ほぼ日刊イトイ新聞
その3 Ataraxia 細部まで丁寧に、こまやかに。

わぁ、成田加世子さん、お久しぶりです。
「白いシャツをめぐる旅。」で
今年もこうしてお目にかかれて、とてもうれしいです。

大人の女性のために、手をかけてつくる、
上質で、スーパー・シンプルな日常着──。
Ataraxia(アタラクシア)は、デザイナーの成田さんが、
2016年の秋冬に立ち上げたブランドです。
そこから3年、年に2回、
ちいさなコレクションを発表しながら、
すこしずつ、ファンをふやしてきました。

成田さん、「ひとりで」始めたとおっしゃっていましたが、
いまも、ひとりでなさっているんですか?

「そうなんです。何もかもひとりでやっています。
企業のブランドディレクションや
イメージ提案の仕事もしながら、
Ataraxiaのことは、完全にひとりで切り盛りしています。
生地開発、デザインから、生産管理、
営業まで、すべてなんですよ」

最初はできなかったことが、
3年運営をするなかでできるようになったことも
すこしずつ増えているのだそう。
「たとえば、地方で工房を構える
良い技術をもった工房に
ぜひ製作をお願いしたいと思っても、
立ち上げた当初の私は、未熟だったこともありますし、
そこに繋げる伝手もなかったんですね。
けれどもこうして続けてきたなかで
だんだんと人の輪もひろがってきて、
『シャツなら東北のあの工房さんに』
『デニムはやっぱり西で』ということが
できるようになってきました」

もともと最高の生地を使うことと、
縫製技術の高い工場にお願いをすることを
守ってきたAtaraxiaですけれど、
いま、工房や職人さんとの信頼関係がいっそう強まって、
成田さんの考えるデザインが、よりはやく確実に
かたちになってきたといいます。

「そういうことができるようになったのは、
つないでくださったかたがたのおかげと、
ひとりだからこそのフットワークあってのことかな
と思っています。
もちろん。いずれ、アトリエを大きくして、
より多くの服をつくったり、
服飾デザインを学びたい学生のみなさんに教えたい、
若いデザイナーのみなさんに企画デザインを教えたい、
そんな夢もあるのですけれど、
いまは、まだ、自分のできる範囲のことを、
ひとりで続けようと思っています。」

テーマはまさしく「白」!

さて、そんな成田さんのAtaraxia、
今季のコレクションのテーマは
まさしく「WHITE」です。

「わたしにとって白という色は、
『凛とした』とか『いさぎよさ』、
『すがすがしさ』などのことばにちかく、
そこを目指してすすみたいという色なんです。
もしかしたらその先には輝く白、
パールのような白や、ダイヤモンドのような輝きも
あるかもしれない。そんなイメージなんですよ」

なるほど! そして具体的な「白」にも
いろいろな種類がありますね。

「そうなんです。白いシャツをお好きな方って、
ホントに漂白された白がお好きな方もいらっしゃれば、
もうちょっと生成りがいいとか、
青いぐらいのシャツが好きな人もいます。
今回『白いシャツをめぐる旅。』で紹介いただく
Ataraxiaのバックボタンオックスフォードシャツは、
肌うつりがちょうどいい、
オーガニックコットンの白を使っています」

この素材は、オックスフォード。
でも一般的に「オックスフォード」というときに
イメージするような厚みはなく、
遠めにはオックスフォードとは思えない、
細番手を使ったやわらかい生地です。
女性が着た時にしっくりする薄手の素材。
糸のケバを焼いてきれいに整えているので、
そこはかとない光沢が感じられ、
肌ばなれもよく、さらりとした着心地です。
なのに、すごく「きちんと」した感じが!

「そうなんです。私のシャツは、身頃はやわらかく、
けれども襟周りとかカフスはパシッと、きちんと。
それが自分の信条としてあるので、
そんなふうにデザインをしています」

かたちは、ペイザンヌ。
フランス料理のことばで「田舎風」という意味だそう。

「フランスの農家の人たちが、日曜日にきちんとして
教会に行くときや、仲間のおうちにお呼ばれしたとき
着て行くイメージのシャツです」

フロントにスターチドボザム(糊付けした胸の飾り)風の
デザイン、その前端にベロのようなタブをつけています。
襟はバンドカラー。
立ったバンドではなく、台襟が寝たバンドですから、
権威的ではなく。やさしくナチュラルなイメージ。
右後ろだけに小さな襟がついているのが
デザインのポイントになっています。

見た目はスキッパーなのですけれど、
じつは後ろが全開するので、
前後を逆にして羽織ることもできます。

「アームホールのかたちは、
ふつうのシャツは前にふれるように
前後差をたっぷりとるんですが、
このシャツは、前後ろを逆に着られるように、
その差寸をできるだけ少なくしています。
袖口は、ゆるくとめたい場合と、
きゅっととめたい場合とで変えられるように、
アジャストボタンにしています」

コーディネートは、チノパンでもデニムでも、
テーパードでもワイドでも。
今回は、シャツといっしょに、
Ataraxiaのデニムスカートも紹介することにしました。

「昨年たいへん好評だったチノ素材のラップスカートを、
デニムでもつくってみました。
丈は少しだけ長く、少しだけヒップ寸法が小さいですが、
サイズはS、M、L、LLと調整ができます」

下前にあおりどめのタブ、
両脇にスリット。
後ろはベルトになっています。

「岡山の児島でつくられた、10.5オンスのデニムです。
色が移染しづらく、落ちづらいデニムで、
製品洗いをかけています。
シャツと合わせるときは、インして着ていただくのが
おすすめですよ」

ふう、情報がいっぱい!
Ataraxiaって、着るほどに好きになるといわれる理由は、
デザインのうつくしさや素材のよさだけじゃなく、
こんなふうに素材からディテールまで
成田さんがこまやかに設計しているところに、
きっと、あるのだと思います。
成田さん、ありがとうございました!

(明日は「ハンドルーム」のシャツをご紹介します。)

2019-03-30-SAT

INFORMATION

「ほぼ日ストア」ページで
ことしのコレクションを紹介するのが4/12(金)、
「ほぼ日ストア」と伊勢丹新宿店、
三越伊勢丹オンラインストアでの販売スタートは
4/24(水)からとなります。

また、ことしはジェイアール京都伊勢丹でも
販売を予定されています。
くわしくは、各店舗にお問い合わせください。

どうぞおたのしみに!

■ほぼ日ストア 「白いシャツをめぐる旅。」
2019年4月24日(水)午前11時より数量限定販売

■三越伊勢丹キャラバン
 「白いシャツをめぐる旅。-見惚れシャツ―」

・2019年4月24日(水)-4月30日(火)
 伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4

・2019年4月24日(水)-5月21日(火)
 三越伊勢丹オンラインストア

・2019年5月8日(水)-5月21日(火)
 ジェイアール京都伊勢丹 5階=スタンダード&モダン SPOT

■伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4では、
ほぼ日ストアでのラインナップと合わせて、
さまざまな「白シャツ」をご紹介します。
白シャツと合わせるチノパンや、カットソー、
肌着、バッグ、アクセサリーをはじめ、
「自分だけの特別な一枚」に出会えるシャツの
カスタムオーダー会も実施いたします。

※くわしくは、こちらをごらんください

・BRAND
※一部、お取扱いのない店舗がございます。

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