ほぼ日刊イトイ新聞
その5 Scye デザインだけじゃなく、機能だけじゃなく。

クラフツマンシップ。そしてマスターピース。
「Scye(サイ)」の服を見ていると、
そんな言葉が浮かんできます。

英国式のテーラリングを基本に、
ひとのからだの構造や動き方にのっとった
独自のパターンやカッティング、
吟味された素材、
クラシックでもありモダンでもあり、
どんな細部のつくりにも「理由がある」、
Scyeは、そんな服づくりをしている日本のブランドです。

‥‥と、そんなふうに書いてしまうとまるで
「むずかしい服」なのではないかと思われそうですが、
そんなことはありません。
Scyeの服って、ぱっと見てひと目でわかる
魅力にあふれているんです。

Scyeを主宰しているのは、
デザイナーの日高久代さんと
パタンナーの宮原秀晃さんのふたり。

この日は、千駄ヶ谷にある直営路面店
「サイ マーカンタイル(Scye Mercantile)」で、
営業の保坂譲さんと、プレス担当の山田貴子さんに
お話をうかがいました。

10年以上、愛されてきたかたち。

「白いシャツをめぐる旅。2019」で扱うタックシャツは、
もう10年以上、素材や色、
かたち(袖や丈の長さなど)を変えて
Scyeが発表しつづけてきたものです。
キャップショルダーの切り替え位置から、
等間隔に取ったおよそ160本のタックが流れ、
ボリュームのあるシルエットを見せるこのシャツ。
タックをつまむ作業はすべて人の手によるもので、
「1回倒したタックを、
反対側にもう1回ねじってから
ステッチをかける」という、
おそろしく手間のかかる工程を経てつくられています。
1本のタックを1ミリ間違えたら、
身頃をぐるり回すとたいへんな寸法の違いになる。
とても繊細な仕事が求められます。

「Scyeはメイド・イン・ジャパンをモットーに
ものづくりをしているので、
このシャツも国内で縫製しています。
高齢化にともない、いい職人さんが減っているので、
いま、このシャツがつくれるのは
国内に多く存在していません。」

日高さんが描いたデザイン画をもとに、
宮原さんがパターンを起こし、
細部についてはじっさいに縫製をして確認、
徐々に全体をととのえていく、というのが
Scyeの服づくり。
デザインと機能性が表裏一体であることが大事で、
「デザインだけがいい」ことはありませんし、
「機能的」なだけのつくりでもなく、
それが両立していることが求められます。
(だから、かっこいいうえに、着心地がよいのですね。)

服の素材と共布のくるみボタン、
襟は自然な感じの
バンドカラーでカジュアル。
かと思いきや、芯を入れた、メンズライクで
しっかりとしたカフスがついているなど、
要所要所にテーラリングの技術が生きていることが、
Scyeの服を「甘すぎない」テイストに仕上げています。

Scyeのファンは、実に幅広いそう。
プレス担当の山田さんは言います。

「お客様の幅は、とても広いですよ。
また、Scyeをとりあげてくださる雑誌も、
どの年齢層、どのジャンルと言えないくらいです。
あえて言うなら若いかたよりも、
歳を重ねて、よいものが着たいと思うかたに
支持をいただいているかなと感じます」

タックが多いということは、それを拡げると
かなりの長さの生地を使っているということ。
「じつはこのシャツ、
乳児のいるお母さんにも人気があるんですよ。
子どもごと、ふわっとかくれちゃうくらいの生地分量なので」

新作のチノパンも!

ベーシックなアイテムもまた、
Scyeの得意とするところ。
彼らのつくるチノパンは、ショップでは、
ノータック、ワンタック、ツータックが選べるという
充実したラインナップとなっています。
「白いシャツをめぐる旅。2019」で扱うのは、
新作のチノパンです。

「ストレートの、非常にベーシックな、
ワークパンツのディテールを取り入れたチノパンです」

素材は、ややムラ感と光沢感のあるサンホアキンチノ(綿)。
この生地もScyeのオリジナルで、
その表情のうつくしいこと!
生地選び・生地づくりは、
デザイナーの日高さんが心を砕いている部分だそうです。

「日高はシンプルに生地を触りながら、
どういう形がマッチングするのかっていうのを考えます。
生地ありきでデザインが決まっていくんです。
素材作りから、ゼロからスタートしてるので、
実際に洋服ができるまでの時間はとてつもなく長く、
いろんな知恵や努力が入ってます」

それにしては価格が、求めやすい設定になっているなあ、
とぼく(書き手=武井です)は思いました。
安い、高いではなく、「買いやすい、適性価格」だなぁと。

「じつは、服ができあがると、
展示会の前に全社員で価格について話し、
みんなの意見を聞いて決定しています。
もちろん原価のことは考えますけれど、
原価が高いから、手間が、時間がかかったから
高い価格をつけるわけではなく、
このアイテムはこのくらいだったら買いやすい、という
買い手の感覚を大事にして決めているんです」

Scyeの人気のひみつが、
またひとつわかったような気がしました。
保坂さん、山田さん、ありがとうございました。

(次回はSTAMP AND DIARYの紹介です!)

2019-04-01-MON

INFORMATION

「ほぼ日ストア」ページで
ことしのコレクションを紹介するのが4/12(金)、
「ほぼ日ストア」と伊勢丹新宿店、
三越伊勢丹オンラインストアでの販売スタートは
4/24(水)からとなります。

また、ことしはジェイアール京都伊勢丹でも
販売を予定されています。
くわしくは、各店舗にお問い合わせください。

どうぞおたのしみに!

■ほぼ日ストア 「白いシャツをめぐる旅。」
2019年4月24日(水)午前11時より数量限定販売

■三越伊勢丹キャラバン
 「白いシャツをめぐる旅。-見惚れシャツ―」

・2019年4月24日(水)-4月30日(火)
 伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4

・2019年4月24日(水)-5月21日(火)
 三越伊勢丹オンラインストア

・2019年5月8日(水)-5月21日(火)
 ジェイアール京都伊勢丹 5階=スタンダード&モダン SPOT

■伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4では、
ほぼ日ストアでのラインナップと合わせて、
さまざまな「白シャツ」をご紹介します。
白シャツと合わせるチノパンや、カットソー、
肌着、バッグ、アクセサリーをはじめ、
「自分だけの特別な一枚」に出会えるシャツの
カスタムオーダー会も実施いたします。

※くわしくは、こちらをごらんください

・BRAND
※一部、お取扱いのない店舗がございます。

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