ほぼ日刊イトイ新聞

この旅も、ことしで4年目。
「ほぼ日」と伊勢丹のみなさん、
シャツメーカーのHITOYOSHIのみなさん、
そして、白いシャツをつくっている
いろいろなブランドのかたがたといっしょに、
「いま、着たいシャツ」を探します。
ことしの取材を通して、
「いいシャツを買うってどういうことだろう」
「ながく着るってどんな意味があるんだろう」
そんなテーマにも、
すこしだけ触れられたような気がします。
また「なんとなく似合わないな」を解決する、
いいヒントも教わってきましたよ。
10回の連載、たっぷりおたのしみください!

その6
究極のシンプルさ、Ataraxia。

デザイナーの成田加世子さんが、
アラフィフになってから起業し、
いろいろな方々に助けてもらいながら
ひとりで運営をしているファッションブランド、
Ataraxia(アタラクシア)。
「白いシャツをめぐる旅。」では、
2017年からのおつきあい。
今回が2度目の登場となります。

(成田さんとAtaraxiaについて、
「ほぼ日」との出会いについては、
ぜひ前回のインタビューをぜひごらんください。)

前回はシャツ1型とパンツの入荷でしたけれど、
ぼくらの想像をはるかにこえた人気をあつめ、
あっという間に完売となりました。
今回は、前回とはちがうタイプのシャツと
パンツ、そしてスカート、合計3種類を取り扱います。

成田さんにお目にかかってきました。
あいかわらず元気いっぱいでパワフル!
成田さん、この1年、いかがでしたか?

「2016年の秋冬にブランドを立ち上げ、
いま4回目のコレクションになるんですが、
あらためて足元を見つめ直したい、
原点に立ち返りたいという気持ちが生まれました。
『何々系』だとか『何々年代風』
という区別を超えて、
あらゆる服を経験してきたからこそわかる、
究極のシンプルさ。
もちろんそこには手をかけた上質感と、
着心地のよさ、風が吹き抜けるかのようなクリーン感、
大人の抜け感‥‥そういったものが必要です。
そういった、“スーパーシンプル”というのかな、
それがAtaraxiaの基本であり、
パーマネントテーマだと思っているんです。

そのシンプルさを突き詰めていく過程では、
素材の選び方がとても重要になります。
フランスに通い、日本の生地も見て、
『こういうシャツをつくるなら、これ』
『こういうパンツをつくるなら、これ』というように、
かなり手間をかけ、意識して手を抜かないでやっています」

成田さんは、人との人との関係もシンプルであるべきで、
けれどもそのためにはコミュニケーションを省くのではなく、
むしろそこに時間を費やすようにしているそうです。
服づくりが、人生観そのもの。
あいかわらず成田さん、かっこいいです。
Ataraxiaの服って、単純であるとか、
そっけないではなくて、何て言うんだろう、
ほんとうにその人が芯の部分で大事にしてることとや、
生活に向きあう姿勢が
ちゃんと本音で見えてくる感じがします。

「Ataraxiaの服は、
シンプルに生きることを求める人のための服、
と言ってもいいかもしれないですね。
着た時にあきらかに雰囲気の出るシャツ、
着る人がさらに輝くシャツ。
それに、大人っぽいけれど元気な印象のある
パンツやスカートを合わせてもらう。
そんな服づくりをつづけているんです」

大人の女性のためのカシュクール。

そんな成田さんのつくるAtaraxiaからは、
シャツ1型、パンツ1型、スカートが1型、登場します。

▲Ataraxia カシュクールビックシャツ。

まずはカシュクールシャツ。
Ataraxiaでは「コットンビッグシャツ」と呼んでいる、
ボックス型のシャツですが、
カシュクールボタンを留めると、
裾がぽわんとたわむ、浅いカシュクールになります。

ビッグサイズですから、襟をすこし後ろに抜くと、
さっそうと町を楽しく着て歩くイメージに。
たっぷりとった背中の大きなタックが、
後ろ姿も、うつくしく見せてくれます。
襟は、少しだけ折って
(成田さんによると1.5センチだそう)、
ちょっと立てるようにしてから抜いて着てもOK。
フロントのみ、タックインしてもきれいですよ。

袖丈は長め、カフスも大きめにつくられていますが、
手首にジャストフィットさせるための
アジャストボタンがついていますので、
それを留めれば、ふんわりと分量感が。
(もちろん、袖まくりしてもいいですよ!)

このシャツ、成田さんのイメージは
「90年代のスーパーモデルたちが着ていた、
ビッグサイズの時代の気分」!
つくっていて、とても楽しかったシャツだそうです。

素材は英国王室御用達の生地メーカー、
トーマス・メイソンのポプリン(ブロード)です。
エジプトの超長綿、100番双糸で、
糸自体にツヤとしなやかさがあるため、
肌触りが、なんともいえない、
きもちのいいぬめり感。
密に織り上げていますから、
ハリもコシもあってしっかりした印象です。

ボトムスもAtaraxiaで。

はきやすく、らくちんなのに、うつくしいと評判の
Ataraxiaのボトムス。
今回はチノパンとチノスカートを仕入れました。

▲Ataraxia チノキャロットパンツ。

チノパンは、打ち込みのしっかりしている
コート素材の先染チノでつくった9分丈です。
コート素材ですからじょうぶで膝が出にくく、
ウエストから腰回りはあまり締めつけないよう、
たっぷりした(ややキャロット型の)印象ですが、
キリッとした感じになるように工夫されたデザイン。
前開きの「ドロスト(ドローストリング)」タイプで、
前ベルト部分はフラット、
後ろにゴムが入っていますので、
体型に左右されない着心地と、
穿いたときのきちんと感がたのしめますよ。
製品洗いをかけているので、
お洗濯で縮み過ぎるということはありません。

▲Ataraxia チノラップスカート。

もう1点は、スカート。
ラップ(巻き)タイプで、
シルエットはタイトな印象ですけれど、
ボタンが4つ(S、M、L、LL相当)ついていますし、
パンツと同じように、腰の後ろベルト部分が
ゴムになっていますから、とてもはき心地がよいのです。
ハイウエストで、ミモレ丈(ふくらはぎのあたりまで)。
下前に持ち出しタブをつけているので、
座ったときにはだけにくいのもうれしい工夫です。

素材はスーピマコットンの80番双糸で光沢があります。
こちらは製品洗いをかけていませんので、
ご家庭での洗濯で縦方向に1センチほど縮みます。
横にストレッチが入っているので、
横方向の縮みはそんなに感じないはずですが、
光沢感を保ちたいというかたは、
クリーニングに出すことをおすすめします。

次回は
STAMP AND DIARYのシャツのことをお伝えします!

2018-05-17-THU