その7わたしは、わたしらしくありたい。

さて、ここは伊勢丹新宿店本館の4階。
トミタ、ゆーないと、ももの3人が、
それぞれの理想のシャツを探して、
フロアを歩きます。

「ふだん、ウインドウショッピング的に歩いたり、
別のアイテムを探していたりするから
あまり気に留めなかったけれど、
こうして見ると、女性ものの白いシャツって、
あんがい、多いんですね」

と、トミタ。
そうなのです、ぼくも思いました。
われわれ、いま「白いシャツ」を見つける力が
そうとう、高まっていると思う。
ちょっと「きのこ狩り」や
「ベリー摘み」に似ているというか。
最初、地面や草や苔しか見えないのに、
だんだん目が慣れてくると、
「あ、あった!」とわかるし、
「あそこにも」と遠くに目が行ったりするし、
「こっちのほうがいいんじゃない?」と、
よりよいものを見つけられたりするんですよ。
‥‥例えが妙ですけれど。

それにしても、女性の白いシャツって、
いろいろなかたちがあるんですね。
メンズライクな意味での「白いシャツ」もあれば、
ふわりとした、白くて薄い
アウター的な印象のものもあります。

「そうですね、なかには、
ビスポーク(英国の注文服)時代の誂えというか、
紳士のアンダーウエア的な名残を、
デザインに活かしているブランドもありますよ」

と、案内をしてくださった
フロアアテンダントの清水さん&崎濱さん。
なるほど!デザインアイテムとして、
「紳士ものの感じ」が入るんですね。

たずねてみると、むかしの紳士もののシャツには
サスペンダーを留める用とも言われるタグがついていたり、
実用面からのデザインがいろいろあったそうです。
現代にはほとんど残っていないものだそうですが、
あえてそれを「いま」のデザインの
一部に取り入れたりする、
そんな自由さがあったりもするんですって。

「けれども、かしこまったふうにならないよう、
女性にもラフに着ていただけるような
やさしいつくりになっているんですけれどね」

「ああ、どうしよう。着たいシャツが、
ほんとうにいっぱいありそう」

と、トミタ。

「着させてもらっちゃう?」

と、ゆーないと。

「うーん、どうしよう?」

と、もも。

ここで、わたくし、思いました。
スタートからこの様子。
女子編、そうとうな試着の量になりそうだと。

女性のシャツは、デザインの幅がひろく、
男子にくらべて、やっぱり自由なはず。
布一枚だって、服になっちゃう世界です。
そのなかから選んでいくわけですから、
きっと候補も多くなるでしょう。
1ブランドごとに試着をしていたら、
とても時間がかかりそうです。

そこで清水さんがこんな提案。

「着てみたいと思われたシャツをすべて、
いったんわたくしがお預かりいたします。
みなさん、それぞれ、どんどん選んでいただいて、
最後に、まとめて、大きな試着室に行きましょう」

えっ!いいんですか!
すんごい数になっちゃうかもしれませんよ。

「大丈夫です。きっとそのほうが、
すぐに比べることができますし、
ちがいが、わかりやすいと思いますよ」

ありがとうございます!
この言葉を聞いて、3人もちょっと気がラクになりました。

「じゃあ、どんどん見ていきます!」

まず、訪れたのは、Y's(ワイズ)。
デザイナーの山本耀司さんが1972年に立ち上げた
最初のブランドです。

「Y'sはマニッシュなカッティングとシルエットが
特徴的ですが、
新しいY'sのチームから生まれるデザインは
二枚襟であったり、リボンがついていたりと、
フェミニンな要素が融合され、新しい形になっています。
そして、パンツに合わせることを計算し、
丈は長めに仕上げられています。
インにしても、また、
ふわりと長く羽織ってもいいですね」

女子チームからは、
「すごくかわいい!」
「わたしはお尻にコンプレックスがあるから、
隠れるのがうれしいな」
という感想がでました。

「こちらも、ちょっとおもしろいんですよ」

次に持ってきてくださったのは、
ヌーイというブランドのシャツ。
ヌーイ。nooyって書くそうです。

「若山夏子さんと、平山良佳さんという、
ふたりの女性がされているブランドなんですが、
メンズのパタンナー出身ということで、
メンズライクな中に女性らしさとか、
フェミニンなエッセンスが入ったブランドです。
たとえば、絶妙なバランスのこの襟。
このままでもいいんですけど、
上にセーターを合わせると、ほら!」

わあ、はやりのざっくりニット!
超・かわいいですね。
しかもとっても「シャツっぽい」。

「こんな感じで、ネイビーとかブルーとか、
けっこう濃いめの色に合わせてあげると、
こういった襟のラインが際立つんです」

ああ、これもきれいだなあ。
でもどんどん行きますよ。次はこちら。

「GRANDMA MAMA DAUGHTER
(グランマ ママ ドーター)というブランドです」

こちらは、デニムブランド
「KATO'」さんがプロデュースする
レディースラインだそう。
おばあちゃん、おかあさん、そして娘さんへと
受け継がれていくような、
色あせないかわいらしさがコンセプト。

「一見、とても『ふつう』に見えるんですけど、
ラインがとてもかわいくて。
この丸襟のシャツは、
以前はドット柄やチェックの生地で作られて、
とても人気があったものを、
あえて私たちから、
ベーシックで、いつまでも長く
使っていただけるものとして、
白いシャツで作ってもらったんです」

「これ、とてもかわいいですね。着てみたいです!」

おっ、「白いシャツは着ないから」と
一歩下がっていたももが、
ずいぶん前のめりになりました。

「比翼仕立て(前ボタンが見えない仕様)だったり、
さり気ないけれどきちんとした感じが人気なんですよ。
スカートでもパンツでも合わせやすいですし」

ああ、流れるようなセールストーク。
一同、うっとり。
でも、どんどん行きましょう。

「こちらはイタリアのブランドで、
forte forte(フォルテフォルテ)といいます。
たしかごきょうだいお2人でつくっています」

イタリアもの!男子に人気だった、
イタリアならではのカッティングや縫製、
着心地のよさは、どうやら、ここにもありそうです。
「きっと、身体のラインがきれいに出るんじゃない?」
なんて、仕入れたばかりの知識で応えたりして。

‥‥さあ、4Fだけでこれだけの量。
3F、2Fではどうなっちゃうんでしょう?

(つづきます)

ほぼにちは。
そうかぁ、みなさんアイロンかけは嫌いなんですね。
わたしは大好きです。家がスカーフの縫製業だったので
仕事として子どもの頃から手伝ったりしていました。
かっちりとした三つ巻きはヘムもピシッと、
手巻きに似せた千鳥などは少しふんわりめに。
その物に合わせて中の折り目をかっちりつけるもの、
ふんわりやわらかくするもの、
色々考える事があって楽しいのですよ。
シャツは中学の制服で慣れました。
なぜなら同じものを何回もかけるので、
誰でもなれてくるので。
忙しいときは見える襟とカフスだけかけたり。
ストールなども畳んで仕舞っておくと
折り皺ができますから、使う前にアイロンは常識ですし。
だって信号待ち等でシワシワのパシュミナとか
ショールとかしているのを見かけるとみっともないし。
けっこう男性も見てますよ。
わたしは中学時代、まったくお洒落とか
興味無さそうな男子の発言がいまだに忘れられなくて。
同級生の女子がシャンプーが合わないのか
フケが制服の肩についてたんですね。
で、男子に指摘されて慌てて払ったのですけど、
そのとき、そのまだ幼い感じの男子が、
「さすが、○○(わたし)はいつもフケついてないな!」
と言ったのです。
わたしはマセてたのでお洒落大好きで
爪も髪も毎日手入れして、制服は毎日アイロンかけてたので
(今は聞かないで・笑)、そう見られていたようで。
こんな服なんかなんも興味無さそうなのが(失礼)
見てるんだー、と思ったら、
気をつけないとなぁとかなりショックな一言でした。

みなさんも上手にかけなくても
シワとるだけでもどうですか~♪

(トモミさん)

メールありがとうございます!
トモミさんのアイロンのはなしを読んでいたら
じんわり「いいなあ」と思えました。
ぼくはアイロン台とアイロン、持っているんですが
ほとんど使わずにいたのを、
今回、例のシャツを購入してから、
(そのシャツだけは)かけるようになったんですよ。
進歩、進歩。(武井)

015-06-18-THU