ほぼ日刊イトイ新聞
アイリッシュ・リネンを、格好よく。James Mortimer

時代を切り取ってかたちにするデザイナーがいて、
そのブランドから、毎シーズン新作が発表され、
また次のシーズンにむけて、次の服をつくって‥‥。
ファッションの世界って、そんな在り方は、
ごく一般的なことだと思うのですけれど、
いっぽうで「ずっと変わらない服づくりを続けている」
チームもあります。
James Mortimer(ジェームス・モルティマー)は、
まさしくそんなファクトリーブランドのひとつです。

ここの服を日本に紹介しているのは、
創立20年になる「目利き」の「グラストンベリー」です。
英国をはじめヨーロッパのブランドを中心に、
アイテムの背景にある
各ブランドの歴史やストーリーとともに、
日本のマーケットに丁寧に伝え広げていくことを
心がけています。

彼らが設立当初に輸入したのは「Yarmo」(ヤーモ)という
英国生まれのワークウェア。これはいまも
グラストンベリーを代表するブランドになっています。
いち工場として、著名なブランドの靴を手がけてきた
Sanders(サンダース)もまた、
グラストンベリーが日本に紹介した靴メーカーです。
老舗の工場がもつ技術は、それ自体が大きな価値。
そのまま、まっすぐに紹介をすることで、
日本で、そして世界での価値をたかめてきました。

そんななかにあったのが、
今回ご紹介するJames Mortimerでした。

「創業1894年、アイルランド北部のドネガル地方、
バンナクラという町で創業した会社です。
シンプルに言えば『シャツ・ファクトリー』、
いろいろなブランドのシャツを手がける、
いわば下請けの工場なんですけれど、
実はロンドンのジャーミンストリートに居を構える、
そうそうたるブランドの
シャツの製造を請け負っているんです。
つまり、彼らには、
ハイブランドのものを作るだけの技術がある。
しかも親子三代にわたってそれを受け継いできました。
私たちは、
James Mortimerの確かな技術や品質の高さを
日本で紹介をしたい。そう考えたんです」

そう話してくださったのは、
グラストンベリー社の内田起久世さん。
James Mortimerの魅力を
たっぷり語っていただきました。

まずはアイリッシュ・リネンについて。

「James Mortimerの魅力は、まず、
アイリッシュ・リネンを使っているということです。
認証のレーベルがついていますが、
これは伝統的なアイリッシュリネンにだけ与えられるもの。
アイルランドで糸にして、織った、
独自の規格をクリアした生地のしるしで、
アイリッシュリネンのギルドが
正式に認めたメーカーにのみ出しているんですよ」

わあ、すごい。
その、アイリッシュリネンの特徴って
どういうものなんでしょう。

「イタリアのもの、フランスのものと比べると、
プルンプルンするような弾力を感じます。
私感ですが、この弾力は、
着用と洗濯を繰り返してもほとんど変わりません。
今の若い方が好きな、くしゃくしゃっとしたような
洗いざらしたやわらかなリネンの感じとは、またちがい、
ハリとツヤ感があるのが特徴だと思います」

シンプルな開襟シャツを、
レディスサイズで。

James Mortimerで今回紹介するシャツは、
基本的にアイルランドでつくられたかたち、そのままです。
もともとはメンズ仕様・メンズサイズでしたけれど、
今回「白いシャツをめぐる旅。2019」では
女性が着た時にちょうどいいサイズひとつに絞りました。
レディスのM相当ですが、
ちいさめではなく、ゆったりめ。
リラックス&コンフォートな感じの
たっぷりしたサイズ感です。
つまり「メンズシャツをちっちゃくした」のが
今回のJames Mortimerの開襟シャツです。

「うちは、他のブランドもそうですが、
メンズ仕様のものを、サイズだけをかえて
レディスとして紹介してきました。
いまでこそジェンダーレスという考え方が
ずいぶん広がっていますけれど、
創業当初の20年くらい前から、
メンズウェアを女性が着たらかっこいいんじゃない?
という提案をしてきたんですよ」

そんなに早くから!
当時は、メンズのものをそのまま着よう、という提案は、
かなり、冒険的なことだったんじゃないでしょうか。

「はい。自分たちが思うことを提案したんですけれど、
ちょうどセレクトショップがますます活気づいている頃で、
よそにないものを置きたい、
独自の視点で集めたものをすすめたい、
というバイヤーさんたちが、
その提案を支えてくれて、広がっていったんです。
なんでもそうですけれど、何かをねじ曲げて、
『これがきっと売れるぞ』なんてつくっても、
そういうものは、売れないものですよね。
だから、好きなものを提案するという
仕事のスタイルは変えず、今に至っています」

James Mortimerのプライド。

さて、このJames Mortimerならではの
具体的な特徴って何でしょう?

「英国のものって、とにかく丈夫でしょう?
このシャツも、やっぱり強度が高いんです。
こと、James Mortimerには、
ずっとむかしから使い続けている
シャツ専用のミシンがあり、
脇の部分は裏側がチェーンステッチになっているとか、
専門用語になりますが、
三つ巻きともフレンチシームとも違う、
独特な縫い方をしているのも特徴です。
それが丈夫さにもつながっています」

ほんとだ、よーく見ると、ボタンのつけ方も、
すごくしっかりしていますね!

「厚みのあるオリジナルのボタンを使っています。
ボタンつけの根本も、ここまで巻かなくても、
と思うくらいしっかり巻いていますよね」

職人魂を感じるなあ。
さすが「親子三代」の技ですね。
ちなみに、今回の開襟シャツは、
James Mortimerのなかでは
比較的あたらしいスタイルだそう。
ヨーロッパ全体では「半袖」があまり着られないなか、
このシャツがつくられるようになって、まだ2年目です。

内田さん、着方の提案はありますか?

「そうですね、ベーシックに、
きちんとボタンを留めて
きれいに着ていただくのが、まず、いいですよね。
袖が長めで、肘くらいまでありますが、
そのままの長さでもいいし、
クルクルっと巻いてもらってもかわいいです。
丈は短いので、1枚で着るだけじゃなく、
ワンピースの上に、前をあけて、
ちょっと羽織る程度で着てもらっても素敵ですよ。
まるでショートジャケットみたいに」

お洗濯したあとのアイロンはいかがですか?
かけ‥‥たほうがいいのかな?

「うーん、基本的には、
洗いざらしでいいんじゃないかと思います。
そのほうがリネンらしさがありますよね。
ただ、畳んでしまうと、畳みジワが入っちゃいますから、
それが麻の特徴でもあるんですけど、
一回すごく強く入ったシワっていうのは、
なかなか消えづらかったりする。
そこはスチームをあててもらうといいですよ。
あるいは霧吹きをあてて、吊るしておくとか」

内田さん、ありがとうございました。
じょうぶなアイリッシュ・リネンで、
こんなふうにつくりのよいものだったら、
カジュアルにたのしめるし、
「きちんと」着ることもできる。
とてもシンプルなだけに、着回しがたのしそうです。

さて! 今回からこの連載では、
1ブランドずつ「白いシャツ」を紹介していきます。
販売は、すこし先の4/24(水)。
それまでじっくり、おたのしみくださいね。

(明日は、Ataraxiaのシャツをご紹介します。)

2019-03-29-FRI

INFORMATION

「ほぼ日ストア」ページで
ことしのコレクションを紹介するのが4/12(金)、
「ほぼ日ストア」と伊勢丹新宿店、
三越伊勢丹オンラインストアでの販売スタートは
4/24(水)からとなります。

また、ことしはジェイアール京都伊勢丹でも
販売を予定されています。
くわしくは、各店舗にお問い合わせください。

どうぞおたのしみに!

■ほぼ日ストア 「白いシャツをめぐる旅。」
2019年4月24日(水)午前11時より数量限定販売

■三越伊勢丹キャラバン
 「白いシャツをめぐる旅。-見惚れシャツ―」

・2019年4月24日(水)-4月30日(火)
 伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4

・2019年4月24日(水)-5月21日(火)
 三越伊勢丹オンラインストア

・2019年5月8日(水)-5月21日(火)
 ジェイアール京都伊勢丹 5階=スタンダード&モダン SPOT

■伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4では、
ほぼ日ストアでのラインナップと合わせて、
さまざまな「白シャツ」をご紹介します。
白シャツと合わせるチノパンや、カットソー、
肌着、バッグ、アクセサリーをはじめ、
「自分だけの特別な一枚」に出会えるシャツの
カスタムオーダー会も実施いたします。

※くわしくは、こちらをごらんください

・BRAND
※一部、お取扱いのない店舗がございます。

James Mortimer
Ataraxia
HAND ROOM WOMEN'S
Scye
STAMP AND DIARY
yunahica
luxluft
GRANDMA MAMA DAUGHTER
MADISONBLUE
INDIVIDUALIZED SHIRTS
ERICK HUNTER
HITOYOSHI
nisica
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JAN MACHENHAUER
SOUTIENCOL
KENJI HIKINO
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AROMATIQUE | C A S U C A
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