糸井

いまの同窓会の話もそうだけど、
鶴瓶さんは本職でやってるようなことを、
プライベートでもやりますよね。

鶴瓶

そうや。

糸井

それは使いなれた筋肉なんだけど、
本職と同じだからこそ、
もっと疲れるとも言えるわけで。

鶴瓶

むしろ本職のときよりも、
一層すごい刀を抜かなあかんしな。

糸井

鶴瓶さんだって
「ふだんの俺はおとなしいんや」いう役を、
やろうと思えばできますよね。

鶴瓶

もちろんできるよ。
ふだん飲みに行くときは、
下の子ばっかりやから、そうやしね。
お金だけ払うて「もう帰るわ」って、
さきに帰るほうがええんよ。ほんまは。

糸井

ほんとうはそうだよね。

鶴瓶

でも、同級生やから。

糸井

そこはちがうんだ。

鶴瓶

ちがう。

糸井

もう、ヘトヘトでしょう？

鶴瓶

ヘトヘトよ。
でも、みんなそうなんちゃうの。
糸井さんもそうでしょう？

糸井

鶴瓶さんに比べたら全然ですよ。
ぼくはそこまで外に出て行かないから。

鶴瓶

ほんまに？

糸井

出て行く広さの領域は、
鶴瓶さんのほうが圧倒的にすごいです。
「ここは面倒だから行かない」
という場所がないんだもん。
たけしさんやタモリさんにしたって、
そんなに出て行かないと思うよ。

鶴瓶

それは向こうにも言われる（笑）。
でも、俺はやっぱり行ってしまうんよ。
手編みのセーターやから。

糸井

そうだね（笑）。

鶴瓶

俺のそういうところを見て
「人が好きなんやね」って言う人もおるけど、
ほんまの俺はそんなふうにも思ってないのよ、
こころのなかでは。

糸井

そんなんじゃない、と。

鶴瓶

そんなんじゃないと思ってる。
‥‥でも、それはやっぱり、
そういうことなんかもな。
やっぱ好きなんかな、そういうのが。

糸井

それが「たのしみ」でもあるわけだし。

鶴瓶

うん、たのしいんよ、それが。
だから、ええ仕事に就いたと思うわ。

糸井

もし他の仕事でそんな人がいたら、
どう思われるんだろう。

鶴瓶

だから、それはちょっと疑われるんちゃう。
「この人おかしい」って。

糸井

あぁ、そうだね。

鶴瓶

俺、テレビで顔出して
『家族に乾杯』みたいなことやってるから、
みんなのなかのキャラクターと、
ほんとうの俺が一致してるけど、
昔は、どこかで一致させようとする
じぶんもおったと思うもん。



でも、同窓会で小学校のときの子らに会うて、
俺は昔からこんな感じやったらしいのよ。
みんなが「全然かわってない！」言うんよ。
その子らがそう言うねんから、
やっぱり昔からそうやったんやと思う。

糸井

もし昔からそうだったとしたら、
その鶴瓶さんの大本には、
いったいなにがあるんだろうね。

鶴瓶

うーん、なんやろう。

糸井

だって、ヘトヘトになるまでやるんだよ。

鶴瓶

そうや、もうヘトヘトや。
その同窓会があるちょっと前にね、
志村けんさんと特番の収録やって、
そのあと、たけしさんとも
２時間ぐらいバーーッしゃべって。
それから、さんまともやったわ。
あいつ、ずっと、ガーーーーッや（笑）。

糸井

（笑）

鶴瓶

あいつがガーーーッ来るのに、
こっちだけシャイに
「ふーん」なんかできないでしょう。

糸井

ムリムリ（笑）。

鶴瓶

だから、さんまとガーーーーッやって、
そこで声飛ばしてもうて。
そのあとにタモリさんともやって、
ほんで最後に、52年ぶりの同窓会（笑）。

糸井

ぜんぶ芸風がちがう。

鶴瓶

ぜんぶちがう。でも、ぜんぶたのしい。

糸井

タモリさんはどっちかいうと、
相手におもしろいことやらせるタイプだけど、
さんまさんはじぶんのおもしろさを、
どんどん前に出すタイプでしょう。

鶴瓶

ガーーーッやん（笑）。

糸井

一方、たけしさんは、
おとなしいふりをしながら、
いろいろ悪いことを考えてるし（笑）。

鶴瓶

志村さんもそんな感じよ。
おとなしぶってるけど、
こっちもガンッといかなあかんし。

糸井

いま言ったのを、
ぜんぶ使いわけるんでしょう？

鶴瓶

そうや。あと、落語もある。

糸井

そうだ、落語も‥‥。

鶴瓶

糸井さんが「骨惜しみしない」言うてくれたから、
やっぱり落語はせなあかん。
ほんでやったらやったで、
打ち上げでオッサンのケンカに巻き込まれて、
肩は筋肉痛になるし（笑）。

糸井

それ、ぜんぶ今月のこと？

鶴瓶

ぜんぶ、ここ１、２数週間のできごと。
ほんでいま、おたくともやってるし（笑）。

糸井

そうだそうだ（笑）。ほんと、すみません。

鶴瓶

いやいや、これがたのしいんよ。