ページで
ことしのコレクションを紹介するのが4/12(金)、
「ほぼ日ストア」と伊勢丹新宿店、
三越伊勢丹オンラインストアでの販売スタートは
4/24(水)からとなります。

また、ことしはジェイアール京都伊勢丹でも
販売を予定されています。
くわしくは、各店舗にお問い合わせください。

どうぞおたのしみに!

■ほぼ日ストア 「白いシャツをめぐる旅。」
2019年4月24日(水)午前11時より数量限定販売

■三越伊勢丹キャラバン
 「白いシャツをめぐる旅。-見惚れシャツ―」

・2019年4月24日(水)-4月30日(火)
 伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4

・2019年4月24日(水)-5月21日(火)
 三越伊勢丹オンラインストア

・2019年5月8日(水)-5月21日(火)
 ジェイアール京都伊勢丹 5階=スタンダード&モダン SPOT

■伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4では、
ほぼ日ストアでのラインナップと合わせて、
さまざまな「白シャツ」をご紹介します。
白シャツと合わせるチノパンや、カットソー、
肌着、バッグ、アクセサリーをはじめ、
「自分だけの特別な一枚」に出会えるシャツの
カスタムオーダー会も実施いたします。

※くわしくは、こちらをごらんください

・BRAND
※一部、お取扱いのない店舗がございます。

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